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育休明け、もう、じゅうぶん頑張っているあなたへ〜職場でキャリアアップも成長も目指さなくていい〜

多様性を認めようとか、働き方改革とか言われているが、会社という組織の中では「働くからには上を目指すよね」って価値観が前提にあるように感じる。「マネジャーを目指したいと思っていない、上を目指したいと思っていない」と上司に伝えると、やる気がないと判断されるのが怖くて、かりそめのキャリアプランを口走る。育休復帰後、仕事と家庭の両立にもがき苦しんだ末、家庭とのバランスをとるために職務グレードを下げたいと、自ら申し出ることに躊躇した。「やる気がない奴」と、太鼓判を押されるのが怖かった。

2017年に育休から復帰して5年目を迎える。今なら言える。その時々の状況や、ライフステージに応じて、会社の中でも働き方を選んだっていいんだ。

※会社に不平不満を言いたいのではない。もう十分頑張ってるのに、まだ頑張らなくちゃ!って歯を食いしばってる人に届けたい。


はじめに:キャリア形成について思うこと

▪️キャリアアップだけが働く目的ではない。キャリアアップを目指さなくてもいい。現状維持で家庭と両立しながら長く働けたらいい。今の仕事が好き、会社が好き、でもしんどい!って場合には、業務負荷を下げてキャリアダウンする事で、辞めずに生き延びたらいい。子どもの成長、家庭の状況にあわせて、また仕事の比重を上げれるタイミングがくる。(ここは会社次第でもある)今の仕事が好きでもなく、会社も好きでもないなら、転職・退職したっていい。自分の可能性を探るために、転職活動や社外コミュニティに出ていくことが必要。その時間も取れずに悶々と時間だけが経っていく。やめる気になれば、何だって出来る。わたしは休職という形をとって、考える、活動する、時間を作った。

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▪️成長!成長!って、子どもが産まれて、家庭も大変な時に、職場で自己成長MAXを目指さなくていい。上司や会社からの期待に応えなくていい。職場での成長だけが成長じゃない。家庭との両立を図る、バランスをとる働き方を試行錯誤していること自体が既に成長なんだ。パラレルキャリアって言うけど、家庭と職場の両立だって、既にパラレルキャリアだと思う。お金で外注できる家事も自分でやりながら、もう一つの職場で仕事をしてるんだから。


【1】自分の成長曲線を設計する

私「これまでめっちゃ頑張ってきました。でも、この先、子どもが産まれたりを考えると、ずっと同じ勢いで成長を続けていく自信がありません。」  役員「この先もずっと同じ角度で成長していかなくていいんだよ。ライフステージや自分の状況に合わせて、成長角度や速度を調整して働いたらいいよ」

10年前、イタリアのマフィアのようなクールでハンサムな出で立ちの執行役員と面談した。軽い気持ちで希望した役員面談が叶っただけでなく、数名いる役員の中でも一番ハンサムな役員との面談に緊張した。会議室外の自販機で、缶珈琲とわたしの好きな飲み物買ってくるようにと小銭を渡された。シャレたカフェではないが、缶コーヒーを飲みながらの面談にウキウキと緊張で、心がおかしなリズムを刻んだ。

我ら人間は、オギャーッとこの世に生を受けた瞬間から、できることが増えていく。いわゆる成長ってやつだ。歩けるようになり、言葉が話せるようになり、九九を覚え、勉強して、仕事をして人さまの役に立つようになる。できなかったことが出来るようになっていく、ヨッシャ!と自己成長を感じる。

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面談当時、33歳。成果を出すことが自分の生きる証だと考え働いていた。結婚から4年が経ち、同じペースで働き続けていくことに不安を感じ始めていた。役員からの言葉、「この先もずっと同じ角度で成長していかなくていいんだよ。ライフステージや自分の状況に合わせて、成長角度や速度を調整して働いたらいいよ」は、胸にストンと落ちた。

27歳、「昨日を超える」会社に中途入社した。働くことが楽しくて我武者羅だった。アクセルを踏みまくり、最高速度を求めてどこまでいけるか試したい。好きな言葉は限界突破だった。加速しても加速しても、エンジンは壊れることなく走り続けた。両眼にヘルペスを患ったことで、ようやく限界が見えた。

成長曲線と云へば、ひたすら右肩上がりをイメージしていた。娘が産まれて、母子手帳に成長曲線を記録することになった。保健師さんも教えてくれた。早く大きくなる子もいれば、ゆっくりの子もいる。産まれたその瞬間から、成長曲線は人それぞれなんだ。仕事の成長曲線は自分で設計していいんだ。


【2】省エネ戦法でキャリアをつなぐって方法がある

省エネ戦法という働き方がある。今の仕事を長く続けるために、一時的にキャリアアップを目指すことを止める、もしくはキャリアダウンして業務負荷を軽減して働くことだ。

これは、自らも時短ワーママとして働く上司から教わった働き方の一つだ。

超サイヤ人として復職するワーママ

ワーママとして復職すると、産休前のように働けない自分にモヤモヤしたり、不甲斐なさを感じたりする。また、復職後も以前のように成果を出したい、期待に応えたいとの想いから、育児と仕事をひとり2馬力でこなそうと踏ん張る。

職場復帰するワーママの戦闘力は、産休前の50倍以上だと思う。そう、ドラゴンボールでいうと超サイヤ人状態だ。

超サイヤ人(第1段階)(超=スーパーと読む):Wikipediaより抜粋 
原作およびアニメ『Z』に登場する、超サイヤ人の最初かつ基本的な形態。軽い興奮状態になり、好戦的になる。髪や眉が金髪に変わり瞳が緑色になる。目つきも鋭くなり、黄金色(黄色い)オーラをまとうようになる。戦闘力は通常時の約50倍に跳ね上がり、作中に登場する戦闘力測定装置スカウターでは、超サイヤ人悟空の戦闘能力は初期段階で1億5千万であるとされている。https://ja.wikipedia.org/wiki/サイヤ人#超サイヤ人(第1段階)


ワーママの戦闘力

出産によりその変化は訪れる。生命を途絶えてはならぬという緊張感の中、24時間気を休める事なく過ごすことで鍛え上げる持久力。授乳、ミルク、ウンチの確認、ワクチン接種や検診など、スケジュール管理力、進捗力も磨かれる。復職後を想定した家事・育児の分担など、業務のマネジメント力も磨かれる。夫や両親、業者への依頼など、ピープルマネジメント力も鍛えている。夫の仕事やご機嫌も上手くとりながら、足りない部分は外部を巻き込みながら現場を回していくプロジェクトマネジメント力も鍛えている。

数々の戦闘力を備えて職場復帰したワーママ、職場でも家庭でもそのパワーを炸裂する。再び社会との接点を持ち、必要とされる喜びを感じ、テンションMAXを迎えることで、復職前に決めていた勤務時間をオーバーしながら、パワー勝負で家庭と職場を両立させる。やがて超サイヤ人にもエネルギー切れが生じてくる。子どもとの時間がとれないと悲しくなったり、夫からの不満の声が出始めたり。すぐにはヘコタレナイのが超サイヤ人と化したワーママ。自ら希望し、職場復帰してるのだから自分の力でなんとかせねばと、さらに戦闘力を上げて家庭でも職場でも働く。早起きして家族が起きる前に、子どもが寝た後に、睡眠時間を削って働く。業務中に休憩を取らず、時間を惜しんで働く。家庭と職場の往復をこなし、休日は成長していく我が子の姿を見逃したくないと、必死で見つめる。

ワーママとは、自らの生命を削り、戦闘力を増強して、職場でも家庭でも、とにかく働く超サイヤ人なのだ。

よく頑張ってるね!子どもいるのによく頑張るね!効率よく成果上げれてすごいね!

周囲からのこんな言葉がさらにエネルギーを燃やし、戦闘力の持続性を支える。


復職後のキャリアについて

無事に職場復帰を遂げ、何とか目の前の仕事を回せるようになってくると、まもなく今後の自分のキャリアについて考えはじめる。上司から期待をかけてもらい、「これからどこを目指す?」「3年後、10年後、どうなっていたい?」なんて聞かれる。超サイヤ人と化して働くワーママの剛腕ぶりに、実は、エネルギー切れ寸前であることに上司は気づいてはくれない。自らしんどいです!と言うまでは。もしくは、倒れるまでは。育休前と同じようにキャリア面談が実施され、復職後の仕事が回っていれば、ステップアップを目指していく流れとなる。上司自身が保育園送迎を経験している人でなければ、退社後に、保育園お迎えからの第2ラウンドが始まることを、イメージできている上司は少ないのではないか。

復職後、辞めていく同僚がいる。超サイヤ人として仕事を続けていく同僚もいる。「これまで頑張ってきたけど、もう限界」「子どもが小さいうちは、子どもとの時間を優先することにした。後で後悔したくない」と、言い残して職場を去っていった同僚の言葉がずっと胸に残る。

自分はどっちの道を選ぶ?

家庭を家族を優先して辞めるのか?超サイヤ人で踏ん張るのか?

張りつめた緊張の糸が何度も切れそうになる。何度も辞めたいとの思いが湧き起こる。同時に辞めた後の自分がどうなってしまうのかが不安で辞める踏ん切りもつかない。この仕事が嫌いじゃない、むしろ好き。でもこのまま続けていくのは身がもたない。八方塞がりのまま答えが出せず、ゆっくり考える時間もないまま時は流れ、消耗していく。

選べる道は2択のみなのか?辞めるか、超サイヤ人で働き続けるか。

第3の選択肢がある!ってことをワーママ上司が教えてくれた。


省エネ戦法という第3の選択肢

復職後半年で夫の転勤によりワンオペとなり一年半。娘3歳を機に、福岡から東京への転勤を決意。4月に横浜へ。時短勤務+往復3時間通勤に心折れ、半年後に横浜から東京へ転勤。東京で出会ったワーママのマネジャーが、わたしに提案してくれたこと。

「大好きなこの仕事を続けるためにも、子どもが小さいうちは家族第一優先の働き方に変えて、どこまで成果を出せるか試してみよう!成果を出すことにコミットするのではなく、家族第一優先にコミットした上で仕事をどこまでやれるか。長い長い仕事人生の中で、子育て期間はほんのいっ時のこと。そこだけのために好きな仕事を辞めてしまうのはもったいないよ。でも、家族との時間を削って働くと、また辞めたくなるよ。本当の意味での時短勤務でどこまでやれるかを考え、磨きながら続けてみたら?そのためには、本当に必要な業務に絞らなあかん。やりたいこと全部はできひん。これと決めた事をやり切ってみよう。成果は上がらんかもしれん。そこは自分のプライドとの戦いよ。会社に残っていれば、また仕事の負荷を上げれるタイミングがくる。その時までは、家庭を優先しながら全力投球したいところは抑えて、仕事を続けるために省エネで長く走ったらええねん。辞めてまた働きたいと思った時に、今の仕事したい、この会社がいいと思えるんやったら、この省エネ戦法で働いてみたら?」

この省エネ戦法は、入社後ガツガツ働き、成果を上げることを生きた証としてきた自分との、決死の戦いとなった。わたしが苦しくなるたびに、こんな話しもしてくれた。

「これまで何年も身を粉にして頑張ってきたやん。子どもが小さい間の数年くらい、力抜いたってバチ当たらんよ。そのための時短勤務やん。限りある子育て期間だからこそ、その間は時短で働くってことやろ?今こそ、これまで働いて貯めてきた信頼残高使ったらええやん。何も使わず辞めてくのはもったいないよ。」

「今は自分が納得する働き方はできへん。いつかまた思いっきり働ける時までの辛抱よ。それまでは省エネでいかに長くやれるか。自分のプライドとの戦いよ。そんな働き方してるママもいないと、これからママになっていく世代も、全力で働けなくなったら辞めなあかんくなるよ。この会社で、ワーママの新しい働き方を一緒に作っていこう。」

と言ってくれた。この上司の言葉で、家族第一優先にコミットして、どんな働き方ができるのか、それでどこまで成果が出せるのか、に挑戦することにした。「仕事を理由に、家族との時間を我慢しない」と決め、「仕事を辞めずに家族との時間も充実している」の状態を目指すことにした。

■省エネ戦法 実際の取り組み:

残業しないと決める→自分の業務時間を社内外に告知する→業務時間内に終わるよう逆算して動く/業務の要点を洗い出し選択と集中→(半年後)業務時間短縮により業務負荷・精神的負荷を軽減するためグレードを下げる(給与は減)→土日出社は月1回にする(通常は毎週土日どちらか出社)

■省エネ戦法に取り組んでわかったこと:

・仕事にはやれたらいいけど、やらなくてもいいことが溢れている。

・時間があればある分だけ働くことができるが、逆に仕事に集中できない時間も生まれていると感じた。

・家族との時間が充実すると、自己が満たされ、仕事へのモチベーションが上がり、成果も出る。

・今日ここまでやってしまいたい!もう少しやりたい!自分との葛藤に最初は苦しむ。しかし、そこをやり出したら家庭とのバランスを崩し、結局、この仕事を続けられない・・・となる。この仕事を続けるために、仕事を終わるんだ!と言い聞かせて、その状態に慣れていく。


【3】何のために働くのか?

最終的には、ここに行きつく。

独り身の時は自己成長や自己実現のために働いていた。結婚して、子どもが産まれて、家族笑顔で豊かに暮らしていくために働きたいと考えていた。そのために、一番大事にしたいものに集中する。今は、家族が笑顔で過ごせればオッケイだ。今、仕事に全力投球しない自分が果たして充実して過ごせるだろうか、と不安も抱くかもしれない。

人生100年時代。これからの仕事人生もまだまだ長いのだ。41歳のわたしにとって、子どもが小さいうちの数年間は、この先20年以上働くと思えば、まだまだ道のりは長い。

ここから数年間、ライフキャリアレインボーでいう、企業人から家庭人としての役割をメインに過ごす期間だと決めた。


【3】まとめ

育休復帰後、これからの働き方に悩み壁にぶち当たった時には、この省エネ戦法を思い出して欲しい。

育休明けのママだけじゃなく、これからの人生100年時代を、なが〜く働いていくために大切な考え方だと思う。

転職相談でお話しするワーママのほとんどの方が、この壁にぶち当たっている。復職前に、以前の職場では到底働ける自信がない。復職したものの、家庭を犠牲にしながら働いていて幸せじゃない。もう少しワーママに理解のある職場に転職したい。退職も考えているとの相談だ。

転職前に、職場に相談、確認してみましょ!と伝えている。これまで会社に尽くして頑張ってきたからこそ、信頼残高が貯まっているはず。今の会社での仕事が好き、人間関係も良い、会社も好き、であれば、こんな時こそ会社に甘えましょ!ずーっとの期間じゃないんです。子どもが小さい期間、長い仕事人生の中でのほんのいっ時のこと。それまで頑張ってきたんだから。会社や上司が柔軟に動いてくれることに対して、周りの人に悪いからと遠慮しなくていい。なぜなら「こんな働き方ができる」と、これから同じようにママになっていく人たちの希望になるから。あなたが一人で業務も家事も背負うことで、潰れてしまって会社を辞めちゃう方が、誰もハッピーにならない。苦しい、助けて!と周りに言うことで長生きしよう。

仕事も会社も人間関係もイヤ、って状況なら、転職活動しましょっ!上司も会社も助けてくれないならば、自分が潰れる前に動きましょう!身体は資本です。身体を壊してまでも、自分がやらなければならない仕事なんてないんです。

休んでいろんな情報に触れる中で、あの時、ワーママ上司が教えてくれた省エネ戦法は、会社の中だけでの働き方ではないと思った。会社を離れ、業務委託やフリーで働くという選択肢もあることを知ったのだ。自分の年齢や経験を考えると、一度会社を離れて、また正社員で!というのは難しいかもしれない。でも、10年後にどんな風に暮らしていたいかを考えた時、その理想の未来を叶えるために動きだすなら今だっ!と思う今日この頃だ。

最後に、この省エネ戦法は、ワーママに限った話でもないと思っている。なんせ、人が働く期間は長い。アクセルを踏む時もあれば、緩める時があっていい。

私たちが歩んだ後ろに道はできていくから。いつか、その道を頼りに歩む人が現れるかもしれない。どの道が正解なんてない。どんな道を歩んでも、必ず未来に続いていく。


この記事は、以前書いた記事をもっと詳しく書きたいなっと思って書きました!


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