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【短編小説】刺身と日本酒



金曜日。



私は既にお店にいた。


カウンター越しに店長と会話しながらゆったり日本酒を飲めるお店。



こじんまりとした店内にいるお客はみんな常連ばかりだった。




「大将、今日のおすすめは?」



ホワイトボードに書かれた手書きのメニュー。



大将に聞けば教えてもらえる裏メニューと隠された酒。




日本酒が入った冷蔵庫の奥から引っ張り出されたそれはキリッとしていて、とても爽やかな後味。



目の前に並んだお刺身たちは手に持ったおちょこの中身と抜群の相性だった。



席を一つずつ空けて座っている常連たちは間隔が空いていながらも旧友のような親密さで談笑している。



私はそれを端っこで眺めるのが大好きだ。



お刺身のこってりとした食感、脂の乗った魚。


それを肴に飲むキリッとした日本酒。




最高の空間で飲む最高の酒。



楽しげにおしゃべりする常連たち。




そのゆったりとした最高の空間に浸りながら、ゆっくり深呼吸をする。




アルコールの香りが鼻から抜けるのを感じながら、最高の週末を迎えた。

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