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無免許講師が往く、ドラム講義⑥<続・フォームの作り方編>

早く楽器を叩かせろとの怒号も飛び交う中、前回の積み残しから。あくまでマッチドグリップを前提に話を進めてきました。左利きなんすね、じゃあレギュラー持ちで、なんていう思考停止には陥りたくないものです。マッチドである程度叩いてみてそれから判断するならまだしも、早段階からコロコロと奏法をイジってしまうのはいただけません。あくまで主宰個人の意見。

レギュラーって相当難しいですよ。主宰もいまだに8割くらいは我流です。要らないところに沢山水膨れとか筋肉とか出来ますし、そもそも左右均等な音色に辿り着けるのかと言われると正直どうなんでしょうか。マッチド以上に長く険しい道のりが待ち受けていますから、主宰自身、あまり後輩達にもオススメした経験がありません。この辺り特に有識者様のご意見希望です。

「脇を開いて叩け」論に少し補足させて下さい。

脇を絞めるデメリットの一つに、「元の構え位置に戻せない」「フォームが安定しない」がある。二つあるじゃない。手厳しいご意見はスルーしまして脇を開くことでこれらが解消される可能性は極めて高い。「肘の置き位置」が定まるからですね。元いた位置に戻すようにフォームを組み立てていけば良いので、姿鏡があるとさらにイメージが具体化しやすい。

ここまで統一できて初めて、左右交互に叩き始めるのが理想ですが。大半のドラマーは飽きて早々に切り上げちゃうと思います。1日5分なり10分なり、継続して取り組む練習メニューの1つとして「左右同時打ち」を取り入れてみるのは正直かなりアリだと思います。日進月歩でフォーム矯正。左手で箸を持つ必要なんてもうありません、根性論を捨てて人間工学に向かおう。

立体的なフォームが立体的な音像を作り出す。当然の帰結です。

前段としてまず「スティックの入射角はなるべく直線に近付ける」ことから始めてみるのをオススメします。3Dの話をする前にまず2Dという訳です。姿鏡がある方は、立ち/座り位置に少し角度付けて叩いてみて下さい。確認事項は一点、スティックが真っ直ぐ打面に向かっているかどうか。すなわち真っ直ぐ腕が振れているかどうかのチェックも兼ねています。

蛇足ですが、課題を一点指摘されたらその課題だけをチェックすることを心掛けてみるのが良いかもしれません。あれやこれやと一気に注文されても解決できる訳がありません。主宰は元来マルチタスクができない人間です。細かくパーツ分けした上で、バラして練習することを基本としてます。右手なら右手、左手なら左手と割り切る姿勢も意外と大切かもわかりません。

フォームの3D化を文字情報に起こすのって至難の業ですね。

なるべく言語化できるよう努力しますと、例えばブランコや時計の振り子。位置エネルギーと運動エネルギーの話ですよね。振り上げの動きの頂点に「タメ」を作ってみたりすると、フォームにメリハリが出てくるはずです。スティックの重さだけでなく腕を振り下ろすスピードによっても音量や音色が変化しますから、いろんな観点から総合的に見ていく必要があります。

聴衆に動きで訴えかけられるようになると音楽性の幅は一気に広がります。叩き方によっても音の色付けや味付けに変化を加えることができるという訳です。敢えて淡白な叩き姿を観客に印象付けることでタイトな音だなあとか正確無比だなあなんて感じてもらえる瞬間もあったり。あの名ドラマーってそこまで緻密に計算して、あのフォームに辿り着いたのかあってなる。

ここで毎回恒例「大は小を兼ねる」のコーナー!!!

フォームについて試行錯誤する時の基本は「できるだけ大きく叩く」こと、大きな動きから要らない肉をそぎ落としていくという順番で。小さな動きを無理やり大きくしようとすると、不自然な動きあるいは無理な動作が加わる恐れがあります。変な叩き方だなあくらいで済めば良いですが、最悪の場合「怪我に繋がる」可能性もあります。腱鞘炎だとか、骨折だとか。

以前どこかで書いたことがありましたっけ。主宰は「機能性ジストニア」に近い症状で一時期、ドラム演奏から離れていた時期があります。最近やっと再開し始めましたが、音楽を生業としないアマチュアドラマーですらそんな状態になったりしますので皆様どうかお気を付けください。いち経験者からの警鐘。いきなり重たい話ですいません、カマキリの話とかします?

返す返すも、リラックス。脱力。スティックが落ちない程度に握ること。

ハードヒッター時代のツケが10年越しで回ってきたか。若干話が脱線したので本筋に戻すと、「大きく叩く」というのはなにも仰々しいフォーム万歳なんて言ってるわけではないですよ。あくまで「型を作る」イメージ、「型があるからこそ崩しが成り立つ」のが音楽の世界だと主宰は感じます。大きく作った型から必要な部分だけ選び取って、小さく叩くなんて場面といえば。

例えば小編成のコンボジャズで髪振り乱して叩いてる方見たことありませんよね、たまにいるかな。まあいいや、主宰は「大きく叩く」ことで編み上げた奏法をより省エネモードに「崩し」て叩いてます。動き自体は小さくなってますが、基本フォームは全く変わってません。ジャンルや編成の大小で奏法を使い分けるケースなんてのもあったりしますかねえ。

小難しい話はもっと後半にするべきだったかもしれない。次回へ続く。

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