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中学生のバイト探し(第10話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第10話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。





手術翌日の夕方、
顔を出しに来てくれた
担任に聞いた。


「昨日、来た?」


「いやぁ、昨日は来れなかったんだよ」


「あぁ、そうなんだ…」



???



あの手は、
誰のだったんだろう…


夢だったのかな?






大げさな手術でもなかったので
リハビリを終えたら、すぐ退院した。


術後の影響

というものは一切なく

歩くことはもちろん
走ったり跳んだりすることも支障なく、
部活動(バレーボール)にも
すぐに復帰できた。



入院と言っても
ほんの数日の間、
いつもと違う生活を
味わって帰ってきた。

という程度。



長く入退院を繰り返している父親も
きっとこんな感じなのかな。。。


3食の食事と清潔なベッド、
世話してくれる人たちもいて
家に居るより、快適なのかも??




いや、


それはないな。

だって私たちは


なによりも 自由でいたいから



さてさて、

父親の方も退院期に入り、

日常が少し落ち着いた頃、

私は、ついに行動に出ることにした。



そう!

アルバイト!!


高校に行くつもりは

全くなかった。


とにかく、今の自分に必要なのは

勉強よりも、金を稼ぐことだ!


不安定なライフラインを
安定させたい。

これは、あいつのためじゃない。

ガスや電気が止められたら、

私が困るから。



いつ、一人になるか

わからないし。



とはいえ、

パソコンやスマホ

なんて、ない時代。


面接先を探す。

という行動すら、
むかしは結構アナログ。


当時は、近所のコンビニの前に
無料で持って帰れる
アルバイト情報冊子が置いてあった。

今で言うと
タウンワークみたいなやつ。


私が手にしていたのは

「DOMO」「chance」

という2大タイトルだった。
(今もあるのかなぁ?)


とりあえず
新しく発行される度にもらいに行っては、
赤いマジックペンでチェック!
(競馬とかオートレースのおっさんみたいにw)



こだわったのは、2つだけ!

・勤務地が
 「通える」でも「近所ではない」こと

・募集年齢に、
 「高校生以上」と書いてあること


私のことを知っている人に
会わないように、

そして

年齢を交渉しやすいように。



これをクリアしていた
広告に赤丸をつけ、


そして


そのすべてに、
電話を掛けることにした。


当時は、まだまだ中学生。


「高校生です!」

とハッタリをかませるだけの
強靭な心臓は、まだ育っていなかったので


「中学生でもいいですか?」


電話口の相手に

まず伝えた言葉は、これだった。


当然、

「高校生から と書いてある通りなので」

って断るところが、大半だった。



そりゃ、そうだろ。

んなもん わかっとるわ。


そーゆーとこには用はない。



それでもいい。


と言ってくれるところを
探してるだけなんだから。


赤丸を付けたところは
ぜーーんぶ電話するつもりで
掛けまくっていたが、

意外とあっさり、当たった。


電話口に出たおばさんが

おじさんに替わり、話をした。


「一度面接にきてください」


えっ!?まぢ!?

うそっ!?


そんな軽いノリで、

自分の家から
バスで15分の街(※)にあった
日本料理屋さんに

人生初の面接に
行くことになった。

(※浜松では駅周辺のことを
 「街(まち)」と呼ぶ。)



まだまだ中2。

考えるよりも、行動の方が速い。


面接に必要なものが
なにかわからないまま
電話をしているので

「なにを持っていけばいいですか?」

と、そのおじさんに聞いて


早々に、面接が決まった。。。





→ 中学生のアルバイト(第11話)




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