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京都にある茶室

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守るべき文化財の宝庫、京都に現存する茶室を集めました!
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2020年7月の記事一覧

霞床席(大徳寺玉林院の茶室)



「霞床席(かすみどこせき)」

大徳寺玉林院の四畳半席。

同じく玉林院にある草庵茶室「蓑庵」と連携し、茶事で法要(仏事)を営むことができる施設として工夫されています。その際、この茶室は鎖の間として機能します。

内部は四畳半、土間廊下からの上がり口は二枚障子(貴人口)で一間の床を構え、床柱は端正な杉の磨丸太、床框には竹。地板を敷き、ほぼ中央の高さに違棚(ちがいだな)を設けます。

書院におい

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裏千家の咄々斎(八畳の座敷)

「咄々斎(とつとつさい)」

京都裏千家の茶室。

天保10年(1839年)の利休250年忌に際し、裏千家11代玄々斎(1810〜1877)が溜精軒などとともに造営していた「稽古の間」

それを安政3年(1856年)に宗旦200年忌を営むために改修されたのが、この「咄々斎」だそうです。「咄々斎」は宗旦(利休の孫)の号でもあります。

八畳本勝手の四畳半切(広間切)で、種々の稽古に適していることから

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溜精軒(京都裏千家の茶室)

「溜精軒(りゅうせいけん)」

京都裏千家に現存。

裏千家11代玄々斎(1810〜1877)は天保10年(1839年)、利休居士250回忌に際して、裏千家の大規模な増築を行った。

その玄々斎が好んだといわれるのがこの溜精軒で、裏千家最古の書院である寒雲亭と接しており、廊下の一部を囲ったような六畳敷で、逆勝手台目切りの茶室です。

床は亭主床の壁床。点前座の正面には丸太柱と袖壁が立ち、最下部には

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寒雲亭(裏千家の書院)

「寒雲亭(かんうんてい)」

京都裏千家に現存する八畳の座敷。利休の孫の宗旦好みと伝えられています。

同じ敷地内の侘び数寄のための茶室「又隠」や「今日庵」とは異なる書院造りの座敷で、敷地内では最も古い書院とされています。

一間の床と一間の付書院を離して配すことで、書院の格式が薄まり草庵的な雰囲気もあります。

床柱と床框ともに端正な八節の北山丸太で、框の下にはわずかに蹴込板が入っています。床脇

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松琴亭の草庵風茶室(桂離宮)



「松琴亭(しょうきんてい)の三畳台目」

市松模様が印象的な桂離宮の松琴亭には草庵風茶室もあります。

京都・桂離宮の広大な庭園のなかに設けられた松琴亭は、通常の草庵の席とは異なり、書院の茶席に囲いの小間(こま)が設けられた数寄屋となっています。

茅葺(かやぶき)入母屋造の主屋に柿葺(こけらぶき)の茶室が接続し、前面には露地も兼ねた回遊式の林泉庭があります。

一の間の床(とこ)と、二の間境

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