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一歩進んだ音楽理論 対位法編

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ここでは厳格対位法を使って対位法のあれこれを紹介していきます。
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一歩進んだ音楽理論 対位法編

ここでは複数の声部(パート)を互いに調和させながら重ねていく技法である対位法についてをご紹介いたします。ここでは厳格対位法というものを用いて様々な制約の中、どのように音を並べていくかを見ていこうと思います。 1 2声対位法対位法の基盤となるものが、2声対位法です。2声対位法を熟知したうえで、3声、4声と声部を増やしていきます。 ここではあらかじめ与えられた旋律である定旋律(Plainchant)の上、または下に旋律を付け加えます。 付け加える旋律は 第1類 全音符 第2

2声対位法における好ましい進行 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 2

前回からの続きです。ここでは2声対位法第1類において好ましい進行、なるべく避けるべき進行などを紹介していきます。響きの面を重視した結果生まれたものですので、守れるものはなるべく守っていきたい事項です。では見ていきましょう。 1 好まれるもの、避けるべきもの(i) 和声でもありましたが、なるべく反行を多く使用し、長い順次進行を含んでいること。並行をする時は並達8度などの禁則を破らないように注意しましょう。跳躍進行の時は2度続けて同じ方向に飛ばないようにしましょう。 (ii)

対旋律を付ける練習 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 3

前回までの禁則や、好ましい進行、避けるべき進行を考慮しながら実際に与えられた定旋律に対旋律を付ける練習をしてみましょう。 1 長調(メジャー)以下の例を使い対旋律を付けてみましょう。 まずは1小節目、最後から1小節前、最後の小節の音は制限があるのでそこからまず決めてしまいます。 最後の小節は必ずIの音(ド)で終わるので、必然的に対旋律もIの音(ド)になります。 最後から1小節前はVの和音、Vの和音第1転回形、VIIの和音第1転回形のいずれかを使用します。定旋律でレ(D)

2声対位法 第2類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 4

今回からは2声対位法第2類についてを学びます。ここからは対旋律が全音符から二分音符に変化し、また規則なども変化します。では見ていきましょう。 1 2声対位法 第2類第2類では二分音符で対旋律をつけます。 リズムは最初の小節のみ二分休符を挟み二分音符を一つ置き、最後の小節のみ全音符で締めくくります。 第1類と同じで 最初の小節はI音またはV音(下が対旋律の場合はI音のみ) 最後から1小節前はVの和音、Vの和音第1転回形、VIIの和音第1転回形を置く 最後の小節はI音 はか

2声対位法 第2類② 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 5

2声対位法第2類の続きです。 ここでは第2類における、制限や禁則事項などを見ていきます。 1 2声対位法 第2類における制限事項・2声対位法 第2類において1小節に使える和音は1つの和音のみです。なので1小節にIII→IVなどと2つの和音を置くことはできません。 ただし長三和音から長三和音第1転回形、短三和音から短三和音第1転回形への変化は良いとします。 ・対旋律の強拍には和声音を置きます。例えばIの和音の時は、強拍における音はI、III、V音(Cメジャーならドミソ)で

2声対位法 第2類 対旋律をつける練習 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 6

今回は2声対位法第2類における対旋律をつける練習をしてみましょう。 1 注意すべき点気をつけるべき点は以下の通りです。 ・順次進行を多く用いて、できる限り反行を用いる ・連続8度、5度や並達8度、5度などの禁則に加え、間接連続8度、5度にも注意すること ・例外を除いて1小節1和音を守ること これらを気にしながら対旋律をつけていきましょう。 1 長調(メジャー)の場合では以下の例題を使って対旋律をつけましょう。 1小節目はI音またはV音、最後の小節は必ずI音です。 最

2声対位法 第3類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 7

今回からは2声対位法 第3類を学んでいきます。対旋律が四分音符となり、よりメロディーらしさが出てきます。では早速見ていきましょう。 1 2声対位法 第3類最初の小節は一つ四分休符を置いてスタートさせます。最後はこれまでと同様で全音符で終結します。 最初の小節では今まで通り、上が対旋律ならI音かV音でスタートします。下が対旋律ならI音でスタートします。加えて最初の小節ではIの和音でスタートするので、Iの和音と取れないような対旋律は作らないようにします。 最後の小節はI音で

2声対位法 第3類 対旋律を作る練習 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 8

今回は2声対位法 第3類における対旋律をつける練習を行います。 こちらも活用して練習してみましょう。 1 長調の場合やることは第1類、第2類と変わりありませんが ・なるべく反行を用いること ・順次進行を多く用いること ・1小節1和音 ・関節連続8度、5度などの禁則に気を付ける これらを念頭におき、綺麗な旋律線を作れるように練習してみましょう。 例題はこちらです。 いきなり対旋律を作っていもかまいませんが、もし難しいと感じたら先に強拍に来る音だけ決めておいてもよいでしょ

2声対位法 第4類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 9

今回は2声対位法 第4類についてを学びます。第4類は移勢(シンコペーション)を使ったもので、第2類と同じく2分音符で対旋律を作ります。では早速見ていきましょう。 1 2声対位法 第4類 先ほども述べた通り、対旋律には2分音符を使用します。最初の小節では強拍に2分休符を置き、最後の小節は全音符を置きます。 最初の小節は 上が対旋律ならI音、またはV音で始めます。 下が対旋律ならI音で始めます。 最後から1小節前では 使える和音はVの和音、Vの和音第1転回形、VIIの和

2声対位法 第5類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 10

今回は2声対位法 第5類についてを学びます。この第5類は第2類、第3類、第4類が複合されたものです。華麗と呼ばれるもので、より対旋律が旋律っぽくなるものです。では早速見ていきましょう。 1 2声対位法 第5類 華麗先ほど述べた通り、第5類は第2類、第3類、第4類が複合された形です。いわば2声対位法の総決算ともいれるものでしょう。 第5類では8分音符を使用できます。8分音符は順次進行の中で控えめに使います。 始めの小節では以下のようなリズムでスタートします。 その他の小

3声対位法 第1類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 11

今回からは3声対位法を学んでいきます。とは言っても、やることはほぼ2声対位法と変わりはありません。2声対位法をマスターしていれば、そこまで難しいものではないと思います。では早速見ていきましょう。 1 3声対位法 第1類声部が3つとなり、上、真ん中、下の声部に分かれます。 3声対位法 第1類では定旋律に対して、全音符で二つの対旋律を作ります。 和音は2声対位法と変わらず、長・短3和音基本形と、長・短・減3和音の第1転回形です。 最初の小節と最後の小節ではIの和音の基本形

3声対位法 第2~4類 一歩進んだ音楽理論 対位法編 Part 12

だいぶ空白の期間がありましたが、対位法の紹介を続けていこうと思います。今回は3声対位法の第2~4類を紹介していきますが、注意すべき点は2声対位法と変わりありません。間接連続8度、5度などに注意しながら対旋律を作っていきましょう。 1 3声対位法 第2類2声対位法 第2類を参考しながら見てください。 定旋律に基づいて、一方は全音符で、もう一方は2分音符で対旋律を作ります。例題はこちらです。 最初と最後は不完全和音でも構いません。途中の小節では不完全和音は2つまで使用できま