私はよくいるワーママ(笑)! Vol. 2 X氏(前編)
市井の人の結婚観から、現代人の人生観や家族観を洗い出す試み「結婚インサイト」。(企画詳細は以下から)
第2回目はさいとうの友人の女性です。
どんどん深堀したため長編となったので、前編・後編に分けて掲載します。
※「・それはなぜ?」等、ナカグロがついているところは、斎藤からX氏への質問です。
■X氏概要
アラフォー女性。30代前半で「おめでた婚」をし、ほぼ同時に旦那さんの病気が発覚(現在完解)。夫婦共働き、一児の母。
■インタビューを受けてのX氏の感想
「わたしは、自分がよくいる人だと思ったよ(笑)!」
■インタビューをおえて
「結婚」「出産」により仕事に制約が生まれ、母としてライフスタイルを変えることになったX氏ですが、仕事に対する責任感はむしろ増している印象を受けました。それについて夫はいまいち腹落ちしていないようですが、理解を得るために言語化して話し合いをしているのが印象的。結婚・出産を経て、女性が経験するキャリアの「壁」を丁寧に説明してくれました。
■インタビューのシチュエーション
純喫茶でアルコールなし(写真は別日)
ではいってみましょう!↓
■結婚に対するイメージ
・結婚前から結婚願望はあった?
そうだなあ、いずれは結婚したいと思ってたんだよね。
・それはなぜ?
……う~ん……なんでだろう(しばし沈黙)、一人で死ぬのはイヤだからかな。なんか30歳を超える前あたりから、ひとり(独身)だと生きづらいなあと感じて。
・生きづらいとは具体的にどんな感じ?
30歳になる前に、堅い職場に転職してその職場は結婚する年齢が早いし、結婚していることが当たり前の雰囲気なんだよね。
コンプラ(コンプライアンス)の問題があって(職場の人は「結婚したら」等)言わないけど、未婚だと「なんで結婚してないの?」という雰囲気だから、外的要因が後押しにはなったと思う。
適齢期だったし、結婚しようかという流れに乗ったかんじ。共働きで経済的な不安がなくなるというのもあった。
わたし、けっこう普通のライン(レール)に乗りたい派なんだと思う(笑)。大多数がしていることをしたいんだよね。
・大多数とは、世間一般的に? 自分の周りに多い感じかな?
うーん、世間的にも自分の周りにも。「みんなは、どうしているのだろう?」というのが気になる。
・仮に、一生独身で楽しんでいる年上の人(叔母さんとか)がいたら、どう思う?
そういう人がいたら、そのままいけたかも。
私が知っている生き方で、独身で、楽しくて、充実しているという年上のロールモデルがいなかったんだよね。だから、一生独身でいくというプランが浮かばなかったのだと思う。(詳細は割愛)
・結婚したあとも仕事を続けたいと思っていた?
思っていた。もともと、誰と結婚しても共稼ぎで生活していくと思っていた。内助の功ではないと思ってた(笑)。
・結婚してみて、結婚とはどういうものだと思った?
できちゃった結婚と夫の病気発覚が同じ時期だったから、大変だった。(結婚への夢や憧れなどはなくて)同じ船に乗ってる生活共同体。……夫と一緒にどううまく歯車を回して船を動かしていくかというイメージで生活共同事業体という感じかな。
■子どもの捉え方について
・子どもは欲しかった?
うん、いずれ欲しかった。だから結婚という形態を取った方がいいと思ってた。できちゃった結婚だったけど、本当は段階を踏んで(結婚→妊娠と)いきたかった。
・段階を踏みたいんだ?
うん。堅くいきたいんだよ(笑)。
・未婚の母という選択はなかった?
うん。(詳細は割愛)
・なぜ子どもが欲しかったのかな?
変化が欲しかったんだと思う。大人2人だけでずっと生きてるのもいいけど、子どもがいることによって、違う経験ができたりするなと思って。
・違う経験とは?
例えば、子どものいない友達と「赤ちゃん本舗」に行くと、友達の反応が新鮮なんだよね。
「そんな店があるんだね~」という反応で。
その子は、出産祝いで120センチのTシャツをくれたの(笑)。
・だいぶ成長したあとのサイズをくれたね(笑)。
そう、思いっきり赤ちゃんのサイズ感を知らないんだけど、それが羨ましくもあるよね。
私は子どもがいるから当然サイズを知っているけど、いなかったら分からないし、その友達は失ったものを持っているなあと思った。
・失ったものってなに?
自由な時間。別の友達が夜、あそびに行っているのもうらやましいし、残業が自由にできることすらうらやましい。
独身のころは、残業し放題なんてイヤだったけど、いまは朝4時に起きて6時に出社して仕事を前倒してやっているから(笑)。
・早いね!
そうじゃないと時短だから終わらないんだよね……。
・いまの結婚育児生活についてどう思っている?
結果としては現在を肯定している。自分が年を取っていくのを忘れられていいかもしれない(笑)。
もし、仕事が現役で独身だと、比較対象が若い子になってくると思うんだよね。同じ枠に入れられて仕事の出来や容姿を比べられるから(あまりうれしくはない)……。
子どもがいると隠居枠というか、「時短とっているけどがんばってる枠」として評価されるから、その方が居やすいというのはある。
・「比較」というのは誰がするのか。人から見て比べられなくていい?それとも自分が比べなくていい?
……人からというのもあるけど、自分かな。
自分が他人と比べなくていいから、仕事量は割り切るようになったかもしれない。時短で子どもの保育園を迎えに行くのが自分だと、仕事の終了時間が決まっているから、「自分の時間はこれだけ。そのなかでやりきる仕事は、このぶん。それはすべてやりきって帰る!」というモチベーションになる。逆に無くていい仕事は切り捨てるようになった。
・例えば?
資料を作らなくてはいけないとき、「あと3時間あれば、もっとわかりやすい図を作ったり、グラフを入れられる」ことがあるのね。だけど、その資料がそこまで求められていなかったり、3時間かけて入れたところで、そこまで高い成果を望めないんじゃないか、という時があるの。
だから、中身の精度を高める必要があるかその場で聞くようにしていて、「そこまではいらないよ」という回答がけっこうある。費用対効果を考えて、その都度判断して、同じような結果が得られるなら最短の道を取るという効率化がうまくなっていると感じる。
・かっこいいね。
まじめだよ(笑)。
時短だから、「時間内シフトで適当にやっておけばいいや」と言う人はいる。けど、時短だから何もしないという噂がたつし、ダラダラやっているのが性に合わない。
いまは時短だけど、それが終わったらどうなっちゃうの?という危機感もあるよね。お給料をもらってるし、その分はきっちり働きたいし、仕事時間が1時間短くて、同じ部署の人に申し訳ないという気持ちがあるから、いる間はフル稼働している意識はある。
・独身のときと仕事内容は変わった?(マミートラックにはまった?)
仕事の質は同じ内容だと思う。独身ならもっと丁寧に同じもの以上のものは作ったと思う。
・仕事に関して、もっと〇〇だったらいいのに、と思うことはある?
仕事の環境や職場に対してよりは夫に(不満は)あるかな。
夫は残業し放題なのに、こっちは保育園の迎えがあるからできなくてもどかしく思う。
子どももパパが残業するより、ママが残業した方が文句をいうから、どうしても残業をゆずれない時に苦しくなる。
・旦那さんの仕事は忙しい?
一番激務な部署なんだよね(同業他社)。一番働き方を理想に近づけなきゃいけない事業体なのに、子育て世代の夫を激務な部署に異動させる人事……。それってどうなのと思う。
実際に、夫の部署は独身の女性か男性しか働いていないから、ガツガツ長時間働ける人だけにいてほしいという本音が見えていると思う。
「働き方革命」といっているわりに、トップの男性の本心は「男が働いて、女が家庭を守るもの」という意識がある。完全に奥さんの力(内助)をあてにしていることに納得がいかない……。
・旦那さんへの不満はある?
ある(笑)。時短を舐めているところだね。
「時短の女子は適度に働けばいい」という考え。夫の元職場に仕事を集中してやらずに「もう時間なので帰ります。」という女の人がいて、それがまかり通っているという現状があるんだよね。
だから夫は「時短なのに、そこまででがんばる必要ある?なぜがんばるの?」といった感じで私の仕事へのスタンスについて理解がうすいの。
・その時短に対する考え方の違いを話し合ったりする?
話し合ったね。私は「時短は当然の権利だと思ってなくて、取らせてもらっている以上、やらなきゃいけないと思っている」と伝えた。残業についても「普段帰らせてもらっているから、たまにの繁忙期はやらなきゃいけない」と。
・旦那さんは、それを理解している?
夫は、頭では分かってるけど、本質的には理解してないかも。今の時代の流れや立場上、女性もキャリアを大切にして働いたり、夫と妻が平等に仕事に注力するべきだという考えを認めているはずだけど、納得はしていないかも。
・それはなぜだと思う?
夫の母と妹は仕事に興味がない人で、妹はできるなら「一日家の中にいたい」と言っていて専業主婦。考えることは家族の健康や料理や家事のことが多い感じかな。
夫は、「プライドもって仕事をやり遂げたい」という女性に触れる機会が少なかったのだと思う。
(X氏 前編 完)
後編につづきます。
■企画・インタビュー・ライティング→斎藤 貴美子 さいとう きみこ
コピーライター/ライター/コミュニケーションプランナー
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