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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2021年3月の記事一覧

談古堂(藪内家の茶室)



「談古堂(だんこどう)」

京都藪内家の茶室。

廊下をはさんで雲脚があります。燕庵の露地口もそばにあり、茶事の際には寄付・袴付の機能をもつ座敷でもあるそうです。

内部は六畳で、天井全体が竹垂木・竹小舞の舟底天井で、この侘びた造りが最大の特徴です。

床も簡素な壁床で、煤竹を織部板風に見立てて付けられており、壁の腰張りもこの壁床のところだけは張っていません。

この煤竹のみの壁床と舟底天井が

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雲脚(藪内家の茶室)



「雲脚(うんきゃく)」

京都藪内家の茶室。

天正9年(1581年)10月2日、千利休より相伝の賀として藪内家初代の剣仲に贈られた茶室と伝わります。同家にはこの茶室とともに、利休筆「雲脚」の瓢形板額・炉・風炉用の道具一式が伝来しています(板額は下がり壁に掲げられています)。

元治元年(1864年)の蛤御門の変で藪内家が類焼して後、翌年ただちに再建されたのが現在の雲脚だそうです。

外観は屋

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伏見稲荷大社 御茶屋(一の間)



「御茶屋(おちゃや)」

後水尾院より拝領したと伝わる数寄屋風書院で、京都の伏見稲荷大社に現存。

後水尾院は寛永期(1624〜44年)独特の公家文化を一気に開花させたサロンの中心人物であり、後水尾院を知る上でこの御茶屋は修学院離宮や水無瀬神宮の燈心亭とともに重要な遺構として数えられます。

主室は七畳敷の「一の間」と八畳敷の「二の間」からなり、両者は襖を介して東西に並びます。今回の図面は「一

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山雲床(大徳寺孤篷庵の茶室)



「山雲床(さんうんじょう)」

大徳寺孤篷庵の茶室。

小堀遠州のつくったものと伝わる大徳寺龍光院の密庵(国宝茶室)の写しで、寛政5年(1793年)の火事の後、近衛家と松平不昧公の援助を受けて新たに計画建設されたものです。そして、当時の和尚は松平不昧公に助言を求めたと伝わります。

主室である六畳の書院である直入軒の北側に建てられ、これは焼失前の間取りとは変わっているそうです。

不昧公は古典

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利休堂(裏千家の御祖堂)

「利休堂(りきゅうどう)」

裏千家にある祖堂。

三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)では祖である千利休をそれぞれで祀り、「御祖堂」とも呼ばれています。

裏千家4代の仙叟宗室が元禄3年(1690年)の利休100年忌を期して営んだのが最初であると伝えられます。

その後、天明8年(1788年)の大火で失われるも利休像は無事であったため、寛政2年(1790年)の利休200年忌に際して、今日庵・又

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