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記事一覧

音の故郷に立ち帰る

東京に住んでいて実家が関西の田舎にあると、毎年帰省するのはそんなに簡単ではない。クルマで帰っても、あるいは新幹線でも、3時間や4時間ではとてもたどり着かない。かつ…

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Pat MethenyのJamesイントロ問題

竹内まりやとPat MethenyPat MethenyのJamesっていう曲がありますね。「OFFRAMP」収録の名曲名演です。初めて買ったECM作品かもしれない。18のころだった。AメロのDM7 GM7…

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REWのERB Smoothingについて

はじめに部屋の音響特性を比較的簡易に測定できる素晴らしいフリーソフトウェアにRoom Acoustic Wizard (REW)というものがある。REWそのものについては日本語でも各種解説…

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Austrian Audio CC8

個人スタジオに向いてるスモールは?前回のスモールダイアフラムコンデンサの話の続きです。雑にまとめると、 という話でした。 CC8その候補が最近のモデルでいうとCC8な…

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スモールダイアフラムは音が硬い?

Todd Yarbroughさんの質問 小さな部屋でドラムを録るときに、スモールダイアフラムコンデンサマイクをいくつか使ってきました。Shure SM81やRode NT55のペアです。部屋は…

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トランスじゃない方のJensen

Jensenというスピーカーメーカーがある。Jensenというトランスメーカーもある。なんとなく同じだと思っていたが、どうやら全く別の会社のようだ。スピーカーはイタリアで、…

海の時間/虫の時間

10年くらい前のある日、僕は直島にいた。海沿いの美術館をひととおりうろうろしたあとで、ガラス張りの白いミュージアムショップに入ると、濃いブルーのジャケットの一枚の…

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[ネタバレ]イタべこ![楽曲解説]

はじめに手品の種明かしをしてはいけない。魔法はとけない方が良い。でも知りたいって気持ちもあるよね。 はじめに書いておくと、この記事は野暮なことをしようとしている…

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Al Schmittの話 その3

前回の続き。 この記事を翻訳しつつ紹介する。 無修正Schmittによると、どの曲も同じレコーディング手法で録ったという。毎日三時間のセッションを二回、それを週に五回…

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Al Schmittの話 その2

前回の続きです。 Bob Dylanのレコーディングの話前回はAl Schmittの総論を書いたので、今回は各論を書いてみよう。2015年に発表されたBob DylanのShadows In The Nightと…

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Al Schmittの話 その1

Al Schmittの優れた仕事はたくさんある。 George Benson、Steely Dan、TOTO、Yellow Jackets、Joao Gilberto、Dr. John、Henry Mancini、Niel Young、Brian Setzer、Tower…

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ヒモ活

コンデンサマイク録音におけるマイク→プリアンプのセクションにどのケーブルを使うかでどのように音が変わるのか、あるいは変わらないのか。試してみたので思ったことを記…

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ElysiaのCEO Rubenの開発日記Blogを翻訳してみる(後編)

前編の訳はこちら。 今回はこの後編を訳してみる。 ーーーーーーーーーー (ここから訳) 前回のエピソードで、紆余曲折を経てTransient Designerのアイデアを思いついた…

ElysiaのCEO Rubenの開発日記Blogを翻訳してみる(前編)

ElysiaのHPを読んでいたら、CEOのRubenがSPL Transient Designer (あるいはElysisa nvelope)を開発した経緯を書いたブログを見つけた。読んでみるとなにか琴線に触れるもの…

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音楽制作とはんだ付け

はじめに音響の世界と電子工作は、実は切っても切れない関係にある。DTMと半田付けは、意外なほどに高い親和性で結びついている。とくにケーブル製作がそうで、仕様や納期…

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Mic&Mod U47のケーブルについて(追記あり

20200707 Gotham GAC-7などについて追記しました。 以前アップしたU47クローンの記事↑の追記。 キットに付属している7芯(実質6芯)のマイクケーブルが"クソ"で作り直した…

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音の故郷に立ち帰る

音の故郷に立ち帰る

東京に住んでいて実家が関西の田舎にあると、毎年帰省するのはそんなに簡単ではない。クルマで帰っても、あるいは新幹線でも、3時間や4時間ではとてもたどり着かない。かつては当たり前にあった実家が、人生が進むにつれ、気が付けば遠いものになっている。

2024、夏。

ともあれ今年は帰ることにした。まあ去年は葬式があったし、実際には毎年のようになんやかんやと立ち寄ってはいるのだが、こうして夏の帰省らしく帰

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Pat MethenyのJamesイントロ問題

Pat MethenyのJamesイントロ問題

竹内まりやとPat MethenyPat MethenyのJamesっていう曲がありますね。「OFFRAMP」収録の名曲名演です。初めて買ったECM作品かもしれない。18のころだった。AメロのDM7 GM7以外はマジでなんもわからんかったけども、めっちゃ好きでめっちゃ聞いてました。そういえばこれAメロの最初のところだけ竹内まりや「元気を出して」がそのまま歌えるんですよね。

Jamesのイントロそ

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REWのERB Smoothingについて

REWのERB Smoothingについて

はじめに部屋の音響特性を比較的簡易に測定できる素晴らしいフリーソフトウェアにRoom Acoustic Wizard (REW)というものがある。REWそのものについては日本語でも各種解説が手に入るのでここでは書かない。REWのSmoothingの実際についてもここなどで詳しいので参照されたい。Smoothingで何が変わるのか具体的にまず把握するのにもよいでしょう。REWで生成するEQの結果にも

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Austrian Audio CC8

Austrian Audio CC8

個人スタジオに向いてるスモールは?前回のスモールダイアフラムコンデンサの話の続きです。雑にまとめると、

という話でした。

CC8その候補が最近のモデルでいうとCC8なわけですが、先日買ったのでさっそく録ってみました。アコギです。ついでにAKG C451BとShure KSM141(カーディオイドモード)とLewitt LCT340(カーディオイドカプセル)も並べてみました。絵面がアレですがいい

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スモールダイアフラムは音が硬い?

スモールダイアフラムは音が硬い?

Todd Yarbroughさんの質問

小さな部屋でドラムを録るときに、スモールダイアフラムコンデンサマイクをいくつか使ってきました。Shure SM81やRode NT55のペアです。部屋は、ベーストラップと広域吸音パネルと拡散材でトリートされています。カーディオイドモードのNT55は2-4kHzに強調がありちょっと痛く聞こえました。SM81はもっと艶があるけれども6-8kHzに一層の押し出し

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トランスじゃない方のJensen

トランスじゃない方のJensen

Jensenというスピーカーメーカーがある。Jensenというトランスメーカーもある。なんとなく同じだと思っていたが、どうやら全く別の会社のようだ。スピーカーはイタリアで、トランスはアメリカ。創始者も別人である。そこまではいいのだが、ここにちょっとした疑問がある。

今日はスピーカーの方のはなし。Jensenのスピーカーは、草創期のフェンダーのアンプをはじめ、当時のLeslieなどにも軒並み採用さ

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海の時間/虫の時間

海の時間/虫の時間

10年くらい前のある日、僕は直島にいた。海沿いの美術館をひととおりうろうろしたあとで、ガラス張りの白いミュージアムショップに入ると、濃いブルーのジャケットの一枚のCDが目をひいた。

Walter De Maria "DRUMS AND NATURE"

そう書かれたアルバムはそっけない装いだった。この作品は知らなかった。De Mariaという名前も知らなかったし、ジャッケットにも特に惹かれはしな

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[ネタバレ]イタべこ![楽曲解説]

[ネタバレ]イタべこ![楽曲解説]

はじめに手品の種明かしをしてはいけない。魔法はとけない方が良い。でも知りたいって気持ちもあるよね。

はじめに書いておくと、この記事は野暮なことをしようとしている。先日リリースされた楽曲「イタべこ!」がどういう背景で歌われた曲なのか、作者が解説しようというのである。ここまで読んで嫌な予感がした読者は迷わず踵を返してほしい。

一方で、イタべこのあの歌詞、どういう意味なのだ?知りたいのだ…って思って

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Al Schmittの話 その3

前回の続き。

この記事を翻訳しつつ紹介する。

無修正Schmittによると、どの曲も同じレコーディング手法で録ったという。毎日三時間のセッションを二回、それを週に五回のペースで三週間くりかえした。セッションの合間に、次に録る予定の曲、古いSinatraの録音物をポータブルプレイヤーで聞いた。同じ様なアプローチを試みるためではなく、解釈のアイデアを得るために。時に数時間にもわたって次の曲をどう演

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Al Schmittの話 その2

Al Schmittの話 その2

前回の続きです。

Bob Dylanのレコーディングの話前回はAl Schmittの総論を書いたので、今回は各論を書いてみよう。2015年に発表されたBob DylanのShadows In The Nightというアルバムのレコーディングに関してSound On Sound誌に記事が出ている。それを一部翻訳あるいは参照しながら紹介していく。

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Frank Sinatra

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Al Schmittの話 その1

Al Schmittの話 その1

Al Schmittの優れた仕事はたくさんある。

George Benson、Steely Dan、TOTO、Yellow Jackets、Joao Gilberto、Dr. John、Henry Mancini、Niel Young、Brian Setzer、Tower Of Power、Earth, Wind and Fire、The Astronautsなど往年のクラシックスからFrank

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ヒモ活

ヒモ活

コンデンサマイク録音におけるマイク→プリアンプのセクションにどのケーブルを使うかでどのように音が変わるのか、あるいは変わらないのか。試してみたので思ったことを記録しておく。

いちらんMogami 2534 1.5m
Mogami 2549 3m
Canare L-4E6S 3m
Neumann K-3 x0.2 3m
Gotham GAC-3 3m
Accusound MX4 3m☆
Beld

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ElysiaのCEO Rubenの開発日記Blogを翻訳してみる(後編)

前編の訳はこちら。

今回はこの後編を訳してみる。

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(ここから訳)

前回のエピソードで、紆余曲折を経てTransient Designerのアイデアを思いついた経緯を書きました。私の仕事を少し理解してもらえたのではないかと思います。私が初めて開発したコンプレッサーDynaMaxxのことも書きました。

突然の思いつき: 差異――決定的なアイデア

「差異」というテーマを

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ElysiaのCEO Rubenの開発日記Blogを翻訳してみる(前編)

ElysiaのHPを読んでいたら、CEOのRubenがSPL Transient Designer (あるいはElysisa nvelope)を開発した経緯を書いたブログを見つけた。読んでみるとなにか琴線に触れるものがあったのでその趣旨を訳してみることにする。

ちなみに私はnvelopeどころかElysiaを一つも持ってない。そのうち買いたい製品はいくつかあるけれど。xfilterとnvelop

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音楽制作とはんだ付け

音楽制作とはんだ付け

はじめに音響の世界と電子工作は、実は切っても切れない関係にある。DTMと半田付けは、意外なほどに高い親和性で結びついている。とくにケーブル製作がそうで、仕様や納期などの融通が効く、数を作る際は経済的メリットも大きい。そんな理由から、多くの音楽人がケーブル製作に興味を持つと思う。

もちろんはんだ付けを避けて通ることはできるが、そのためには外注してお金を払い、仕上がりを待つという二つのコストを払うこ

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Mic&Mod U47のケーブルについて(追記あり

Mic&Mod U47のケーブルについて(追記あり

20200707 Gotham GAC-7などについて追記しました。

以前アップしたU47クローンの記事↑の追記。

キットに付属している7芯(実質6芯)のマイクケーブルが"クソ"で作り直したので情報共有しておきます。つくったやつはこんな感じ。

問題の箇所は、U47に刺さる側のケーブルのメスコネクタ。この出来が悪い。接触不良を起こします。コネクタの規格としてはNeutrikのNC7FXXとコン

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