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子犬のワルツ 楽曲分析

ピアノを弾く方なら一度は憧れるであろう作曲家ショパン(1810~1849)。彼の代表作といえる『子犬のワルツ』の楽曲分析をしていこうと思います。約2分の短い曲で、和声も複雑ではないので親しみやすい作品です。ではどのような構造をしているのか見ていきましょう。


1作曲年

現在では1846~47年頃の作曲だと考えられており、他の2曲のワルツとまとめられて作品64として出版されました。通し番号順にワルツ第6番と呼ばれることもありますが、ショパンは生前に出版されなかったワルツを何曲か遺しているので、子犬のワルツが6番目に作られたワルツということを示しているわけではありません。

晩年の作品であり、晩年に近づくにつれて作風が円熟味を増し難解な作品も生まれる中、このワルツ集は難しい技法は無く明快な和声と親しみやすいメロディをもっています。

余談ですが、この後発表、出版されたのはチェロソナタト短調作品65のみであり、作品番号66以降はショパンの死後遺作として出版されることになります。

では本題に戻り、どのような構造なのか見ていきましょう。

2 調、拍子、構成

3/4拍子、調は変ニ長調
AーBーAの三部形式で構成され非常にシンプルな構造となっています。
Molto Vivace(非常に活発的に)の指示がありますので、テンポは速めでしょう。

楽譜を見ていきましょう。

A

Aの部分は和声が主和音(トニック)属和音(ドミナント)のみで構成されている非常にシンプルな構造です。しかし右手は絶え間なく動いているので演奏は容易ではないでしょう。0:00~

Aの部分はこの二つの和音で構成されている

Aは前半と後半にわかれており、後半(ここではA’と表記します)は平行調の変ロ短調ではじまり、すぐに変ニ長調に戻ります。A'は繰り返され2度演奏されます。0:13~

A’

続いてBに突入します。ここでは転調はされずそのまま変ニ長調で曲が進行します。0:35~

B

一旦へ短調で一区切りした後、もう一度Bが再現されます(ここではB’と表記します)。0:52~

B'

ここでは単純な繰り返しは避けられ、装飾音がついて変化を付けています。
B’
が終わると4小節に渡るA♭のトリルのあと、Aの主題が戻ってきます。
1:09~

AとA'は特に変化されることもなく最初のまま演奏されます。
最後は変ニ長調の音階を一気に下降しながら曲を締めくくります。

終結部

いかがでしたでしょうか。
このように分析してみてみると、とても単純な構成をしていることが分かったと思います。クラシック音楽も分析すれば意外と簡単な曲構成なんだと気づかされることが多いです。すこしでもクラシック音楽が世の中に広がればいいなと思っております。

それでは、ご覧いただきありがとうございました。

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