【アマプラ】映画『マージンコール』に痺れる
※ネタバレ注意です
久々に痺れちゃいましたよ。
アマプラでみました。
いちおうフィクションなんだけど、リーマンショックの直前を描いた2日間、とみれる。
明朝、「いつもの日常」が崩れ去るであろう、その前夜のストーリー。当事者目線で体感できる力作。
激動と静寂
役職のある中年男性への非情なリストラ勧告から始まるストーリー。
冒頭から淡々とユーウツなシーンが続いていく。
しんみりその男性を見送りつつ、内心は自分じゃなくて良かったと安堵する主人公たち。が、その後ジワジワとうちの会社やべえ…と気づくことになる。うちの会社が取り扱う商品、紙屑同然じゃないかと。。
そこから長い夜そして朝まで目まぐるしく展開していく。
明日会社がなくなるかもしれない。職を失うかもしれない。自分が泥を被るかもしれない。自分の日常が変わる。そして世界中を敵にまわす。
刻一刻と悪い予想しか出てこない展開が真夜中のオフィス街で続いてく。
その間、人の声以外、無駄な音がほとんどしない。
オフィス街の静寂。
想像しただけで悪夢だし、ホラー映画では演出できない怖さ。
めちゃくちゃ怖い。
まるで夢なのか、目が覚めたのか
そういう状況の中で多くの人が混乱し、ギリギリ平常心を保とうとする姿が描かれてる。これも怖い。
トイレのなかで会社役員クラス二人が、
「まるで夢をみてるようだ」
「むしろやっと目が覚めたよ」なんて会話してる。このシーン、めちゃくちゃ象徴的。世界より半歩先にバブルが弾けた人たち。
禁煙してたのにタバコをスパスパ吸い出す。
高層ビルから飛び降りたい症状に駆られる。
お酒ラッパ飲み。
全身完璧にコーデしていた女性役員がとうとう自分がクビになることを悟り、きちんと束ねた髪を下ろすシーン。
みんな寝てない、ほとんど食べてない、酒が回ってる、家庭も不安定、などなど。
そんな要因が混ぜこぜになりつつも、刻一刻とどん底の明日が迫ってくる。
ある意味で極限状況下で人はどうなるかが超リアル。
カネ、カネ、カネ
会社トップが最終的に決断したのは売り逃げ。
自分たちの商品がクズ債権だった。だったら売り抜ければいい。
キレイゴトは表向きだけ、やっぱり経済は食うか食われるかで動いてる。
いかに儲けるか。最終的に選ぶのは人ではなく、カネ、カネ、カネ。
そういった剥き出しの心理が描かれている。
世の中の非常にシンプルで残酷な一面。
部下に慕われているケヴィン・スペイシー演じる管理職の冒頭とラスト。
冒頭では部下がクビになったことよりも自分の犬の病状の悪化に嘆いている姿。
そして中盤までは、最後まで良心に反する決断に抵抗し「いい上司」の一面を見せつつも、保身に走る姿。
そしてラストシーンでは泣いて亡くなった愛犬の墓穴を掘る姿。
人の多面性や不安定さが描かれているのも味わい深い。
『ジャック・ライアン』シリーズのトム・クランシーの作品が軍事ホラーなら、本作は金融ホラーといったところか。
Amazonのレビューをみると賛否が真っ二つに別れています。
刺さる人には刺さる名作ってことです。
ちなみにタイトルのマージンコールとは、
金融関連のおまけ
お金儲けは天才。人間としては最低。
そんな人たちが大金を手に入れるとどうなるか。
人間の欲望が暴走しまくりの3時間。目を覆いたくなるほどの乱痴気騒ぎがブチ抜けすぎていて逆に爽快。でも商売の本質がサラっと描かれてる。作品としてかなり好き。
金融、経済、投資について興味をもったのはエミンさんのSNSをフォローしてから。世界がどう動いているのか。ここまで書いて大丈夫なの?!ってくらい某国にケンカ売ってる。そして、読後に日本の未来は明るいって思いにさせてくれます。
会社四季報!見方がわかるとめちゃくちゃ面白いぞ。
これは辞書ではなく読みもの。上場企業約4000社が紡ぐストーリーを読む。
見方はYoutubeを見ていくとだんだん慣れてきます。推し活するなら企業でしょ。
Fujisanなら定期購読がちょっぴりおトク。
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年末はたっぷりとノワールな世界を。
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