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Al Schmittの話 その1

Al Schmittの優れた仕事はたくさんある。

George Benson、Steely Dan、TOTO、Yellow Jackets、Joao Gilberto、Dr. John、Henry Mancini、Niel Young、Brian Setzer、Tower Of Power、Earth, Wind and Fire、The Astronautsなど往年のクラシックスからFrank Sinatraの引退作「Duets」、あるいはBob Dylanの最近の作品まで、たくさん。

初期のTommy Lipumaとの仕事が有名だけれど、最近のもすごい。今回はそういう話をしたいなと思う。

音響的Al Schmitt

僕がAl Schmittの録音が好きなのは、それがひとえにアコースティックだからだ。Alの音は、いつ誰を録ったものであれ「いい音」なのだ。音楽とはアコースティックなものであり、いい音はやはりまたアコースティックである。ジャンルや時代が変わっても変わらない。人間が耳から音楽を聞いている限りは。

僕は特にAl Schmitt信者ではない。他にも優れたレコーディングエンジニアはたくさんいると思っている。でも現代において音楽という名のアコースティクスを扱うとき、彼の仕事は避けて通れない。単純にすごいので。

総体的Al Schmitt

Alの音が良いのは、全部すごいからだ。最高のミュージシャンを、最高の気分で演奏してもらい、それを最高の部屋(Capitol Studio AもしくはB)で、最高のマイキングで録る。そしてそれをAlがミックスダウンする。すべてが最強なので結果も最強なのである。こういう方向性の録音に関して言えば現代の録音芸術のひとつの頂点だろう。

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(ミュージシャンを"コマ"して最高の気分にさせようと試みるAlの様子)

Alの仕事その60年

1963年。

これは1976年。Harvey Masonのドラム!

1982年。Jeff Porcaroのドラム!

1999年。

これは2009年。

2015年。

そして90歳になった今もDiana Krallの録音などをやってますね。2020年。

Alの本

自伝的ドキュメント。若い頃の苦労話から最近の自慢話まで網羅している。共作したミュージシャンに対するコメントと、彼らからAlへのコメントも載っていてクロスレビューのようで面白い。2018年。

よりマイキングや機材(マイク、アウトボードとも)に特化した内容。個別のマイクや機材についてAl本人の解説コメントが載っているのでいろいろ買いたくなってしまう。2018年。

次回予告

Al Schmittその2では、2015年録音のBob Dylan "Shadows in the Night"について書こうと思う。

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以下は大した内容ではありません。どうしてもお金を払いたいという人はどうぞ。ぜひどうぞ。

Al Schmittと僕

Alをはっきりと意識したのは最近で、2017年に僕はたまたまとあるきっかけで音楽制作をまじめにやることになった。作るからには多少は研究もしようということで、Donald FagenのThe Nightflyについて当時調べていた。

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