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宇宙5条約

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宇宙5条約を3分で解説しています。
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記事一覧

3分でわかる月協定

3分でわかる月協定



ファースト・マン人類初の月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士、ニール・アームストロングの半生を描いた映画「ファースト・マン」が公開されました(筆者も早速観てきました)。

約60年も前から、人類は月を目指してきました。ある時は観測の対象であり、ある時は童話のステージであり、ある時は祈りを向ける対象であり、ある時は競争目標であり、ある時は旅行先とされる月の直径は3,474km(地球は12,742km)

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3分でわかる宇宙救助返還協定

3分でわかる宇宙救助返還協定



ドラゴンの帰還今月8日、SpaceXのドラゴン宇宙船がISSから帰還しました。
ドラゴン宇宙船は、ISSを離れてから約6時間後、ケープカナベラル沖約370kmに着水しSpaceXが回収しています。
ところで、このような宇宙物体が地球に帰還する時のルールはあるのでしょうか?特に、事故や遭難、緊急着陸といった非常時はどのような取扱いを受けるのでしょうか?

宇宙条約宇宙活動に関する基本的なルールを

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3分でわかる宇宙平和利用原則

3分でわかる宇宙平和利用原則



スターウォーズの世界?今月27日、インドがミサイルによる人工衛星の破壊実験に成功したと発表しました。説明の中で、インドが宇宙大国へ仲間入りを果たしたこと、歴史的な偉業を達成したこと、ミサイル発射から3分で自国の低軌道衛星を撃墜したことに言及しています。本連載を1つ読むくらいの時間でミサイル発射から衛星の破壊まで至ってしまうわけですね。他に対衛星ミサイルの運用能力を持つ国は、米国、ロシア、中国の

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マンガで分かる宇宙法体系



宇宙法という名の法律はない「宇宙法」というと、どのようなイメージを持つでしょうか?
「法律」というただでさえよくわからないものに「宇宙」というもっとわからないものを掛け合わせているのだから、全く意味不明のものに違いないという印象を持たれるかもしれません。
実は「宇宙法」という名前の法律があるわけではなく、宇宙に関するルールを定めた条約や国連決議、声明文、法律などをいろいろまとめて「宇宙法」と呼

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マンガでわかる宇宙法のニーズ

マンガでわかる宇宙法のニーズ



宇宙ビジネス戦国時代だからこそ今日、国内外を問わず、ロケット打上げサービスや衛星データ活用といった、宇宙に関わる数々のサービスが生まれています。

もっとも、宇宙空間は誰のものでもないことや、個人単位を超えて国単位の話となり得ること、活用している技術が最先端であることといった事情から、今までは(地球上のビジネスでは)考えられてこなかった問題も多く生じてきます。
そうであればこそ、必要になるのは

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3分でわかる宇宙条約

3分でわかる宇宙条約



宇宙の憲法宇宙条約は「宇宙の憲法」とも呼ばれ、宇宙活動に関する基本的なルールを定める条約です。

【宇宙条約の内容】
宇宙活動の自由(1条)
宇宙空間・天体の領有禁止(2条)
平和利用原則(3条、4条)
宇宙飛行士の救助・宇宙物体の返還(5条、8条)
国際的責任・継続的監督(6条)
損害賠償責任(7条)
環境汚染防止(9条)

1966年に採択(翌年発効)された法的拘束力のあるハードローとして

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3分でわかる宇宙活動の自由



宇宙条約の基本的な原則「趣味は宇宙活動」と言うと、「宇宙開発は国が莫大な予算をかけて行うものだ」という話をぶつけられることがあるかもしれません。
果たして、そのような決まりはあるのでしょうか?

これに関連する最も基本的な原則が、宇宙条約1条です。
宇宙条約1条は以下のように規定し、宇宙活動の自由について定めています。

月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、

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3分でわかる宇宙物体登録条約

3分でわかる宇宙物体登録条約



宇宙条約の具体化宇宙条約8条は、「宇宙空間に発射された物体が登録されている条約の当事国は、その物体及びその乗員に対し、それらが宇宙空間又は天体上にある間、管轄権及び管理権を保持する。」と規定しています。
地球上では、例えば日本の不動産であれば登記によって誰のものかが示されていますが(後述のように例外あり)、人工衛星やロケットなどの宇宙物体は、登録によって管理・管轄権が誰にあるかが明らかにされま

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3分でわかる打上げ国

3分でわかる打上げ国



なぜ重要か?宇宙損害責任条約2条は、ロケットなどの事故によって地表で損害を発生させた場合、「打上げ国」が無過失責任を負うと規定しています。
したがって、打上げ国がどこなるかは非常に重要です。

宇宙損害責任条約1条(c)、宇宙物体登録条約1条(a)は、「打上げ国」を以下のように規定してます。

①宇宙物体を打上げ、又は行わせる国
②宇宙物体が、その領域又は施設から打上げられる国

これを分解し

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3分でわかる宇宙損害責任条約

3分でわかる宇宙損害責任条約



ロケットの打上げや人工衛星の運用中に事故が発生した場合、誰がどのような責任を負うのでしょうか?
特に、打上げを行った国と被害を受けた国(人、会社)が異なる場合、どのようなルールによって手続がなされるのでしょうか?
今回は、国家間の損害賠償ルールを定めた宇宙損害責任条約について取り上げます。

何を定めているのかー損害賠償に関する考え方宇宙損害責任条約(宇宙物体により引き起こされる損害についての

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3分だとわからない宇宙条約とデス・スター

3分だとわからない宇宙条約とデス・スター

アメリカが軍事宇宙ステーションを必要としているという記事です。
どこまで真面目かはさておき、軍事宇宙ステーションというともはやSFの世界のようです。

ところで、宇宙をテーマにしたSFの金字塔といえばスターウォーズです。
スターウォーズは、遠い昔、遥か彼方の銀河系を舞台に繰り広げられる帝国軍と反乱軍の戦いの物語(エピソード7以降はファースト・オーダーとレジスタンスの戦い)です。

作品中、帝国軍を

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3分でわかる宇宙法体系

3分でわかる宇宙法体系



宇宙法という名の法律はない「宇宙法」というと、どのようなイメージを持つでしょうか?
「法律」というただでさえよくわからないものに「宇宙」というもっとわからないものを掛け合わせているのだから、全く意味不明のものに違いないという印象を持たれるかもしれません。
実は、「宇宙法」という名前の法律があるわけではなく、宇宙に関するルールを定めた条約や国連決議、声明文、法律などをいろいろまとめて「宇宙法」と

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