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公平な人事評価が、人間関係の軋轢をやわらげる

会社員をもっとも悩ますのが、人間関係。もともと仲が良かった同僚とも、部署間で利害が一致せず、もめごとが重なるうちに、お互い気まずくなっていくこと、ありますよね。

私は米系の外資系企業で長年財務部門長として、他部門との社内調整をしてきました。若い頃はうまく調整しきれず、議論が紛糾してしまい、上司に何度も迷惑をかけました。幸い、経験を積んで場数を多く踏むことにより、少しずつコツを掴めるようになりました。

今日は、私の過去の経験をもとに、「社内のもめごとの起きる仕組みと調整方法」について、お話しします。

目次

  1. 原因は評価への影響

  2. メリットを伝える

  3. アンフェアの解消

  4. まとめ


1.原因は評価への影響

社内の他部門との会議で、冷静な議論がもめごとに変わる時は、多くの場合、相手が「自身の評価に影響がでる」と察知したときです。人は社長がトップダウンで決めたことであっても、自分たちの評価が下がるリスクが上がるようなことには厳しく抵抗します。

例えば、社長が会社の利益率を改善するように、全社に指示をだしたとします。そこで、財務部門は営業と製造部門に以下の提案をします。

社長に指示された新方針
会社の利益率の改善

財務部門の提案
-製造部門は在庫量を適正化するため、製造量を減らす
-営業部門は販促費予算を削り、値引き販売を減らす

これを聞いた両部門長は、烈火の如く怒りはじめました。

なぜでしょう。

そうです。
製造部門は製造量が減ると、操業度が落ち、製品ひとつあたりの原価が上がってしまいます。彼らは操業度、すなわち一つ当たり製造原価で評価されているので、減産はとても受け入れられません。

同様に営業部門は値引きが減ると、当然、お客さんが離れるリスクがあります。売上目標を課せられている営業部門もこの提案を受け入れることは強く拒みました。

両部門、および財務部門もこのままでは、利益率改善という社長の指示に従わないことになってしまうので、誰も得をしません。

ただ、財務部門は彼らの評価基準を認識しました。会社内のもめごとは、たいていの場合、各自がどう評価されているかを理解することで、解決策が見えてきます。

評価基準
製造部門:操業度 (製品ひとつあたりの製造原価)
営業部門:総売上高

2.メリットを伝える

新しいことを提案されると、人は自身への悪影響ばかり考えてしまいますが、実際には、見過ごされがちですが、会社にも個人単位にも良い影響がある場合が多いです。

今回の場合も、両部門とも評価への悪影響ばかりに目がいってしまっているため、財務部門は以下のようなメリットを明確に伝える必要があります。

新方針のメリット
製造部門
在庫量を今よりも減らすことにより、在庫廃棄リスクが削減されたり、在庫保管料を削減できる。

営業部門
値引きに使っていた販促費を広告費用や研究開発に振り分け、ブランド価値の向上につなげられる。それにより、値引きをせず高く売れるようになるため、最終的に、売上にも寄与する

中立的な立場の部門は状況の分析を正しく行い、不満を聞くだけでなく、メリットも伝えるようにします。

3.アンフェアの解消

財務部門は、上で述べたメリットもあるとしつつも、年度中に方針を急遽変更することは、製造、営業の両部門にとって、評価の面からアンフェアであることも理解します。

そこで社長に両部門が年初に立てた目標を調整することを、社長に特別に許可してもらうことを提案します。

これにより、両部門とも、評価への影響を過度に恐れず、社長の指示に従うことができます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

社内のもめごとの多くは、「人の評価」という非常にセンシティブな問題に影響することにより、起こります。
そのことを理解し、一歩引いて、冷静に各人の「評価への影響」を解消していくことにより、状況は少しずつ良くなります。

私の経験ですが、最初のうちは議論に巻き込まれて、冷静に対応できませんが、場数を踏んで慣れてくると、「各人が不当に損しないような提案」ができるようになってきます。ぜひ、試してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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