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いい感じの短歌研究:三首目
このシリーズは、僕が「あ、いいな…」と思った短歌の、「いいな」を考えてみる試みです。日課にしていきたいので、1000字以内。直感は見つめ過ぎたら逃げていく。
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蒼井杏さんの『推しとショボンヌ』に収録されている歌。
部屋から外の雨模様を眺めながら、予定のない一日を憂う…といった、言ってしまえばありきたりな絵が浮かぶのに、なんで雰囲気を持っているんだろう。
雰囲気という言葉で逃げるのは良
いい感じの短歌研究:二首目
このシリーズは、僕が「あ、いいな…」と思った短歌の、「いいな」を考えてみる試みです。日課にしていきたいので、1000字以内。直感は見つめ過ぎたら逃げていく。
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穂村弘さんの『短歌ください 君の抜け殻篇』に収録されている、後藤葉菜さんの歌。
ぱっと浮かんだのは、「取り戻せないもの」という単語だった。
どんな時代にも色はある。世界は、いま僕が感じているような色合いを帯び続けている。なのに
いい感じの短歌研究:一首目
このシリーズは、僕が「あ、いいな…」と思った短歌の、「いいな」を考えてみる試みです。日課にしていきたいので、1000字以内。直感は見つめ過ぎたら逃げていく。
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昭和時代後期の歌人・小野茂樹の歌。
夏って、世界は濃い色をしていて生命力に満ちているのに、なぜか切なさが透けている。よくよく考えると、どの季節にも切なさはあるけれど、僕は夏の切なさが一番好きかもしれない。
この歌は、その好きな
小ささの大きさ日誌〜生後5ヶ月目〜
キリの良さというものは、人間が勝手に世界に定規をあてているだけで。なんの意味もない…とは知ってるのだけれど、やっぱりどこかで節目として感じてしまう。
こんなことを書いているのは、先日お子が生後半年を迎えたから。6ヶ月。毎月こうした振り返りを残しているけれど、<6ヶ月=半年>という変換が可能な数字というだけで、急に特別になってくる。でもそれだけじゃなく。宇多田ヒカルさまが「ただの数字が特別になるよ
小ささの大きさ日誌〜生後4ヶ月目〜
お子が生後5ヶ月目に入った。数字が持つイメージだと思うが、4と5のあいだには大きな壁がある気がする。お子を抱っこしていると、「かわいいねぇ、いまどれくらい?」と聞かれることが多いけれど、「4ヶ月目です」と「5ヶ月目です」という返答では感覚がだいぶ違う。遠くまできたな…と感じるくらいの月日が流れたのか。既に振り返らないと見えなくなった思い出たちを眺めつつ、これからもお子の“いま”の横に居続けよう。
当たり前にケアしたいし、当たり前にケアされたい
子育てを、夫婦ふたりでしている。お子はかわいい。笑顔を見せてくれるたび、妻と黄色い声をあげる。天使だと思う。本当に、生まれてきてくれてありがとう。
そんな感謝が真ん中にどっしり構えている前提で、子育ては大変だ。なにが大変なのか、一つひとつを書き連ねると大したことない気がしてしまうけれど、なんだかもう大変だ。
このケアをめぐる疲労。一筋縄ではいかない。
最近強く思うのは、お子をケアしている親は
連絡の見ない振りをやめてみる(おためし その2)
Slackのメンションが苦手です。あの“スコココンッ”て音が聞こえると、身体がかすかに固まってしまう。
その他のメッセージもそう。通知とにらめっこしながら、「なにか怒らせることしたかな…」とか「傷つけちゃったかな…」とか、妄想が羽ばたいていく。
そして、伝家の宝刀「見ない振り」。通知はそのままに、メッセージアプリをそっと閉じる日々。たいていは、数時間後に「んーー、えいや!」と開いては、どうでも
“試しに”書いてみるエッセイ(おためし その1)
毎日noteをしている友人J…の話を一緒に聞いていた友人Sが「エッセイ書いてみる!」と言っていたのもあり、触発されて筆をとってみます。
というのも、なにかの本でエッセイの語源についてを読んで、それいいなぁ…と思っていたから。(なんの本か忘れてしまい、その文には出会い直せない…)
どうやら、エッセイとはフランス語で「試す、試みる」を意味する“essayer”から来ているらしいです。「おためし」が
小ささの大きさ日誌〜生後1ヶ月目〜
少し過ぎてしまったけれど、先日お子が生後2ヶ月目に突入した。生まれてから60日。まだ60日しか共に過ごしていないなんて。なんだかずっと前から一緒にいる気がする。
0ヶ月目を終えて、1ヶ月目も終えてしまった。前回の日誌にも書いたけれど、生後1ヶ月のお子にはもう会えない。その事実が寂しいし、その事実が楽しみをもたらしてくれる。
あのときブカブカだった服も、いまやつんつるてん。先月にはできなかった動
小ささの大きさ日誌〜生後0ヶ月目〜
小さく大きな存在が、この世界に来てくれてから、はや1ヶ月が経った。いつの間にか、新生児と呼ばれる期間は終了。いまは乳児と呼ばれるらしい。
時間の流れがおかしい。あれ、先週生まれたんじゃなかったっけ?と錯覚するくらい。もう1ヶ月か。子育てを経験した人が、「生まれて数ヶ月は記憶ないかも」と言っているのをよく聞くけれど、こういうことかと思う。ふと気付くと1日が終わっていて、ふむ…と首を傾げていると1週
あなたの存在は、それだけで愛されるに値するんだよ
この文章を、いつかのあなたは読んでくれるのだろうか。葛藤もすべて書いてあって、複雑な気持ちになるかもしれない。でも、あなたを愛してきたこと、愛していることもたくさん記しているから。生まれる前のあなたを祈る気持ちは、いまのあなたへの想いと同じ。
あなたに宛てた手紙なのか、記録のためなのか、書き連ねるほどにわからなくなってくる。でも、ここにある全ての言葉は、あなたが紡がせてくれたもの。いつかのあなた