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【背伸びして入社したIT企業がドブラックだった件】面接は誤魔化して受けるべきではないと思う理由
わたしは新卒で中小のIT企業に入社しました。
当時、わたしは焦っていました。なんたって大学四年生の年明けて一月。SPIや書類はどこも通過する。第一面接もグループ面接も進めるのに、第二、第三で上手くいかない。未だ内定が決まりません。
周りには内定が決まり遊んでいる子。私と同様に就職活動している子。就職活動自体諦めてしまった子もいました。
内定が欲しい。
その一心で合同面接会に出席しました。
そこで一人の面接官さんと出会います。その方と意気投合したこともあり、無事内定が決まりました。
内定をもらうために意識したこと
第三面接まで行いました。
第一面接はその面接官の方と。
第二面接は人事の方々と。
第三面接は社長と。
そこでわたしがそれまでの面接でしなかったことを意識してやりました。それは、「自分の主張を一切しない」ということ。
「勉強会あるけど大丈夫?」
「はい」
「みんなでわいわいするのが好きなんだけどいい?」
「はい」
「社内イベントもあるんだ」
「分かりました」
向こうの要望には全てYES。相手の話を遮らない。相手が話すままに話を聞いて首肯する。
本当は色々聞きたかった。
勉強会っていつやるんですか。
わいわいってなんですか。
社内イベントってどんなことをするんですか。
正直、わたし自身は学部や講座ごとに友人があちこちいても、集まってわいわいするタイプではありません。集まりがあっても、年に一、二回しか顔を出しません。休みの日は休みたいです。
でも。
「質問はありますか」
「ありません」
いい加減行く場所を決めたい。
質問をして嫌な顔をされてしまったら、それで落ちてしまうからと疑問全て飲み込みました。
「未経験でもちゃんとプッシュアップするから安心してください」
「なんでも聞いてくださいね」
言われて入社した四月。予期していなかった怒涛の三ヶ月が始まります。
入社後研修と資格取得
入社日に早速、新卒勢が集められて研修が行われます。教育係は面接官だった方でした。
「君たちはまだ会社に貢献できない。そんな君たちを給与を出して働けるように教育するだから、会社に感謝して会社のために頑張りなさい」
今だったら聞いただけでげんなりします。
しかし、当時のわたしは大真面目に「そりゃあそうだよな。採用してくれたんだから有難いよな。頑張ろう」と本気で思っていました、やれ恐ろしい。
先輩について行って出向している企業で働くことになると説明を受けました。
その際の名刺代わりが資格。とにかく資格を取れと言われました。
「まずはITパスポート。三週間で取ること」
マジで?
マジでした。当然ながら、休日返上。
平日は会社で研修という名のお茶出しや電話対応、その他基本業務の習得に加え、資格勉強。土日は図書館の自習室。土曜日だったか、日曜日だったかに試験を受けに行った覚えがあります。
せめて六時終業後は休もうと同期一同直帰していたら、三日経たずに見兼ねた教育係さんから、
「先輩たちが君たちに会えないって寂しがってたよ」
「コミニュケーションとっておいたほうが仕事しやすいから」
「みんなが出向先から戻るまで待っててね」
そう言われて、報告がてら戻ってくる先輩方を七時半まで待っていました。
それから座談会という名のコミニュケーション。終わるのは九時十時。何を話す訳でもありません。普通に座って駄弁っているだけ。煙草が吸えるからと、ベランダに付き合わされている子もいました。
退路を絶たれ、実質無休のままITパスポート無事取得。次に待っていたのは、イベントと勉強会でした。
イベントと勉強会
事前に押さえておきますが、資格試験、イベント、勉強会。全て土日祝日に催されます。そしてその準備は、基本終業後に行います。業務ではない以上、残業扱いでも休日出勤扱いでもありません。
「ももこさん。今回、幹事頼むね」
マジで?
断ることも出来ずに先輩方に混じってBBQの準備をします。どこでやるのか、どんなタイムスケジュールを組むのか、どんなレクリエーションをするのか、何を用意するのか。
先輩方は出向しているため、去年の資料を元に考えて、帰ってきた彼らに報告してアドバイスをもらって練り直す。
研修と同時進行で勉強会のスライド作り。
何を題材にしたのかも覚えていません。勉強会の終わりにカレーを作ったことだけは覚えています。片付け終わって会社の壁に掛けてある時計を見上げたら日付が変わる手前。
終電に間に合わない。
同期揃って慌てて会社を後にしました。
BBQも「先輩方に喜んでもらうんや!」と張り切って、自分は全く食べずにひたすら裏方やってました。材料を用意して、皆が遊んでいる間に片付けて。現地解散で帰りにコンビニでおにぎり買って食べました。
食べられなかったのは自分の要領が悪かったからだと思い込み、「〇〇先輩が褒めてたよ」と言われて嬉しいと思っていたのだから、今振り返ると我ながら無休二ヶ月経っていい感じに染まっていたなと思います。
目が覚めた時
教育係さんの態度が百八十度変わりました。
「自分で考えて」
きっかけは教育係さんが同期を連れて、とある職場に仕事をしに行ったときのこと。
やったことない。
全員でパソコンの設定に伺ったのですが、いかんせん、元々パソコン操作方法が得意な方ではありませんでした。間違えて設定したら迷惑がかかると考え、その場で確認したのがいけなかった。
答える表情が固かったので、そういうことだと思います。
それからというもの、会社での居心地が悪くなりました。
出勤、したくない。
眠れない、胃が痛い、ご飯が喉を通らない。自業自得。仕方のないことです。自分の未熟さが招いたこと。でも同時に思いました。
会社のために頑張る必要ってあるのかな。
三ヶ月経って、試用期間を終えたわたしは会社を辞めました。
辞意を伝えると、教育係さんは焦ったようにがらりと表情を崩し、昔の人柄に戻りました。
「社長に言われてやったんだ」
「私の意思ではない。私はそうしたくなかった。居づらい思いをさせて悪かった」
そして社長からは、
「教育係が育てたいと強く希望したから採用した」
そう、告げられました。
つまり、取りたくはなかったが取った、と。そう聞こえました。
最終出勤日。
帰り道で電話を掛けました。
「そう。お疲れ様」
親からの労い。そして。
「どうした?何されたの」
幼馴染みに会社を辞めたことを告白すると、「ももこが辞めるってよっぽどじゃん。何があった」と心配してくれました。その声を聞いて、初めて涙が溢れました。
自分に合わないところに入る必要はない
100パーセント自分に合う会社は存在しません。ただ、自分が妥協できる範囲か否かだと思います。
わたしは休む時は休みたい。
残業するなら残業代が欲しい。
資格の勉強はするけれど、別途しょっちゅうイベントや勉強会はしたくない。
故に、シフト制の業界を当たることにしました。シフト制であれば、次の人が入ってきてくれます。余程でなければ休日は休日で休むことができます。
付き合い(コミュニケーション)がないと仕事が出来ないと聞きますが、とんでもない。シフト制のところは皆さん基本直帰です。
時たま飲みに誘われることもありますが、年に一、二回の集まり以外、無理に出る必要はありません。(集まりも仕事が入ってる人は出られませんし、その日が休日であれば呼ぶことはありません。だって皆休みたいですから。最初から出勤人数が多い日に設定します)
IT業界もピンキリです。
兄弟が通っているところは土日祝日ちゃんと休めますし、残業も余程でないとありません。雇用形態が契約社員だということもあるかもしれませんが。
内定が欲しいから。
採用されたいから。
だからと言って、「本当に妥協できないところ」まで妥協する必要はない、と。今の私はそう思います。
ちゃんと求人を見て、自分がここでなら働けると思える場所を選んで受ける。
企業は求人を出しているから、必ずしも人が欲しいというわけではありません。
人が増えたらできる仕事が増える。あるいは一人当たりの仕事量を調整することが出来るので、こちらの希望に合う人がいたら採用したいな、と思っているところも少なからずあります。今現在、いなくても仕事が回っています。だから会社が成り立っている。
逆に。
本当に人を探しているところは何を言っても、何を言われても取ってくれます。
聞かれたことに答えて。分からないところはちゃんと聞いて。
「で、いつから来られる?」
そう聞かれた瞬間悟りました。
ああ、わたしでも普通に取ってくれるところがあるんだ、と。
それからというもの。
お祈りメールが届こうとも、「そこまで人探してなかったんだろう」「縁がなかったんだ、次」と考えるようになりました。
半年後、風の噂で聞いた話ですが。
新卒で入ったそこは、同期一人を残して皆退職したそうです。その一人も体調を崩して休職中だとか。
七月が終わり、八月になろうとしています。
新卒で内定が決まっている方、いない方。転職組で新しい職場を探そうとしている方。
特に新卒組は決まっていないと焦りが出てくる時期かと思います。
でも、未来のことは誰にも分かりません。
大学時代のわたしはよもや、苦手な英語を使うホテル業界や専門外の薬局業界で働くことになろうとは夢にも思いませんでした。
友人の中には新卒で入社出来ず、派遣で働きながら、「給与も人間関係が悪くないから」と正社員登用を受けた子もいます。
色んなところに縁があって、その縁と縁とが繋がって未来の自分になります。だから、今が未来の全てを決めるわけではありません。
面接は、先方がこちらを確かめる機会であると同時に、こちらが見極める場でもあります。
誤魔化して入社したら後になって自分が苦しみます。企業側も戸惑います。お互い損をしてしまいます。
急いでいる時こそ、焦らずに。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。拙者の体験談が、どなたかの参考になりましたら幸いです。
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