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じぶんのことを人に話すことで、じぶん自身と対話することができる「人生の道に迷ったらインタビューを受けよう」〜キャリアアドバイザーが語ります〜

14年間、転職エージェントのキャリアアドバイザーとして働いてきた。

早川きえさんのインタビュー記事を読んで感じたことがある。

インタビューには、受け手にも聞き手にも読み手にも気づきや勇気を与えるパワーがある。私はインタビューにより多様な価値観、広い世界を知ることが好き。インタビューにより人を応援することにやりがいを感じる。

人生の道に迷ったり、じぶんのことがわからなくなったら、人生相談でも転職相談でも、インタビューを受けてみることをオススメする。

これからの生き方を考える上で大事なことが見えてきたので、忘れぬよう書いておきたい。

早川きえさんは、北スペインで美容師兼ライターとして活躍されている方だ。早川さんの行動力、生き方に心を掴まれ、noteを訪問しては勇気と元気をもらっている。

インタビューを受けたことありますか?

インタビューと聞くと、プロ野球のヒーローインタビューがパッと思い浮かぶ。他にも甲子園の監督インタビュー、会社員の受賞インタビューなど華やかなイメージがある。

しかし、もっと身近なところでもインタビューは行われている。

14年間、転職エージェントのキャリアアドバイザーとして働いてきた。お客さんとの初回面談では、その人のこれまでのキャリアや人生の分岐点についてインタビューを行う。面談の最初にお客さんに「今日は●●さんのこれまでの経験やこれからをインタビューさせていただきますね」と伝えている。「ヒアリング」ではなく「インタビュー」と伝えることに拘っている。なぜか?「インタビュー」と表現することで訊問っぽい印象を避けたい。また、お客さん自身に、これから始まる転職活動において、じぶん自身が主役であることを認識してもらいたい。わたし自身も「インタビュー」と伝えることで、その人のことを知るぞ〜とスイッチが入る。

新入社員や社内異動者に対して、相互理解を深めるために他己紹介なるものもある。


インタビューとは?

インタビューとは、単なる情報収集(ヒアリング)ではなく、収集した情報を聞き手がまとめて誰かに伝えるために行うものだ。インタビューについて調べていたらこんな記事を見つけた。

塩野さんは「聞き書き」というインタビューの方法をとられているそうだ。

 ぼくは、 誰かの話を聞き書きすることによって、 その人がしゃべったことを、 誰にも読みやすくて、 かつ、大事なことをいっぱい言ってる、 というふうに、 まとめたいなあと思ってるんです。
──
そのためには、 わざと無駄なことを言ってもらったり、 あえて話をずらして、 「じゃあ、子どものときの話しよっか」 みたいなのを挟んだりしてる。 で、聞き書きっていうのはズルくてさ、 そういう部分は、 本にするとき飛ばしてもいいわけでね。  ──                                                                        テレビなんかの映像だと、 そんなこと、ねえ、できないでしょう。 聞き書きの場合は、 どんなに関係ない雑談をしていても、 最後に、 まとまった文章に構成しさえすれば、 オッケーになるんだよね。

いくつかのテーマを持ってのインタビューではなく、「一生ぜんぶ」を聞く。

雑誌なんかのインタビューだと、 2つ3つ、 小見出しにできそうな話が聞けたら、 じゃ、そろそろ帰りますかって なるのかもしれないけど、 聞き書きでは、 「生まれてから、現在にいたるまで」 を、ぜんぶ聞くまで帰らない。
──
うん、目の前の人の人生の出来事を、 たんたんと聞き続けて、 聞いてるうちに、 「ああ、ここはおもしろいなぁ」とか、 「ここは、 この人にとって絶対大事だな」とか、 「ここ、あとできちっと聞こう」とか、 そんなこと思いながら、聞いてる。
何かを聞くときに 「ぼくの場合はこうだったんだけど、 どうですか」 って聞きかたをしてるし、 「中学のとき、何やってました?」 という質問に、 「野球」って返ってきたら、 「あ、ぼくも野球やってたんですよ。 守ってたのは‥‥」 って反応したりしてるから。
──
取材というより、 ふつうのコミュニケーションに近い感覚。
やっぱり、ただ聞くだけじゃなくて、 ぼくがどんな人間なのか、 少しでもわかったら、 相手だって話しやすくなるでしょう。
──
そのために、ぼくが半分くらいしゃべる。 そうじゃないと、 壁に向かってしゃべるようなものだから。
──

インタビューは一方的に聞くだけではなく、じぶんのことも話す。双方向のコミュニケーションが大事。

どうして「人生ぜんぶ」を聞くのか?      目の前の「この人」が「誰」なのか、 わかりたいから。

目の前の人が「誰」なのかわかりたい一心で人生を聞いているうちに「そういう話だ、聞きたかったのは」 って思う瞬間が訪れる。それはインタビューのご褒美だと語られていた。


インタビューの力

キャリアアドバイザーとして働く中で、初回の面談で、その人の仕事や職場での様子、周囲との関係性、印象的なエピソード等、いろんな切り口で話しを聞く。社会人経験が短い方には、アルバイトや部活、学生時代のことも聞く。

仕事として、企業向けに職務上でのスキルや強みも聞いていく。わたしの拘りポイントとして、その人の価値観や人柄が現れるエピソードを引き出したくて、いろんな話し、いろんな質問をする。

インタビュー後に企業向けの紹介状を書く。応募企業に対して、第三者視点でその人を紹介するのだ。紹介状には、これまでの転職理由、お人柄のエピソード、経験からの強みや汎用性のあるスキルなどをまとめる。面談で話しを聞きながらパソコンに答えを打ち込んでいるので、そこから編集作業を行う。

聞いたままを書くのではない。ただ転職理由を一社ずつ聞くのでもない。転職理由には、その人価値観が現れている。ひと通り転職理由を聞いた上で、一緒に振り返り、その時そのときの判断に意味付けを行っていくことで、その人のストーリーができる。点と点を繋いでいくことで、一つの道ができあがるイメージだ。

過去を振り返り、今感じていること、これからどうしていきたいのかを言葉にしていく。うまく言葉にならない場合は、そのお手伝いをする。

過去、現在、未来について、じぶんで語ってもらう。その点と点を繋げてその人のストーリー作るのもキャリアアドバイザーの仕事だ。

この作業は、一人でやるよりも客観的な視点があると見えるものがある。じぶんにとって当たり前の決断や選択が、他人から見ると驚きだったりする。人生の岐路における選択の傾向が見えたりする。ある時を機に、選択の基準が変化していたりもする。

インタビューを通して受け手は、よりじぶんを知ることができる。一人でも自己分析や内省ができるけど、限界もあるし、自分の思考の癖が出る。

面談を終えたあと、「じぶんでも気づかなかった想いに気づくことができた」「何に不安を感じていたのかモヤモヤが晴れた」「これから何目指す方向が明確になった」などの感想をいただけることはアドバイザー冥利に尽きる。

面談後に書いた紹介状の内容を共有すると、「まさしく自分が大事にしてきたことを言葉でまとめてくれてありがとう」と感謝の声をいただけることも嬉しい。

企業面接の中で、紹介状に書いたエピソードに面接官が触れてくれたことで、その人の人柄や職場での信頼性をアピールすることができたとの報告をいただけることもあり嬉しい。


他人との対話だからこそ見えるものがある

転職相談では、初めましての方と面談を行う。だからこそ、聞き手であるこちらのことを知ってもらい信頼いただくことも大切だ。語り手がどこまで心を開いてじぶんのことを話せるかに影響する。それならば、信頼関係のある者どうしで話しをするのが良いのでは?となるが、それでは新たな気づきが生まれにくい。聞き手が、相手の事を知っているため気持ちをよんでしまう可能性があるからだ。初めましてのインタビューだからこそ、語り手の一つ一つの選択に「なぜだろう?」と疑問がもてる。語り手はこれまで考えたこともなかったことを、そう云へばなぜだろう…と考えて言語化する。ここが他人を介して自分と対話できるポイントだと思う。

自分のことを知りたいと思ってくれる他人にインタビューしてもらうとよい。一般的に考えられるシチュエーションは、人好きの人との偶然の出会い、転職相談、面接くらいかもしれないが。


インタビューで人を応援する

わたしにとって、面談はインタビューだ。良い面談ができると、お客さんの満足度が上がり、じぶんのキャリアを考えることに対して前向きなフィードバックをもらうことができる。自分のことがわからないと面接にも自信がもてない。自分のことを言語化して語れる状態になると、自信がつき「よし、いっちょ求人に応募してみるか!」と勇気も湧いてくる。自分の状況を再認識した上で、転職ではなく今の所で頑張ってみるとの決断をする人もいる。

インタビューを通して人の人生や価値観に触れ、じぶんの世界が広がることが楽しい。インタビューを通して、人が気づいたり、前向きになったり、一歩を踏み出すための応援ができることが、わたしの遣り甲斐だったんだと気づくことができた。


じぶん自身の楽しみ、やりがいを見つけることができた。これをやりながら生きていけたら幸せだなぁと思いながら、これからを考えていく。




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