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まいにち易経_0727【包括的パートナーシップ戦略】万邦を懐くるなり。[07䷆地水師:九二]

懷萬邦也。

万邦《ばんぽう》をなつくるなり。

『懷萬邦也』=『万邦をいだく』

  • 懐く:抱擁する、包み込む、心に抱くという意味。

  • 万邦:多くの国や地域、あるいはすべての国や地域を指す。

つまり、「すべての国や地域を心に抱き、慈しむ」という意味を持つ。
より具体的には、優れた統治者や指導者が、広く国々や人々のことを考え、その幸福や繁栄を願うという理想的な姿勢を表現している。
この考え方は、古代中国の政治哲学において重要な概念であり、理想的な統治者の資質の一つとして捉えられていた。

包括的パートナーシップ戦略
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「万邦を懐くるなり」とは、戦争の勝ち方を説いた言葉です。
戦争の際には、単に勝つだけでなく、戦った相手国を味方に引き入れるような勝ち方を目指すべきだという教えです。
これは、戦争において相手を殺し尽くすような方法では、戦後の繁栄がありえないことを示唆しています。この考え方は、現代の社会でも多くの場面で通用します。

例えば、経済競争においても、単に相手を潰すのではなく、共存共栄を目指すことが重要です。競争に勝って得た利益を独り占めせず、適切に還元することで、人々の賛同を得ることができます。利益を独り占めしようとすると、短期的には成功するかもしれませんが、長期的な成長は望めないでしょう。

歴史を振り返ると、多くの成功者が「万邦を懐くるなり」の精神を実践してきました。例えば、アレクサンドロス大王は、征服した地域の文化や宗教を尊重し、現地の人々と協力関係を築くことで広大な帝国を維持しました。また、徳川家康も同様に、敵対した大名たちを巧みに取り込み、安定した江戸幕府を築き上げました。

現代のビジネス界でも同じことが言えます。
たとえば、シリコンバレーの企業は、競争相手と協力し合うことでイノベーションを促進しています。GoogleやAppleは、競争しながらも互いの技術を活用し、業界全体の発展に寄与しています。このような協力関係は、単に相手を打ち負かすだけでは得られない成果を生むのです。

「万邦を懐くるなり」の教えは、個人の成功にも応用できます。
人間関係においても、他人を尊重し、協力することで、より豊かな人間関係を築くことができます。他人を押しのけて自己利益を追求するのではなく、共に成長することを目指す姿勢が重要です。

最後に、「万邦を懐くるなり」という言葉は、単なる戦略ではなく、人間の本質的な価値観を示しています。相手を尊重し、協力し合うことで、より良い社会を築くことができるのです。この精神を現代に生かし、個々の成功だけでなく、社会全体の繁栄を目指していきましょう。


包括的パートナーシップ戦略

「包括的」は、広範囲にわたる、全体を包み込むという意味で、「万邦」の概念に対応します。
「パートナーシップ」は、企業間の協力関係を指し、「懐く(思いやり、配慮する)」という概念を現代的に解釈したものです。
「戦略」は、長期的な計画や方針を意味し、古代の統治者の姿勢を現代のビジネス文脈に置き換えたものです。
つまり、「包括的パートナーシップ戦略」とは、企業が自社だけでなく、取引先、サプライヤー、競合他社を含む業界全体の利益を考慮し、協力的な関係を構築・維持しながらビジネスを展開するという考え方です。
この戦略には以下のような要素が含まれます:

  • 業界全体の発展を視野に入れた協業

  • 取引先との Win-Win の関係構築

  • オープンイノベーションの推進

  • サプライチェーン全体の最適化

  • 業界標準の共同開発

このアプローチは、単に自社の利益だけを追求するのではなく、ビジネスエコシステム全体の健全な成長を目指すものであり、結果として持続可能な事業展開につながります。


参考出典

戦争の勝ち方を説いている言葉。戦争をする際は、戦った国々を味方にしていくような勝ち方をするべきである。勝って相手を殺すのでは、戦後の繁栄はありえない。
これは現代社会でも通用する。経済競争でも相手を潰すのではなく、相手を生かす勝ち方を考えなくてはならない。
そのためには勝ち取った利益を還元し、人々の賛同を得る努力をすることである。利益を独り占めしようとすれば、それ以上の成長は望めない。

易経一日一言/竹村亞希子

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