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万画一探偵シリーズ

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迷探偵 万画一道寸が活躍するコメディミステリー作品
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#殺人事件

ノーコン・キラー

ノーコン・キラー

 第一章 殺人者

 スタジアムの隣にある室内練習場、その日の朝フジナミはグランドの土の上に横たわった状態で息絶えていた。
 明らかに後頭部を何か硬い鈍器のようなもので殴られた跡が残っていて、どす黒い血が顔や首筋から流れ出し地面に血溜まりを作っていた。
 着ていたと思われるユニフォームは破られ半裸に近い状態で倒れていた。
 事件の一報を聞き、現場に駆けつけたのはニコラスというアメリカ生まれの新人刑

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八ツ橋村 5/6

八ツ橋村 5/6

【万画一】
 さて、時間を少し巻き戻すとしよう。
 小泥木警部と万画一探偵は飯尾家のリビングに腰を据えて、飯尾九央が受け取ったという怪文書を前にして腕組みしていた。
「しかし、一体だれが、こんな……」
 警部は今日何度目かの同じ言葉を繰り返した。
「九央さん、ここに書かれている事は本当ですか?」
「いや、滅相もない、万画一さん、そんな事言わんで下さいよ。根も歯もない出鱈目です」
 怪文書は次の様に

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八ツ橋村 4/6

八ツ橋村 4/6

【万画一】
 さてさて、ここで再び、カメラは万画一探偵に切り替えて話を進めて参りましょう。
 原賀家の一室を借りて捜査本部が置かれ、事件の状況を細密に改められ、葡萄酒に毒物を仕込んだ可能性のある者のリストを作成した。
 しかし、それは厳密に考えると、昨夜、あの部屋、または調理場にいた全ての人間に可能性があると言わざるを得ない。しかも、外部の犯行であっても不思議ではない。それほど、多勢の人が行き来し

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死体写真館 後編

死体写真館 後編

【ここまでのお話】
『あなたの死体写真を撮影致します』
この様な広告を出したのは、乙骨写真館の店主乙骨鱗詩郎だった。
コスプレとしての擬似死体写真は好評を得て、多くの若い人達がインスタやSNSに自分の死体画像を投稿して楽しんだ。
ところがある日、その死体写真と全く同じシチュエーションで本物の殺人事件が連続して2件発生し、若い女性が変死体となって発見された。
事件を追う小泥木警部は万画一探偵に応援を

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死体写真館 前編

死体写真館 前編

『あなたの死体写真を撮影致します』

 ある日、このような怖ろしいキャッチコピーの広告が新聞、雑誌、インターネット等に流れ出た。
 初めの内こそ、スルーされていたが、誰かがその死体画像をインスタグラムにアップさせると一気に火がついた。
 もちろん、本物の死体ではない。死体に扮装したコスプレ写真なのだ。
 やがてYahoo!Newsにも取り上げられ、一躍トレンド記事のトップに踊り出た。
 広告記事を

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贋作 『大神家の一族』 作 木黄溝正史 (ききみぞせいし)

贋作 『大神家の一族』 作 木黄溝正史 (ききみぞせいし)

注 この作品はある有名な小説と酷似していますが、全くの別物です。

信州の財閥、大神家の当主、大神佐文次(おおかみさもんじ)が大往生の末、その天寿を全うした。
それに伴い、遺言状が大神家にて公開される事になって、関係者一同が大広間に顔を揃えた。
広間には佐文次の娘、松代、竹代、梅代という3人の娘(結構おばさん)が並んだ。
この3人の娘(結構おばさん)にはそれぞれ跡取りの息子が存在し、それぞれ、佐巨

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