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まいにち易経_1002【変化を読むスキル~寂然不動】易は思うことは無きなり、為すこと無きなり、寂然として動かず、感じて遂に天下の故に通じ、天下の至神にあらずんば、そのいずれかよく、これにあずからん。[繋辞上伝:第十章]

易无思也。无爲也。寂然不動。感而遂通天下之故。非天下之至神。其孰能與於此。

易は思うなきなり。為すなきなり。寂然せきぜんとして動かず。感じて遂に天下のことに通ず。天下の至神ししんに非ざれば、其れれか能くこれあずからん。

天下に通じる易を行うには、至高の神と繋がる者でなければならない。自然の現象を観察し、それを理解するのは、静かで揺るぎない心を持ち、自己を完全に無にして神の意図を読み取ることが求められる。

寂然不動じゃくねんふどう静かで揺るがない心の状態

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

易経は、単なる占いの本ではありません。それは、人生や世界の深遠な真理を教えてくれる「実践の哲学」なのです。
易経の本質は、変化の理を示すことにあります。世の中のあらゆるものは、常に変化し続けています。皆さんも、今この瞬間にも少しずつ変化しているのです。その変化の中に、人生の真理が隠されているのです。

ここで、ちょっと面白い例え話をしましょう。皆さんは、「バタフライエフェクト」という言葉を聞いたことがありますか?これは、ブラジルでの蝶の羽ばたきが、遠く離れたテキサスでトルネードを引き起こす可能性があるという、気象学の概念です。小さな変化が、大きな結果をもたらすという考え方です。易経も同じように、小さな変化や兆しを見逃さず、それが将来どのような結果をもたらすかを考える智恵を教えてくれるのです。

さて、易経の辞、つまり易経の言葉は、ただ読んだだけでは何も起こりません。それは無心で、無作為なものです。働きかけもなく、ただ変化の理を示しているだけなのです。でも、ここが重要なポイントです。その言葉を、自分の体験や世間の出来事と照らし合わせて読むと、どうでしょう。まるで易経が私たちに感応するかのように、的確な教示が返ってくるのです。これは、まるで古い友人との会話のようなものです。その友人は、あなたの話をじっくり聞いて、そして経験に基づいた賢明なアドバイスをくれる。そんな感じなのです。

易経は「実践の哲学」だと言われます。それは、私たちが積極的に働きかけ、用いて実践することで初めて、その真価を発揮するからです。そうすることで、天下の物事を明らかにできる。つまり、世の中の真理を理解できるようになるのです。鏡は、そこに何かが映るまで、ただの平らな面です。でも、誰かがその前に立つと、その人の姿を映し出します。易経も同じです。私たちが向き合い、問いかけることで、初めてその智恵が現れるのです。

リーダーとして成功するためには、単に知識を蓄えるだけでは不十分です。その知識を実践に移し、経験を通じて学ぶことが大切です。易経はまさに、そのような実践的な智恵を与えてくれるのです。

ビジネスの世界で考えてみましょう。市場の動向を読むこと、それは易経の教えそのものです。小さな変化を見逃さず、それが将来どのような影響を与えるかを予測する。そして、その予測に基づいて行動する。これこそが、易経の実践なのです。人間関係においても易経の智恵は役立ちます。人々の言動の裏にある真意を読み取り、適切に対応する。これも易経の教えを実践することで磨かれる能力です。

ここで、皆さんに考えていただきたいことがあります。今、自分の人生や仕事の中で、どんな変化が起きているでしょうか。その変化は、将来どのような結果をもたらすと思いますか。そして、その変化にどう対応すべきでしょうか。これらの問いに答えることが、易経を実践することの始まりなのです。単に本を読むだけでなく、自分の体験と照らし合わせ、そこから学びを得る。そして、その学びを実際の行動に移す。これが易経の教える「実践の哲学」なのです。

易経は、読むだけでは意味がありません。実践することで初めて、その真価を発揮するのです。ですから、今日学んだことを、ぜひ日々の生活の中で実践してみてください。小さな変化に気づき、その意味を考え、適切に対応する。そうすることで、皆さんは確実に成長し、優れたリーダーへと近づいていくことでしょう。

易経の智恵は、皆さんの人生を豊かにし、より深い洞察力を与えてくれるはずです。それは、ビジネスの場面だけでなく、人間関係や自己成長においても、大きな力となるでしょう。


参考出典

実践の哲学
易経の辞はただ読んだだけでは無心・無作為であって、働きかけもなく、ただ変化のことわりを示しているにすぎない。しかし、ひとたび自分の体験や、世間の出来事と照らし合わせて読むと、感応するように的確な教示が返ってくる。
易経は「実践の哲学」。こちらから働きかけ、用いて実践するならば、天下の物事を明らかにできる。

易経一日一言/竹村亞希子

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