詩『ひとり』
作:悠冴紀
私はやっぱり
「ひとり」が好きなんだなあ
今日もこのときを待っていた
街が 人々が 寝静まり
紺瑠璃の宇宙と 向き合う時間
静けさの中で 私は独り
果てしない自由を手に入れる
宇宙にそっと囁きかける
歌のような 詩のような
秘密の声を
時間の生まれる歪みを見つめ
惑星の生まれる揺らぎを知る
「ひとり」の時間そのものに酔いしれて
背筋に沿う清流の音を聴く
これ以上の贅沢があるだろうか
夜の紺瑠璃
静寂のコンツェルト
宇宙との一体化
私の好きな
「ひとり」の夜だ
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※2006年(当時29歳)のときの作品。
夜を愛でるこういう詩は、一見夏の詩のような印象がありますが、実はこれは20代最後の11月に書いた作品です。
冬の空気って、何やら清々しく澄み渡っている感じがして、個人的には夏の空気感よりも好きなんですよね。身を清められるような心地よさがあるというか何というか……。寒いのに、何故だか夏以上に外に出たくなる。そしてそんな日の夜に見上げる空は、星々の輪郭が一際はっきりと見え、突き抜けるようなその深みに、不思議な一体感を覚えたりする。
この詩を思いついたときも、少しでも長く空を見上げていられるようにと、寒いのにあえてゆるゆると歩き、時間をかけて帰宅しようとしていた憶えがあります。肌を引き締める 洗われるような空気感に酔いしれて。
今年はまだまだ温暖で、11月とは思えない秋の空気感ですが、空や大気は順調に私好みのニュアンスになってきている気がします。そしてそういう時期には、詩の閃きも良くなるんですよね ♬ これからの季節にちょうどいい手持ち作品が多々ありますので、お楽しみにお待ちください (^_-)-☆
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