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遺留分とは〜相続が争続とならないために知っておくこと〜

過去記事では、「相続」「遺言」のそれぞれ
知っておきたい種類についてお伝えしました。

記事の中でも少し触れました「遺留分」について
本日は詳しく説明したいと思います。

遺留分を理解するにあたっては「法定相続分」
についてもあわせて見ていきたいと思います。

まずは法定相続分からご説明します。


○法定相続分

民法では財産を相続できる人が定められています。
この相続できる人を「法定相続人」と呼ばれます。


法定相続人は「配偶者」は必ず相続人となり、
子供、父母、兄妹といった順番で相続となります。

この法定相続人たちが相続する際に、それぞれの
民法に定められた相続割合があります。

これが「法定相続分」といわれるものです。

法定相続分は残された法定相続人の構成によって
割合が下図の通り異なります。

出典:SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集 法定相続分

例えば、父、母、長男、次男の4人家族で
お父さんが亡くなった場合の法定相続分は、

配偶者 1/2
長男    1/4 (1/2を子2人で半分ずつ)
次男    1/4 (1/2を子2人で半分ずつ)

という割合で分割します。

この法定相続分は、基本的に過去記事でお伝え
した「遺言」がなかった場合に発動します。

遺言がなかった場合は、法定相続人全員で
「遺産分割協議」という相続会議が必要です。

この遺産分割協議での分割の目安となるのが
「法定相続分」です。

上記分割割合を目安として相続をしますが、
相続人同士の同意があれば法定相続分に
限らなくても大丈夫です。


では、本日のテーマである「遺留分」について
見ていきます。


○遺留分


先ほどは「遺言」がなかった場合、遺産分割協議
での分割割合の目安となるのが法定相続分でした。

しかし、故人が「遺言」を残していた場合、
どうなるでしょうか。

例えば、先ほどの例である父、母、長男、次男
の4人家族であった場合、

「長男に全財産を相続させる」といった極端な
遺言があった場合どうでしょうか。

母、次男は1円も相続できないとなると不公平
ですよね。

このような問題が起きないために「遺留分」
があります。

遺留分とは民法で定められた権利のことで、
「最低限ここまでは相続できる」というものです。

そのため、遺言などで過度な相続があった場合、
遺留分の権利を行使すれば、最低限定められた
自分の相続分のお金は取り戻すことができます。

遺留分については先ほどの法定相続分と同様に
割合が決まっています。

なお、法定相続分は兄妹もありましたが、
遺留分については兄妹は認められていませんので、
配偶者、子、親などの直系尊属のみです。

各人の遺留分は下図の通り。

出典:SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集 遺留分

例えば、先ほどのご家族の例ですと、

配偶者 1/4
次男    1/8 (1/4が子2人で半分)

が遺留分となりますので、相続された財産の
上記割合までは取り戻すことができます。

この時に発動させるのが「遺留分侵害請求権」
と呼ばれるものです。
※令和元年7月1日施行された改正民法前は
 遺留分減殺請求権と呼ばれていました

話し合いでまとまらない場合は、地方裁判所
などに提訴することになります。

基本的には「遺留分」の金額についてお金で
清算することになりますので、相続した財産
通りで取り戻すということはできません。

また、遺留分を侵害していることなどを知って
から1年間行使をしないと、時効により権利が
向こうとなるため注意が必要です。

この遺留分の権利を発動させるとなると、
基本的に相続は「争続」となってしまいます。

円満な相続となるためにも、1人に多くの財産
を残そうと遺言を考えられている方などは、
この遺留分対策についてもしっかり考えて
おかなければなりません。

この遺留分対策には生命保険もうまく活用する
ことができますので、ぜひご相談ください。

また、既に「争続」となり遺留分侵害請求権を
発動させたいという方についても、弁護士など
の紹介が必要な方はお声かけください。

それでは。

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