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産業医のゴールとは。

10月から始まる地上波のドラマでは、女優の波留さん演じる産業医が主役なのだそう。

ドラマの舞台は、白衣を着た先生がいる企業内診療所のようなので、昔の「工場医」(昭和13年〜)像に近い設定と言えそうです。

実際には、昭和47年の労働安全衛生法の施行により「産業医」が誕生。「診断はしない、治療はしない」のが産業医ですので、、、

ドラマはあくまでフィクション...なのですが、この差異は、本日のテーマにも繋がるのであとで触れたいと思います。何はともあれ、取り上げられる職業の1つであることに、意味と興味は感じております!^^

ちなみに、医師免許を活かしながら、「医療機関外」でのキャリアを築いている点としては、産業医以外でも、事業会社で働く人、起業する人もいますし、少数派とはいえ、こんなキャリアもあっていいですよね。
これに寛容になれることこそがダイバーシティです。

では、「じゃぁ、産業医って何してるの?」と思う人も多いのかも。
ただ、twitterなどを見ていると、「呼び出しくらった〜」などの呟きを見かけるので、50名以上の企業にお勤めの方は、自分なり、部下なりのことで関わっていらっしゃるものと思われます。

正確な職務内容はググると出てきますし、「何している?」は内容なので、本日は、産業医の「ゴール」=「目標・達成基準」つまり「どうしたら、自分はサクセスしたと言えるのか?」を私なりに書きたいと思っています。

自分のゴールイメージを持つことで行動指針もできますし、「ゴールの言語化」と、「ヒントとなるキーワードや考え方のピックアップ」を、本日のテーマにしてみました。

●産業医のゴールとは。

では、早速、私なりの産業医のゴールとは、、、

・「事業成長があり、それが社員に還元されて、さらに事業成長がある状態(好循環のぐるぐる)に、専門家として貢献し続けている姿。」

・「専門家としての貢献と、自分個人としての楽しさが両立している姿。」

こんなイメージを描きました。前者では、お金の流れを意識しています(クライアントが株式会社である場合に限りますが)。ただし、エンゲージメント、ロイヤリティなどの循環も並行してあると思っています。後者は、well-beingを推奨する者として、まず自分が体現していたい気持ちからです。

これだけですとゴール設定としては定性的な話ですが、上記2点が達成できたら、「サクセスまで持って行けたなー」と自己評価してあげられる気がします。だから、道のみはまだまだ遠く、続いて行くのです。

仕事をする中では、規模感は小さくても、この2点が達成できてるかもしれんぞ、と思えるシーンもあって、それは「1つのサクセス」として喜びを感じられる瞬間です。小さな成功は、前途を明るく照らしてくれます。

貢献「し続ける」である理由は、「経営とは動的なもの」であるからです。企業フェーズに応じて、時代の流れに応じて、最高にフィットした状態というのが築けたとしても、それは長くは続かないし、微調整すること、より良くすることに終わりはないように思うからです。

どんなフェーズでも、企業の自律性だけによらず、常に相談役としてワークし、存在価値を創れていたら、カッコいいなと思いますね。

ちなみに、産業衛生の存在意義(パーパス)としては、「過労死、過労自殺をなくすこと。労災をなくすこと。」が語られることがあります。先輩産業医曰く、「ねぎらって、災いを、ゼロにする」のだそうです。

これは超絶重要な点で、産業医の究極のパーパスと言えるのではないだろうかと思いますが、これを産業医のゴールとして自己設定するのかどうか。

ここに関して、私は、事業成長があったとしても、99人がwell-beingにいられたとしても、1人消えてしまいたいほど追い詰められている人がいるなら、そこに気づいて、助けたいのが本心で、その1人を多数決の理論で無視することができない価値観を持っています。その時は、事業成長よりも、個を想って動いている気がするし、未来では、企業がその出来事を糧としてほしい、そういうこともあると片付けないでほしい、ここに目を向けられる企業こそ成長するし価値がある、という個人的な想いがそこにはあります。

アンビバレンスながら、自分の中で両立させているテーマです。
つまり、自殺対策は、事業成長や組織成長に資すると仮説し、それを実現できる希望や期待を持って、この仕事を選んでいるのです。これが企業にとっても重要でない、ということもあるのだろうと思いますが、私は、ここを重要だという価値観のある会社で活動したいと思っています。

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では、ここからは、ヒントとなるキーワードや考え方をみていきます。

●産業医の定義

東京都医師会によると、「産業医とは、事業場において、労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう(→目的)、専門的立場から指導・助言を行う(→職務)医師を云います。」とあります。

これは、自分のゴールを決める上で、役立つ一文だと思います。ただし、記載があるのは、目的と職務であり、「産業医」自身の目標は見当たりません。「快適な作業環境のもとで仕事する」のも「労働者」です。

では、「産業医」のゴールは何でしょう。社会的に、と、個人的に、でまた言語化は変わるとは思うのですが。

●労働安全衛生マネジメントシステム

こちら、とても感銘を受けたマネジメントのしくみなのですが、、、

労働安全衛生マネジメントシステムとは、「PDCAサイクルを回すこと・トップのコミット・社員意見の吸い上げによって、その事業場の安全衛生の水準を高めることを目的にした安全衛生管理の仕組み」です。

冒頭の3つの達成にこだわって、産業医のゴール設定をすることも可能そうです。

ただし、私がこれをゴールとしない理由は、事業成長や、企業存続がなくば、これらは達成できない、もしくは大変厳しいと思っているからです。
非常に有効な「ツール」「行動指針のベース」として捉えています。

●産業医と勤労者医療

最後に、冒頭のドラマの設定の話とも重なる点として、「産業医と勤労者医療」という視点にも触れたいと思います。

参考資料はこちら。大久保利晃:産業医と勤労者医療.日本職業・災害医学会会誌,51 : 95ー100,2003.

勤労者医療とは、企業内診療所の使命そのものといいますか、「医療機関」の立場から、「勤労者」を支えています。その目的の基に、企業内に診療所があることや、メンタルに重きをおいた労働者外来とか、保健師さんによるよろず相談室とかがあったら、それはそれで素晴らしいものです。

しかし、「産業医」の立場はちょっと違います。産業医は、「医療機関外」である「事業場内」の立場から、「勤労者側・企業側の両方」を支援するのが使命です。

ここを意識することは、産業医としてのゴール設定に役立つのではないかと思います。また、自分の興味関心がどこにあるのかチェックできそうです。

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ただし、ここで個人的に感じていることとしては、、
個別対応vs集団対応といった二項対立ではない。ということ。

「組織・企業をみる産業医」という文脈では、集団をみられることこそ!となりがちで、確かにゴールとしてはこっちだと思います。ただし、プロセスにおいては、個別対応をきっかけに集団対応にも至りますし、そこで信頼や協働関係が生まれます。また、個別対応歴が集団対応の精度を高めるとも思うので、どっちが大事と対立関係にみてしまうことは機会損失だと思っています。

今後、集団を定量的にみることも益々重要になっていく未来が来るのだと思います。問題解決のための分析など。データと向き合うのです。
しかし、そんなデータを手にしていても、近くの人を動かせない人に、組織は動かせないという心理的な観点もあろうかと思うのです。そこにいるのは人間だからです。つくづくバランス感覚だなーと思います。

どうしたら、自分はサクセスしたと言えるのか?

先々、自身の中でのゴールの定義は変わることもあるでしょう。
未来は、今から作れるのかもしれませんね。

ちょっと長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

今日もあなたに笑顔がありますように。
for inner peace...

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