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チェロレッスン記録

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習っているチェロのレッスン記録です。
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#弦楽器

24.10月チェロレッスン①:どうしても聞きたかったこと。

24.10月チェロレッスン①:どうしても聞きたかったこと。

最近、時間を見つけてコンサートに足を運ぶようになった。
そうしているうちに、一つの疑問が浮かんできた。
その疑問が喉に刺さった魚の小骨のように、どうにも気になるようになってきた。
レッスン時、思い切って先生に聞いてみようと思った。

           ★

「Hさんの無伴奏チェロコンサート、聴いてきました。」

レッスンの準備をしながら、先生に報告した。

「Hくんは2年前にドボコンでご一緒し

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24.9月チェロレッスン②:私は変わり者?

24.9月チェロレッスン②:私は変わり者?

「こんばんは。今日も遅い時間のレッスンですみません。」

私がレッスン室に入ると、先生は椅子から立ち上がった。

「先週の演奏会、改めてお気遣い、ありがとう。」

先生主催のアマオケ演奏会を聴きに行った際、私は先生へ花束と御祝儀を贈った。

「無事に終わってよかったですね。ほっとしたでしょう?」
「そうだね。」

言った先生の表情が柔らかい。肩の荷が降りた感じ。

「演奏会の贈り物、お菓子にしよう

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24.9月チェロレッスン①:重たい序奏、アマオケ事情。

24.9月チェロレッスン①:重たい序奏、アマオケ事情。

5月、私の所属するアマオケの定期演奏会の際、チェロアンサンブルのロビーコンサートを行った。

演奏を終えてロビーを去ろうとする私に、ご年配の男性が声をかけてきた。

「チェロを弾くって、難しいものですか?」

私は答えた。
「そうですね…何年弾いても、モノになった感じが致しません。」

「そういうものですか…。」
ちょっとがっかりしたように男性がそう言ったのが気になった。

突然の質問に正直に答え

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24.8月チェロレッスン②:私の無伴奏。

24.8月チェロレッスン②:私の無伴奏。

汗疹とじんましんで身体中がかゆいこの頃。
職場は冷房効いているけれど、動いていると暑い。

体のあちこちがかゆくていつもモゾモゾしているから、同僚には変な踊りをしている人に見えているだろう…笑える。
マスクで隠れた顔の下半分は、蒸れもあって大変なことに…。マスクを外せるときは外すようにする。

皮膚科で薬を処方してもらった。

風呂上がり、背中の薬はダンナに塗ってもらう。

「じんましんの原因はさ

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24.7月チェロレッスン②:レッスンに集中できなかった...。

24.7月チェロレッスン②:レッスンに集中できなかった...。

「お前のオケ、今度ピアソラの『ブエノスアイレスの冬』やるんだって?いいなぁ!大好きだよ。」

レッスン前、先生が珍しく興奮気味に話してきた。

「はい。カッコいいですよね。私も大好きです。」

ピアソラ。
昔、サントリーのCMでヨーヨー・マが「リベルタンゴ」をチェロで演奏していたのは有名だろう。
以前、先生はアンサンブルコンサートでピアソラの「フーガと神秘」を演奏した。弦楽五重奏。
曲の途中、足を

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24.7月チェロレッスン①:エレジー。

24.7月チェロレッスン①:エレジー。

今年秋の発表会の曲を何にしよう?

ここのところずっと考えていたけれど、今習っているバッハ無伴奏5番を超えるものを見つけられないでいた。

チェロ師匠からの提案もいくつかあったが、どうもピンとこない。

昔は先生指定の曲をやっていたが、どうしても好きになれない曲を弾いた際、4小節だけ弾いてステージを降りるということをやらかした(もちろんこっ酷く怒られた)。それ以来、先生は私に無理強いをしなくなった

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24.6月チェロレッスン②

24.6月チェロレッスン②

「今日何時に帰ってくる?」

仕事から家に帰り、すぐにレッスンの準備をして再度出掛けようとしたとき、ダンナに聞かれた。

「んー、たぶん18時?センセの気まぐれで延長することがあるかも。」

前回のレッスンは2時間半だった。

ダンナ、何か悟ったような顔。
「あー、あの人めんどくさいからなぁ。
わかった。帰るとき、連絡ちょうだい。パラグライダーの大会でもらったビールでBBQしようよ。」

センセ…

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24.6月チェロレッスン①

24.6月チェロレッスン①

「センセ、私また、センセを怒らせるようなこと、しました?」

そう言いながら、私はおずおずとレッスン室に入った。

先生、キョトンとした。
「なんで?」

「だって…メールに返事がなかったから。」
私は先日の所属オケ定期演奏会の翌日に先生へ『おかげさまで無事終わりました。』と長文メールを送っていた。

「ああ…!」
先生、思い出したように頷いた。
「ゴメン!メールは読んでいたんだけど、返事するタイ

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24.5月チェロレッスン①:「聴きに行けるかも。」

24.5月チェロレッスン①:「聴きに行けるかも。」

先生には先日会ったばかりだが、レッスンは1か月ぶりだ。

私が楽器を準備して椅子に座るなり、先生が話し始めた。

内容は、レッスンと関係ないことばかり。
仕事のこと、親戚のこと、最近のニュースのこと。

先生のお喋りが途切れたタイミングで、私は言った。
「今の時間、センセにとっては休憩時間になってるんでしょう?」

先生は一人で30分も喋っていた。

私の前には4人、後ろには1人、レッスンが入って

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24.3月チェロレッスン②:次のステップへ。

24.3月チェロレッスン②:次のステップへ。

「夜、久しぶりだなぁ。3週間ぶりか。」

レッスン室に入ると、開口一番先生にそう言われた。
3週間ってそんなに久しぶりでもないと思うのだが、なんだかんだで先生とは毎週顔を合わせていたからな。

「確定申告は終わりましたか?」
私が聞くと、
「15日には終わったよ。年明けから少しずつ書類揃えるようにしていたからね。」
先生、得意げにVサインしてみせる…かわいい。
先生の家、物が多いからなぁ。
「えら

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24.3月チェロレッスン①:無伴奏チェロ組曲の楽譜

24.3月チェロレッスン①:無伴奏チェロ組曲の楽譜

扉が半開きになったレッスン室から“バッハ無伴奏チェロ組曲3番サラバンド”が聴こえる。
この華やかで軽やかな演奏は先生のものだ。
すぐにわかる。

「なつかし〜。」
そう言いながら、私はレッスン室に入った。
私が2年前の発表会で弾いた曲。
(私のサラバンドは重っ苦しい。低音を効かせたがるからだ。)

先生は私に気付かないようで、演奏を続ける。
いつものことだ。きっと、どこかの演奏会で弾く予定があるの

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24.2月チェロレッスン②:"絶望先生"からの、復活。

24.2月チェロレッスン②:"絶望先生"からの、復活。

自宅練習で時間があれば、オケで演奏するブラームス交響曲第3番のいずれかの楽章を、音源と合わせて通して弾くことにしている。

1楽章の最後の部分、弦楽器の嵐が去って、天から光が差し込むようなチェロのソロを弾く時なんか、チェロやってて良かった、オケやってて良かった、生きてて良かった!とさえ思えて泣けてくる。

           ★

前の生徒さんと入れ替わりにレッスン室へ入った。

「先日はお邪魔

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24.1月チェロレッスン②:あなたが私に未来をくれた。

24.1月チェロレッスン②:あなたが私に未来をくれた。

先週に引き続き、今週もレッスン。
今回は、私が一番最後だ。

「今日はセンセのお父さんの月命日じゃないですか。こんな遅い時間までレッスンしていていいんですか?」

楽器をケースから取り出しながら私が聞くと、先生がびっくりした表情をした。

「どうしました?」

「よく覚えているね。」

「…そりゃあ、そうですよ。」

先生の返事に私は訝しみながらそう言った。
先生はちょっと困ったように私の疑問に答

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11月チェロレッスン②:歳を重ねると病気の話題が多くなる。

11月チェロレッスン②:歳を重ねると病気の話題が多くなる。

「センセ、外は雪が舞ってますよ。」

言いながら、私はレッスン室に飛び込んだ。
室内は暖かい。

「うん。急に寒くなったもんなぁ。」
と、先生。

「風邪に気をつけてくださいね。」と私が言うと、先生「僕は今のところ健康なんだけれどね、」と言って、浮かない表情をする。

「何かあったんですか?」
「仕事仲間のヴァイオリニストがね。脈が遅いということで病院へ行ったら、あっという間に心臓に付ける電子機器

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