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蟻を見つめていた頃

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20年前に書いたエッセイ。一部加筆修正。 ★は2017年以降、新たに書き下ろしたエッセイ。
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★「楽しく生きる」か「楽に生きる」か

★「楽しく生きる」か「楽に生きる」か

皆さんは、「楽しく生きていますか?」と質問されたとき、自信を持って「はい!」と言いきれるだろうか。

私の周りの多くの人は、「本当は○○がやりたいのだけれど、それでは食べていけないので、何となく今の仕事を続けています」と答える。つまり、「楽しく」生きるよりも「楽に」生きる道を知らず知らず選択している。あるいは、選択しなければ生きていけないと、思い込んでいる。

彼らに「人生やりたいことをやって生き

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★宗教と人間 ~創価学会考~

★宗教と人間 ~創価学会考~

私の叔父は創価学会員である。幼い頃から叔父は仏法の話をしてくれた。教員になってからも、折伏を受けた記憶がある。

私が小学校3年、4年の時の担任も熱心な創価学会員である。やはり何回かお誘いを受けて、若い頃は集会にも参加した。「創価学会という宗教の本質とは何か?」を知りたかった。

一度、巣鴨の大講堂に行ったことがある。200畳はあろうかという広間に、信者がびっしり座っている。壇上に久本雅美氏が登場

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★思考フレーム

★思考フレーム

人は誰でも、今まで生きてきた経験に基づいて、おのおの思考のフレームを持っている。経験は人生の長さに応じて増えるので、年長者は若年者より比較的広めのフレームを持っているのが「普通」である。

しかし、これは、あくまで「普通」なのであって「絶対」「必ず」ではない。人の中には、自分に厳しい経験を糧にして自己研鑽できる人と、他人のせいにしてスルーしてしまう人がいる。前者は常に成長を続けて思考のフレームを広

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★「以心伝心」神話

★「以心伝心」神話

 「以心伝心」という四字熟語がある。中学校の国語資料集に掲載されていて覚えたという方が多いのではないだろうか。「人は、親しい関係になれば、言葉にしなくても気持ちが伝わる」という意味である。

 「察する」「慮る」という言葉がある。「相手の行動などの様子を見て、気持ちを忖度する」という意味である。「以心伝心」と「察する」力があれば、最高の人間関係が築けるような気がする。間違いない。

 しかし、現実

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★同調圧力からの脱出

★同調圧力からの脱出

 日本人は、行動を起こす前に、まず周りの人の顔色を伺う。他にも同意見で同じ行動をする人がいると安心して一歩を踏み出す。そうでないと、たとえ自分がやりたいことであっても行動を起こすことを躊躇する。

 これが、いわゆる同調圧力である。「赤信号みんなで渡れば怖くない」という交通標語のパロディにもそれが現れている。

 安全を担保すると言うスタンスから考えれば、同調圧力も悪いことばかりではない。自分だけ

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★哲学フィルター

★哲学フィルター

 人はそれぞれ、個人の哲学を持って生きている。哲学とは、自身の、善悪、好き嫌い、行動するしないの判断基準である。あるいは、「こだわり」と言っても良い。

 日々様々に身の回りの起こる出来事、他人から聞く話を、私たちは、この「個人哲学フィルター」にかけて自動的に分類している。

 政治の出来事、時事問題、他人からの相談事、平凡な日常に起こる出来事。経験のあることなら、おおむね、悩むことがなく即座に判

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不思議のすみか~毎日がスピリチュアル~

不思議のすみか~毎日がスピリチュアル~

 一昔前の日本人の生活の中には、様々な“不思議”が宿っていた。沼や湖には必ず“主”が棲んでいた。森や海、田や畑にもにも神様がいた。各々の家には神棚があり、人々は毎日、家内安全を祈っていた。そして節目節目には、神様が豊かな恵みを施してくれるように、平安な日々が過ごせるように、人々は祭りを行って神を称えてきた。そうして人々は、目に見えない不思議な力を信じ、生活に取り入れ大切に守ってきたのである。
 

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心の歯車

心の歯車

 最近の自動車はAT(オートマチック・トランスミッション)車が多くなり、MT(マニュアル・トランスミッション)車は少なくなった。オジサンをターゲットに絞った4ドアセダンなどでは、始めからMTの設定のない車も多い。車好きの方々はご存じかと思うが、MT車には、「自分が車を操っているんだ」という実感と、楽しさがある。最適であると思われるギアを自ら選んで操作する。車ではそれに応じてトランスミッションの歯車

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