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2024年5月の記事一覧
牧野陽子さん、ごめんなさい【読書感想文】平野啓一郎『マチネの終わりに』
主人公の二人は、ずっと「牧野」と「陽子」だと思って朗読を聞いていたら、「蒔野」と「洋子」だった。
聴き終わってから気付いた。
これって結構大問題だ。イメージ変わる。
具体的に言うと、「蒔野」の方がイケメン濃度が高そうだし、「洋子」の方がクールっぽい感じがする(全国の牧野陽子さん、気を悪くされたらごめんなさい)。
今聴いてる韓国の小説では、韓国近現代史についての注が多くて、話の途中でいちいち
文章化することで失われるもの、朗読することで失われるもの【読書感想文】若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』
読み始めは東北弁が新鮮で、まさにジャズのように思え、芥川賞は新人賞だから自分史のような作品では後が続かなさそうだからいかがなものかとも思うが、そういう欠点を補ってあまりある作品だとまで思えたが、途中でAudible に切り替えたらその魅力がすっかり消えてしまったので、我ながら驚いた。
ナレーターがうますぎて、本当にふつうの、なまった老女の自分語りのように聞こえてしまうのだ。
語りから文章に変換
【本の話】SFの正しい装丁について
いまさらだけど、ハヤカワ文庫のフィリップ・K・ディックの装丁って、かっこいいよね。
私が昔読んだ『マイノリティ・リポート』って、こんなんだったなあ。これはこれで味わい深いんだけど。
それに引き換え、ロバート・A・ハインラインの原書は、いまこんな事になってる。
『月は無慈悲な夜の女王』
『異星の客』
『宇宙の戦士』
これはダメでしょう。これじゃイメージ湧かんよ。
もしかしてあちらではイ
なぜ働いていると本は読めないのにパズドラはできるのか【読書感想文】三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
パズドラはしたことがないので推測に過ぎないが、疲れていてもパズドラができるのは、それが現代技術の粋を集めた純粋な刺激と快楽だからだろう。甘いものは別腹、たらふく飲み食いしたあとの豚骨ラーメンみたいなものだ。
私がこの本を手に取ったのは、著者が導入部で紹介している映画『花束みたいな恋をした』を私も観て、同じ様な感想を持っていたからだが、そもそもこの映画を観ようと思ったのは、ネットで著者のその文章を