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バルネ・ウィラン『パッショーネ』(1995)


このCDが発売になることを、リアルタイムで「知っていた」。突然、このアルバムと、前作『ニューヨーク・ロマンス』が姉妹作と位置付けられ「ロマンス3部作の第2弾」なんて宣伝されていた。当然、この後、バルネは死去するので、「第3弾」は出なかった。

当時すでにバルネのファンだったが、これは買わなかった。嫌な予感しかしなかった。ジャケットがまずひどすぎた。 #ヴィーナス・レコード のジャケットのひどさはもはやお家芸だが、その萌芽がすでにここから表れていた。

あと、なぜか、トランペットのエンリコ・ラヴァが入っていた。私は、バルネは一人で主役を張れるミュージシャンだと思うので、これも買わない理由だった。

それよりも、バルネは調子が悪いのではないかと、当時から思っていた。バルネの衰えを目立たせないために、エンリコ・ラヴァを入れたのではないかと危惧した。

実際これを聞いたのは、バルネが死んで、しばらくたってからだ。予想はだいぶ的中しており、バルネはあまりソロをとっていない。もう、病魔が彼をむしばんでいたのだろう。アンブシャーは崩れ、音色は締まりがなくなり、弱弱しい。エンリコ・ラヴァも、かなり力を抑えて吹いており、バルネを看病するようにアンサンブルをしている。

死後、このセッションを時系列に並べた『トリロジー』が出たが、本当に映えないセッションだったということがよくわかる。お通夜のような静けさだ。何が『パッショーネ』か。

アルバムで編集する際には、元気な曲を冒頭に並べて、それなりに活気あるように見せているが、もう、音色が元気がないので、どうしようもない。

「水辺にたたずみ」は、バルネの白鳥の歌かもしれない。最高のパートナー、アラン・ジャン・マリーの美しいピアノに乗って、最後の力を振り絞って楽器を駆使して聴衆へ音楽を届ける。エンリコ・ラヴァも華を添える。

バルネにとっては不名誉なアルバムかもしれないが、ファンは、やはりそれでも特別な感情を持つものだ。最後の最後まで音楽を届けてくれてありがとう。


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