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中学生のアルバイト(第11話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第11話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

初めての方は、1話からどうぞ。





中2にして、人生初の面接!


「へぇ~。
   こんな所に、こんなお店あったんだ~」


意外とのんき。

初めての経験ということもあり
社会科見学的なノリも(笑)


そのお店は、そこだけでなく、
市内に3~4店舗の系列店を持つ
浜松ではソコソコ有名な
日本料理屋さんだった。


なぁんてことは、もちろん
その時の私は、全く知らない。


求人誌に載ってた
あの小さい広告しか
見てなかったし


バイトをすることは
内緒にしておかないと!

と思ってたから、

誰にも話していない。


とはいえ、
人生はじめての面接。

少しドキドキしてるところに

入ったこともないような
高級感溢れる立派な玄関。


更に、
電話で話した おじさんは


そこの社長さんだった。


ひぇーーーーーー!


面接マニュアルとか、そんなものが
この世にあることすら知らない。

来てください。

って言ってくれたから、

とりあえず行ってみた。

ってカンジ。



ただひたすら

正直に、真っ直ぐ

そのおじさんの質問に

答えていく。


「どうしてアルバイトしようと思ったんですか?」


隠さず、ありのままの家庭の事情を話す。


「週にどのくらい働けますか?」


「出来れば、毎日働きたいです。」


「学校と部活があるので、来れるのは
 夜7時過ぎになってしまうけど
 その分、毎日出ます!

 日曜日や祝日は、学校が休みだけど
 部活の試合が入ることが多いので、
 夜しか出れません。」


「休む」=「動きを止める」

という発想が全くなかった。



「働きたいんだ!!」

という気迫だけは通じたのか
すぐに働かせてもらえることになった。


ただし条件付き。

高校生の時給で750円の募集だったから
中学生だから650円。

他の従業員には「高校生」と言う。



ま、そのくらいならね。


向こうは、法律違反を犯して
雇ってくれる訳だから
受け入れるしかないよね。



私は、人目につかないよう
「洗い場」に配属。


その名の通り
下げられた食器を洗う部署。


先輩が2人。


1人は、化粧がやたら濃いミネさん。

70過ぎのおばあちゃんだった。
(60過ぎだったけか?笑)


もう1人は、リカちゃん。

高校生のアルバイト。
(私といっしょ。の設定)


ミネさんが
チームリーダ的存在で

余洗いと、
業務用の大きな食洗器に
お皿を並べる担当。
(つまり動かない)


若い私たち2人が
食洗器が洗い終えたお皿をまとめて
広い調理場の各置き場所へ戻す担当。
(つまりよく歩く)


これが、また1つのラッキーで

このおかげで
私は、たくさんの従業員さんたちと
話をするようになっていった。


懐石料理が
良く出る日本料理屋さん。

刺身のお皿は、刺身調理場へ

揚げ物・煮物・焼き物 等々

それぞれの部署を任せられた
担当調理師やスタッフがいた。


たかが洗い場。

とナメたらあかんぜよ!


お店が忙しい日に
ちょっと気ぃ抜いたら

「おーい!洗い場ー!

 皿がねーぞーー!

 早く持ってこい!!」

って怒鳴られるんだから。



宴会が終わって、
一気にやってくる洗い物。

置き場所もなくなって
ホールの人が、大きなお盆ごと
床に置いていく。


なんてことも。


結構、要だよね。

皿が無ければ
料理が出せない。

ここが滞ったら、
みんなが迷惑する。


人の動きや場の流れを観察しながら、
とても大事なことに気づく。


何1つ、ムダな仕事はないんだな~


必要だから
わざわざ雇ってる。

そりゃ、そうなんだけど、

やっすい時給で

しかも「洗い場」って地味さが

なんかちょっとねぇ。。。


チョロいじゃん!って

軽視する気持ちがあったのも事実。



でも実際は
3人の中、1人でも休むと
結構キツキツ。


あぁ、迷惑掛けちゃいかんな


って。


働くって
こうゆうことなんだ。。。



自然と芽生え出した
責任感が育つ一方で

こんな貴重な体験を
義務教育中にさせてもらえたおかげで

その義務教育を
放棄することになっていく。。。





→ 部活とバイトと学校(第12話)





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