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展覧会について

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展覧会:『モネ展連作の情景』で感じた違和感。大阪展は2024.5/6[月・休]迄です。ぼちぼち急ぎましょう。

展覧会:『モネ展連作の情景』で感じた違和感。大阪展は2024.5/6[月・休]迄です。ぼちぼち急ぎましょう。

「モネ連作の情景」の展覧会が大阪でやっております。まだまだ間に合います。混み合う前に行くのがおすすめです。

さて今回のこの展覧会、あなたはすでにお気づきでしょうか? ん?はて、と思われるかもしれません。今回のモネの連作の情景、何か違和感があった。そう思われた方もおられるでしょう。

それではまず結論からお伝えします。それは今回のモネ展。「あるモネの絵の前に立った人たちはなぜか少し狂い始める」。そ

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「バベルの塔(絵画)」を見る時は単眼鏡をお忘れなく。

「バベルの塔(絵画)」を見る時は単眼鏡をお忘れなく。

最近仕事で「よく見るように」と注意される。
結構あれこれ見落としてしまうことが多い。
ヘマやらかして、お叱りを受け、改善しながら
なんとか日々を送っている。

そのような時に、ふとピーターブリューゲル
という画家を思い出す。え、急すぎないか?
と思われるかもしれないけど。

2017年に大阪の新国立美術館で
「バベルの塔展ーブリューゲル」がやっていました。
一応ブリューゲルのバベルの塔は2種類あり

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ストリートアートの先駆者RICHARD HAMBLETON

ストリートアートの先駆者RICHARD HAMBLETON

MUCA展京セラ美術館(京都)2024.1.8.まで。

RICHARD HAMBLETON 1952-2017
FROM VANCOUVER, CANADA
カナダ・バンクーバー出身

✴︎写真はオッケーです。

リチャードハンブルトンをご存知でしょうか?
彼はストリートアートの先駆者とされているらしく、バンクシー、ブレック・ル・ラット、JRといった著名なアーティストに今もなおインスピレーション

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風の音。樹々のそよぎ。

風の音。樹々のそよぎ。

服が掠れる音。カラスの騒めき。水の流れ。人々の足音。恋人たちの交わす会話。包丁で野菜を切った時の刻みよい音。コーヒーを淹れた時の雫がコップの底に落ちる音。そして時計の針が時を刻み、今日もぐるぐる周回していく。

          ✴︎

今回、坂本龍一+高谷史郎さんの音楽と映像が折り重なった展覧会に行ってきました。

坂本龍一+高谷史郎・AMBIENT KYOTO・12/24までが→12/31ま

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ソールライター展・壁書き

ソールライター展・壁書き

私はシンプルに世界を見ている。それは尽きせぬ喜びの源だ。

I see this world simply. It is a source of endless delight.

私の好きな写真は何も写っていないように見えて片隅で謎が起きている写真だ。

I do like photographs where somtimes everything's lost and in some corn

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奇才の写真家、深瀬昌久をご存知ですか?

奇才の写真家、深瀬昌久をご存知ですか?

『私はみめうるわしい可愛い猫でなく、
 猫の瞳に私を映しながら、その愛しさを
 撮りたかった。』

今じわじわと深瀬昌久の再評価が
高まって来ている・・・気がします。

彼は土門拳の31歳年下で、荒木経惟さんと
森山大道さんの4つ年下である。そう言うと
だいたい年代はイメージ出来るかもしれません。
ただ残念なことに上記のビッグネームの
陰に隠れてしまい、あまり世間的には有名では
ないというのが実際

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ここちよい孤独につつまれ

ここちよい孤独につつまれ

海外へ行った時に誰かとカフェで話すことになったり、まあ、ちょっと散歩でもしながら観光でもしましょうかと街並みを眺めながら話したりすることがたまにありますが、でもそれはほとんどがアクシデントでたいていは孤独な日々がたんたんとゆるやかに、けれどここちよく続くというのがほんとうのような気がします。

そのようなここちよい孤独につつまれ日々の生活を送っていた時のことです。街中にあるパン屋でパンを、肉屋でハ

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喜納焼き

喜納焼き

「目利きの眼でモノを見てみる」

『ああ、伝説のパナリ焼きね・・・』

と店主が他のお客さんと話していた。
ナニカ臭ったというか、コレは何かアルぞ
そう感じ、何ですかそれは?と立ち話を
している2人に詰め寄り、話を聞きだした。

沖縄、国際通り近くにある骨董屋
に足を運んだ時のことだ。

するとどうやらそれは八重山諸島で昔作られていたけど、
今は数が少なすぎてプレミアになっているのがソレだという。

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時雨

時雨

これから時雨んなあ、ふとクライアントのおばあちゃんはそう言った。僕たちは玄関先の縁側のようなところに座り、ぼんやりと剪定後の松の木を見上げ、煎茶を飲んで一服していた。

時雨れる・・・とは何ですか?僕が彼女に尋ねると、僕の上司は、うそやん、時雨るってわからへんの、と言うのだけれど、まったくこころあたりがない。

どうも冬の肌寒い時に少しだけ降る雨のことを時雨る、というみたいです。おばあちゃんは99

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ムンクとピカソの共通点

ムンクとピカソの共通点

さて、2016年のピカソのゲルニカ展と2018年のムンクの叫び展に共通する気づきがあったのでシェアしたいと思います。

まず結論から言うと、『ピカソもムンクも抽象画を描くときは、段階的に描いていた』ということです。

ん?どういうこと?と思われるかもしれません
。というのもですね。ピカソもゲルニカのたとえば上のurlに出てくるような顔を描く時も、最初に書く段階ではあのような抽象的な絵では無いという

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ゲルハルトリヒターの絵画

ゲルハルトリヒターの絵画

昨年のつまり2022年の展覧会を振り返ると、ゲルハルトリヒターの絵画、『ビルケナウ(アウシュビッツ収容所)』が印象に残っています。

東京国立近代美術館で開催されていました。↓
クリックしたら4枚の連作の絵が見れます。

ビルケナウは計4枚の連作になっています。
アウシュビッツ収容所にてナチスが写真で収めた写真をベースにこの絵画は描かれています。このビルケナウの隣にそのベースになった白黒の写真が4

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土門拳の仏像@東京都写真美術館

土門拳の仏像@東京都写真美術館

その「仏像」の写真からはビリビリとした
妙な気配を感じた。ふと気がつくと耳の上に
スズメバチがとまってた感じで。

それは土門拳の写真で、僕は彼の写真を
生で見たのはそれが初めてだった。

恵比寿駅で降り、しばらく歩くと
東京都写真美術館がある。用事があった
のでそれが終わると、せっかくだからと
中に入った。するとすぐ目に飛び込んで来
たのが冒頭の奈良の大仏の写真だったのだ。

彼はライティングと

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エジプト美術、青いカバについて覚え書き。

エジプト美術、青いカバについて覚え書き。

以前仕事の関係でとある学芸員の方に
展覧会を案内していただくことになった。
彼女はアートに愛と情熱を持った方で
曾我蕭白の絵や、白洲正子旧蔵の
信楽壺の前、尾形乾山の陶器、桃山時代の
織部の陶器等の前で語っていただくと
延々と話せるくらいの知識量に僕は完全に
打ちのめされてしまったのを覚えている。

ただ事実を話すのでは無く、その作品の
ストーリー(物語)を語られるのだから
ずっと聞いていて、とて

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『ピータードイグ』の絵画の側面にご本人が落書きしてる件について

『ピータードイグ』の絵画の側面にご本人が落書きしてる件について

ピータードイグという画家をご存知ですか?
彼はスコットランドのエディンバラ出身
の現代画家です。彼の個展が2020年に
東京国立近代美術館で開催していました。
皇居のすぐ近くです。武道館の近くと
言った方が分かりやすいかもしれませんね。

彼の書いた絵に
『Gasthof zur Muldentalsperre』
という絵があります。

この『』内はドイツの古い居酒屋の
名前だそうで、chatGP

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