内田 さやか | SAHANA院長/心療内科/産業医

心地よく生きるために、心身を整え、自分を見つめること、楽しく働くこと、を医師としても個…

内田 さやか | SAHANA院長/心療内科/産業医

心地よく生きるために、心身を整え、自分を見つめること、楽しく働くこと、を医師としても個人としても、日々考えています。 心身は繋がっている、それならばとメンタルケアとボディケアどちらもができる施設を表参道にオープンしました。その他、企業の産業医や企業研修なども実施しています。

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心療内科医は、心を動かしていいのか?

メンタルヘルスに関わるプロの医療従事者が、自分の真のこころや感情というものを動かすことは、是か非か? 私は心療内科1年目のときに、この問いにぶつかりました。 自分としては、いいんだろうなということは分かっていたのですが、プロである教授はどう考えているんだろう、ということにとても興味を持っていました。 わたしが悩んだ背景には、医師たるもの、常に平静に、問診のなかで正しい診断を下さなければならない、という前提観念とのコンフリクトがありましたし、自分のこころを守る、という必要性

    • wellbeingとは何か。続々編。

      なんと丸2年ぶりのnote...!! その間もずーっとwellbeingのことを調べたり、考えたり、、講演でお話しする機会にも恵まれて、以前よりも、メタ認知できるようになってきました。そこで、今回、現状認識をあらためて綴ってみることにします。(ここでは、Well-Beingを簡便にwellbeingとさせていただきます。) ●結局、wellbeingって何??先に結論を述べておくと、 wellbeingとは、【 It can mean anything. 】 と第一人者も言

      • そこに、楽しい!はあるか。-仕事との関係-

        以前のnoteで、仕事って「何をするか?」と同じくらい「誰とするか?」が大切、という話を書きました。そして、今回は、「どうやるか?」という側面にフォーカスを当てていこうと思います。 ●「楽しい」は大事?「楽しく」働くって、大事だな〜!と実感したご経験はおありでしょうか。 常々、「楽しい!」ってパワフルだな〜!とわたしは感じているのですが、「楽しいが大事」には、何が論拠があるのでしょうか。 ポジティブサイコロジーでも有名なマーティン・ゼリグマンらの「レジリエンス」「well

        • wellbeingとは何か。続編。

          前回の記事では、「wellbeing」という抽象概念の「外観をつかむこと」を目的としていました。そのため、あまり私見は交えずにまとめ記事にしたつもりです。 今回は、「wellbeing」をわたしはどう捉え、どう扱っていくのか?をテーマに書いてみたいと思います。 ●wellbeingへのもやもや前回、wellbeingを理論から眺めたことで、「経済的wellbeingもあれば、心理的wellbeingもあること」、「心理的wellbeingの構成要素は、複数あること」など、先

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        心療内科医は、心を動かしていいのか?

          wellbeingとは何か。

          明けましておめでとうございます。 新年最初のテーマに選んだのは、『wellbeing』です。 節目にふさわしい壮大なテーマですが、私なりに色々と学び、咀嚼したことを、一度まとめてみようと、昨年から決意しておりました。 ●wellbeingのための5か条本日は、じっくりwellbeingについてご紹介し、論じていきたいのですが、wellbeingが端的に伝わるのは、これかなと思っています。時間のない方には、これだけでいいので、知ってほしいです! wellbeingのための5

          職域接種-成功のコツ①-まだ2回目控えていますが編

          今日のテーマは、いま話題の「職域接種」の成功のコツ。 2回目を完遂していない立場で恐縮ですが、わたしなりの振り返り(内省)作業と、悩める契約主体の代表、現場ディレクターのサポートになるなら、一石二鳥かなと思い、書いてまいります。 なお、わたしの立場は、予防接種実施医療機関の代表、医療チームの現場ディレクター兼務です。これから開始の会場もそこそこあるご様子で、ご相談を受けることもあるので、この記事を参照にしてくださいね^^ もちろん、直接コンサルも時間が許せば、実施させていた

          職域接種-成功のコツ①-まだ2回目控えていますが編

          女性が生理とともに働くということ②-我慢している自分を知ることから-

          日常の中で、我慢をしながら生活しているな、と思うことはありますか? そう聞かれると、いろいろ思い当たる節は、あるかもしれません。 日常にある、女性たちの我慢2021年3月、漢方で有名なツムラは、20〜50代の女性10,000人を対象に「隠れ我慢に関する実態調査」を実施しました。 その中で、「心身の不調を我慢していつも通り家事や仕事をすることがあるか?」との問いに「我慢している」と回答した女性は79.2%に上りました。 調査の結果から、20代〜50代女性の約8割が、不調を

          女性が生理とともに働くということ②-我慢している自分を知ることから-

          ワクチンは命を救う。

          少しでも多くの方々に、少しでも安心して、COVID-19のワクチン接種を受けていただけたらなと思い、少し書いてみることにしました。 ●悩んでる方にも、1回目前の方にも、2回目前の方にも。副反応については、有無や程度だけに着目せず、出た場合の対策まで考えておければ安心です。 打たないことでのリスクと合わせて、ご自身の状況と照らし合わせて、自分と周囲の健康管理として、考えてみてくださいね。←しつこい…でも大事。 現在、職域接種も自治体も、準備状況などで日程変更なども出ている

          職域接種スタッフマニュアル

          今回は、職域接種のスタッフマニュアル(特に医療チーム用)を公開したいと思います。接種方法は、高速大名行列方式を採択しています。 公開する意図は2つです。 ①準備が大変なので、マニュアル作成担当者さんの参考材料になれば幸い! ②職域接種は、企業の立場・会場設営の立場・医療機関の立場と、立場が異なる人が関わるので、「医療機関の視点」を知っていただけると幸い! そんなところです。ぺたぺたスクショを掲載していきます。 無断転用・修正OKです。ただし、内容は自己責任でお願いいたしま

          職域接種スタッフマニュアル

          女性が生理とともに働くということ①-私たちはどう向き合うべきなのか-

          本日は、いつか言語化しなくちゃいけないと感じていた「生理」「生理休暇」のお話です。私にとって、温めていたような大切なテーマです。 生理や生理不調ついては、最近ご取材を頂くことが重なったり、女性誌等でも目にする機会が増えたり。産業医先でも、外来でも、必ず遭遇します。 ここには、私なりの葛藤がありました。 生理不調に悩む女性に寄り添いたい気持ちと、生理休暇が散発してマネジメントに悩むお職場や人事に寄り添いたい気持ちと。 そして、その落とし所に悩む自分の気持ちと。 なかなかモ

          女性が生理とともに働くということ①-私たちはどう向き合うべきなのか-

          1on1で大切なこと-半構造化面談からtipsまで総まとめ-

          マネジャーや、相談に乗る立場の方ならば、自分なりの1on1スタイルって、あるでしょうか? 最も大切にしていることは何でしょう? それは相手ごとに違うのか、状況に応じて違うのか、毎度一緒なのか。 本日は、その辺りをクリアにして、マネジャーや支援者が、安心感と自分軸を持って1on1に臨み、相手にも安心感とクオリティの高い1on1を提供するための話を書こうと思います。 1on1の真の目的は何か?1on1とは読んで字のごとく、一対一の面談/面接のことです。例えば、職場でやる上司

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          職場のメンタルヘルス施策を"ポジティブな心理"に着目して構築するための理論たち。

          ●これからの職場のメンタルヘルス「職場のメンタルヘルス対策」という言葉。この時代、誰しもが、どこかの文脈で触れうるものだと思います。「対策」というワーディングからして、「悪いもの」を改善する、「悪いもの」に対処する、そんなイメージを想起させます。企業で義務化されている「ストレスチェック制度」も基本的には「マイナス部分」の抽出・精査であり、「強みの部分」の抽出・精査にはあまりなっていません。 「良い点を見つけて伸ばす」よりも「悪い点を見つけて改善する」ほうが、日本の国民性には

          職場のメンタルヘルス施策を"ポジティブな心理"に着目して構築するための理論たち。

          産業医のゴールとは。

          10月から始まる地上波のドラマでは、女優の波留さん演じる産業医が主役なのだそう。 ドラマの舞台は、白衣を着た先生がいる企業内診療所のようなので、昔の「工場医」(昭和13年〜)像に近い設定と言えそうです。 実際には、昭和47年の労働安全衛生法の施行により「産業医」が誕生。「診断はしない、治療はしない」のが産業医ですので、、、 ドラマはあくまでフィクション...なのですが、この差異は、本日のテーマにも繋がるのであとで触れたいと思います。何はともあれ、取り上げられる職業の1つ

          コラージュ療法で遊んでみる。

          ご無沙汰しております。ようやく秋の足音がしてきた季節感。 秋といえば、芸術の秋ですか?食欲の秋ですか? そろそろ、美術館にでも足を運びたいものですが、ここでは、 『おうちでもできるコラージュ療法』のご紹介をしていきたいと思います。 一人でも、みんなでも、親子でも。楽しみ方は自由です。 ちなみに、芸術も大切にしたいSAHANAにおいては、とても相性のいい心理療法・作業療法なのですが、こちらご存知でしょうか。 そもそも、それって何?から書いていきますね。 <コラージュ療法

          コラージュ療法で遊んでみる。

          生きる意味という重圧。-ひとつの命に想いを馳せて-

          もうすぐ8月が終わろうとしている。 コロナとともに幕を開けた今年度は、春も、夏も、いつもと異なるリズムで過ぎていく。そして、この猛暑。 それに適応するだけでも、エネルギーを使う日々に違いない。 わたしは、あまり自分のことを語るのが得意ではないし、心療内科医としては、極力無色でありたい。 だからこそ、こうやって書くことに抵抗はあるのだが、、 8月は、どうも本調子ではなかった。 noteに何を書いたらいいのかも少し見失い、日々が過ぎていくばかり。 仕事は充実している、恐らく

          生きる意味という重圧。-ひとつの命に想いを馳せて-

          自分を知る怖さを、ゆっくり開けてみる。

          自分にもっとも影響を与えた人物は誰でしょうか? 歴史上の人物、パートナーなどが頭をよぎる方もいらっしゃるかもしれませんが、おそらく、もっとも影響を与えた人物とは「養育者」ではないかと思います。療育者とは、「あなたを育てた人」です。 それが両親であるケースが多いと思いますが、違うこともあるでしょう。この「療育者」は、自分という存在を考える上で、私たちが逃れようもない重要人物です。 本日は、その「療育者」と「自分」の関係を見ていきます。 この時点で、「うわっ、怖い

          自分を知る怖さを、ゆっくり開けてみる。