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「原価がないから」と「友達割引」への違和感。

大阪でECサイトや中小企業に伴走しながらSEOやコンテンツマーケティングのお手伝いをする株式会社ユウキノインのさこっちです。

この所、振り回される案件がいくつかでてきたので、まとめておこうと思い立ちました。

コンサルティングというお仕事で困ること

これまでnoteでも何度か書いているのですが、かつて自分がクライアント側として会社が連れてきたコンサルタントにエライ目に遭わされたり、お手伝いする企業さんがエライ目に遭わされてヘルプを請けることも多く、コンサルティングという言葉がどうも苦手です。

自分の会社の業種が何かと問われれば、行政書類には「コンサルティング業」と書くわけですが、どうもこの響きがトラウマになってしまったので、極力「お手伝い」「伴走型支援」「寄り添う」という言葉を使うようにしていますし、その姿勢でお仕事をしていると、自負しています。

コンサルティングについて、Wikipediaではこのように記されています。
コンサルティング (英: consulting) とは、企業(まれに行政など公共機関)などの役員(特に経営者が多い)に対して解決策を示し、その発展を助ける業務のこと。 または、その業務を行うこと。

そんなことを踏まえて、困った代表的なケースを2つご紹介します。

困った方 ケース:1「いつでも無料相談できると思っている人」
行政、行政の外郭団体、商工会議所などの相談窓口は、相談者は自己負担がなく、行政財源から報酬が出る形態のものがあります。

僕は多い月で10件ほどの相談員業務をこなすのですが、その中で困った方が、一度面談を受けた以後、SNSのDM、Messengerで直接相談をしてくるケースです。

行政機関を窓口とし、一度相談の機会があった以後、永続的に僕を無料で使えると勘違いしている方々です。

深夜2時~4時にA4コピー用紙10枚ぐらいに書き連ねられたビジネスアイデアをMessengerで送りつけて、最後には
「どう思いますか?」「どうすればいいですか?」「アドバイスをください」なんてぶん投げて終わっています。

この方は、予約制の相談で予約なしで現れ、事務局を混乱に陥れ、
「わざわざ来たのに。今日しかない」
とゴネるもんで、致し方なくその場で相談を受けることになりましたが、以後も深夜にMessengerで送りつけ相談が増えるので、申し訳ないですが友達も解除しました。

困った方 ケース:2 「10分だけいい?と言う人」
SNSは便利か不便利か、電話番号がなくても無料通話がついていて、これによる相談も増えていますが、本当に仲が良い人ほど
事前にメッセージで「さこっち、今電話してもいい?」など確認してくれますし、関係値ができている友人同士なら雑談レベルで「はーいどうぞー」という感じで応対しますから、双方の関係って大事だなと思います。
最後は人と人ですよね。

ですが、一方的に友達だと思ってくれている人ほど、ズカズカと上がりこんで来られがちという印象です。ありがたいんですけど、
予告もなく、いきなり電話かけてきて「10分だけいい?」と。
最初は10分ぐらいなら、と受けていたのですが、そもそもこういう人が10分で終わった試しがなく、40分、50分とどんどん長くなっていくのです。

この方は分野ごとに「勝手にコンサルタント」をつくっていたようで、
「え、お前も?」「実は僕も」という仲間が数人でてきました。

その状況を見かねた、数人とその方の共通の知人の兄貴分な方が、こう説いてくれました。
「お前な、コンサルティングって言葉辞書で引いてみろ。相談をしてヒントを出したりするのが仕事や。さこっちたちは1時間あたりとかで相談をうけて、それを仕事にしてるんやから、知り合いでも対価を払うのが礼儀やぞ」
と。

正直、悪い人ではないので、なんと言おうか困っていたので、この兄貴の言い方にはとても救われました。

が!1時間単位というところで思い立ったのでしょう。
「20分だけ」と時間を刻んで来るようになったのです!

どうやら、
1時間以内なら無料の駐輪場で出し入れしながら、何時間でも無料になる作戦を僕たちにも用いたようです。
いやそれ、1時間以内なら無料とかじゃないですから・・・。

さすがにキリがないので、
「電話の相談でもこちらは時間を拘束されるので」とお断りを入れ、
「飲み会の席とかならいいけど、日中、業務時間を取られるのは他のお手伝い先さんのおしごともあるので勘弁してください」と話して、理解をしてもらいました。

このケース1、2が割と頻発するのが、この仕事の困った所ですね。

●●さんの紹介ではジャンケンみたいな相性がある

もう一つ、頻発してくるのがこれ。
自分のことを買ってくれ、紹介してくださることはありがたいのですが、極度の人見知りと、相性が非常にピーキーな僕は、猫みたいに気難しい自覚があります。ゆえにいつも関わって下さる方々には感謝しかないのですが、

Aさん-僕が仲良し
Aさん-Bさんが仲良し
なので、
Bさんが僕とも仲良しと思ってくださり、一気に距離を近づけてくるパターンが割と苦手で「シャーッ!」と警戒し、無意識に爪を立ててしまうところがあります。

まわりに話しても同じ経験をした人が居なくて、全く理解してもらえなかったんですが、
「家に帰ると苦手な同級生が、親に遊びに来たといって勝手に上がりこんでいた」時のような感覚なんですよね。
これ、わかってくださる方いるかな?

ご紹介のとき、大抵は僕のことを理解してくださっている方のご紹介なので、相性がいいことの方が多いのですが、BさんがCさんと連れてきたりすると、途端に心の座りが悪くなることがしばしばです。
相性・・・まるで人と人もじゃんけんですね。

以前は
Xさん「●●さんとすごい仲良くて、さこっちもよく知ってるでしょ?」という方にガードを下げてしまっていたんですが、実は●●さんに聞くとXさんとは異業種交流会で2回会っただけなんてこともしばしばで、これも中々面倒くさいことがおこりがちなので、最近は警戒レベルを高めています。

しかし、先日、この紹介で~で、遂に我慢の限界に達する出来事がありました。

「御社と取り組む最大のメリットはなんですか?」

7月、会社の問い合わせフォームから、2年ほど前に数回セミナーに呼んで頂いた方から僕のことを聞いた、ECサイトの相談をしたいという内容のメールが届きました。

企業名に聞き覚えがあり、調べると年商は3桁億を超える企業でした。
お越しいただき、色々事情をお伺いして、改善すべきこと取り組みべきことをご提案申し上げた所、役員にもプレゼンして欲しいので、次は来社して欲しいということになりました。

このあたりから、ややザラつきを覚えていきます。
「プレゼンをして欲しいと言われたけど、関係値もなく相互理解も進まない仲で、別に是が非でも仕事がほしいわけじゃない」という僕のまた性格が顔をのぞきます。

とはいえ、お世話になった方のご紹介だし・・・と伺うと役員面接みたいな会場です。僕を6人ぐらいが取り囲み
「お前は何者だ?」
「何ができるのか?」
「ベネフィットは?」

と。

ここで感じていたザラつきはやや不快感に変わっていきました。
請われたから来たのに、なぜにそんな仕事を取らねばならないようなスタンスで自己PRをせねばならんのだ、と。

その日はやり過ごし、言いたいこと言ったし、もう次はないだろうと踏んでいたら、
「契約に進もと思うので再度来社して欲しい」というメールがきました。

これもまた自分のルールに外れるもので、僕はお手伝い先と対等に伴走をするスタンスを大事にしているので、とても丁寧な表現でしたが「契約してやるからまた来い」という意味であり、正直「そこまでして仕事いらんけど」ともなったわけです。

再度、訪問して僕は率直な気持ちを述べます。
「ECはそんな甘いもんじゃないです」
「現状の売上ではコンサルタントを雇う前に社内の専従者を育てるべき」
その上で、受けるべき講座や学ぶべきこともお伝えしました。

企業の規模でいえば、大きな砂場と砂一粒ぐらいの差ですが、そういう力関係で上下を作ろうとしている感じがとても違和感になり、お断りする方向で話を進めているのに、契約はしたいらしいの繰り返し。

一通りこちらの要望もだし、スッキリしたし、前向きに契約へ進むため見積もりを作ろうと思った矢先、制作関係で紹介した友人の制作会社に対しても、またあの発言がありました。

「御社と取組ませていただく最大のメリットを、一言添えて」


と。このメールが決定打になりました。
え、こちらの実績スキルを買って依頼をくれているんじゃないのか?と。
おそらくは稟議書に書き加えるとかのものでしょうけど、
ここで「稟議に際し、強みや実績などを教えて」だったら、なるほどだったのに、メリットを示せと言うのか、となりまして逆に問い返しました。

「それでは逆に、御社のお仕事をお請けする弊社のメリットはなんですか?」

起業して間もない者が生意気なことを感じられるでしょうが、独立起業した最大の理由に
「自分の魂を焦がしてくれるような方とご一緒したい、
経営者の命令で気乗りのしない仕事は請けたくない」
という思いが
あり、最も大切にしているところに引っかかりったので辞退をしました。

もう一つ、最後の打ち合わせ終了時に言われた

「●●さんの紹介でもあるし、■■さん(共通の知人)のご縁もあるし、お友達割引でお願いします」

これも喉に刺さる小骨のような違和感がありました。

よく「コンサルは原価がないからいいね」と言われることがあります。
確かに製品のように原価に対して売価を決めるものではありませんが、商品にも研究・試作コストがあるように、SEOだって自分の時間を費やして実験して検証してトラインドエラーを繰り返し、なるべく効果の出る方法を確立していくわけです。

それでも、100%ではないから、対価をいただく、評価していただくには時間がかかることも多く難しい仕事です。

けれど、無形であるからといって「原価がない、仕入れがない、在庫がなくていいよね」で片付けられるのは心外ですし、また紹介してくださった方の名前で「お友達割引」というのはその方々にも失礼だと感じました。

冒頭に書いたとおり、
Aさん-僕が仲良しでAさん-Bさんが仲良しだから、Bさんと僕に友達関係が成立するものでもないですし、数回の打ち合わせで友達なので値引きをというのは自分の仕事に価値を感じていただけていない証拠だと思えるのです。

魂が焦げるような仕事がしたい

一方、そのやり取りと時を同じくして、お会いしたことは少ないけれど、SNS上で交流をしていて、とてもシンパシーを感じる社長がいらっしゃいました。

MessengerでSEOをお願いしたいのでZOOMで打ち合わせをというお話でした。

お打ち合わせで「これが自分の最後の仕事だと思っている」と世代交代を示唆する言葉がありました。

「その最後の仕事をさこっちとやりたい。自分の最後の仕事に手を携えてくれないか?」

自分の花道を飾ってくれとおっしゃるのです。

これには痺れましたし、魂が震えました。そんな重大なミッションに自分を指名してくれるなんて。

繰り返しになりますがSEOは100%ではありません。打率で言えば2割あるかどうか。そんな可能性でも、引き出す役目に自分を指名してもらえたことには心が震えるような気持ちでした。

自分が起業した心情として、心が燃える、震える仕事を対等な関係で伴走したいというものがある以上、
「メリットを示せ」では燃え上がるものがあるはずもなく。

自分に賭けてくれる人とお金じゃない心が燃え上がる仕事がしたい。

というも思いがあったからこその起業である以上、今後自分が成すべきことが見えた出来事でいい勉強になったと感じます。

あと一週間、8月31日で1期目の決算を迎えるにあたり、その夜にまた明日へ新たな気持ちで進むために。

初心者マークがはずれた2期目以降の自社の方針などが少しずつ見え、会社としてのスタイルが確立できればいいなと思った出来事でした。

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