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詩 『霧は白く』

作:悠冴紀

謎を恐れ
混沌を疎み
一元論の結論に方舟を見る人々

悟りと信じて瞳を閉ざし
目覚めと信じて眠りに落ちる
意識の雲に覆われて

私の証言は呑まれていく
白く仄冷たい霧の中へ

私は一体何人 友を失えばいい

迷い込んでいく
かつての友が
一人 また一人
意識の雲に囚われて

シアンとマゼンタとイエローの記憶
幼き日には見えていた数多の景色
友たちの瞳に
今はもう映らない

友が眠る
私の真空に始まりをもたらした友たちが
一人 また一人
目覚めの確信を語りながら
眠りの底に落ちていく

熱く力強い不確定のミクロ宇宙から
冷たい低エネルギーのマクロ宇宙へ

進化とは……
退化とは……

膨張しすぎた思考の宇宙
自らの重みに押し潰されたブラックホール

赤と緑と青の想い
白い結論が世界を覆う

友を失い たった独り
私の証言は沈黙に向かう

蒼白の霧を隠れみの
大きく瞳を開いたまま

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※ 2003年(26歳当時)の作品

シアンとマゼンタとイエローは色の三原色。対する赤と緑と青は光の三原色。この三色をあわせて見ると、脳が白と判断する。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、「詩『霧は白く』悠冴紀作」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります。

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