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「ソロの細道」47都道府県エッセイ

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2021年年末にかけての50日間チャレンジ。全国を旅した思い出をエッセイに。47都道府県の紀行文を連載します。
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#旅行エッセイ

「丹後の天酒、至極なり」”ソロの細道”Vol.26「京都」~47都道府県一人旅エッセイ~

「丹後の天酒、至極なり」”ソロの細道”Vol.26「京都」~47都道府県一人旅エッセイ~

京都と言えば、修学旅行の主要な行き先の一つであり、沖縄の高校生にとってもそれは同じだった。

そのタイミングで初の京都へ行き、あまり寺社仏閣が無い沖縄人が金閣寺や清水寺といった有名なお寺を見て感動する、ということも多い。

といいつつ私の高校はというと、生徒の投票によって「東京&北海道プラン」が選ばれ、京都へ行くことは無かったのだが。

ただ私自身は小学生の頃に家族で北陸と京都へ旅行をしたことがあ

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「大雨の大井川鉄道」”ソロの細道”Vol.22「静岡」~47都道府県一人旅エッセイ~

「大雨の大井川鉄道」”ソロの細道”Vol.22「静岡」~47都道府県一人旅エッセイ~

日本各地には様々な”吊り橋”があるけれど、最も人気があるのは静岡県にある”夢の吊り橋”ではないかと思う。

もう名称からして凄い。”夢の”なのだ。しかしそれは決してオーバーでも無く、一度実際に見た人は「確かに」と納得してしまうような魅力がある。

そんな名所の事を私が放っておけるわけもなく、会社の休みを利用して静岡旅を計画。数日の静岡旅行の最終日に選んだのが、”夢の吊り橋”や”奥大井湖上駅”がある

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「身に染みる おでんと燗と 夫婦愛」”ソロの細道”Vol.18「福井」~47都道府県一人旅エッセイ~

「身に染みる おでんと燗と 夫婦愛」”ソロの細道”Vol.18「福井」~47都道府県一人旅エッセイ~

福井に初めて訪れたのは、小学生の頃の家族旅行だった。

そのころの記憶と言えば、このエッセイの一つ前で書いた「雪の記憶」と、幼心に雄大さと海風の顔を貫くかのような冷たさが記憶に残っている「東尋坊」のこと。そして家族皆が美味しそうに蟹を食べるのを見ていた記憶(私が甲殻類アレルギーで食べられないのだ)だろうか。

福井には結局それ以来足を踏み入れていなかったのだが、3年前の年末年始旅で久々に訪問し、3

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「人だけが居ない街」”ソロの細道”Vol.7「福島」~47都道府県一人旅エッセイ~

「人だけが居ない街」”ソロの細道”Vol.7「福島」~47都道府県一人旅エッセイ~

ゴーストタウン、という言葉がある。

ゴースト=幽霊、タウン=街。直訳すれば”幽霊の街”となる。

日本においては、例えば長崎の軍艦島などのように炭鉱の町が役割を終えて廃墟となった場所であったり、かつては賑わっていた温泉街が廃れてしまってシャッター街となってしまった場所をイメージすることが多いだろう。

廃墟巡りという趣味もあることから、ネットで検索すると様々な場所が紹介されているが、近年で最も注

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「為せば成る。上杉の教えが受け継がれる地で」”ソロの細道”Vol.6「山形」~47都道府県一人旅エッセイ~

「為せば成る。上杉の教えが受け継がれる地で」”ソロの細道”Vol.6「山形」~47都道府県一人旅エッセイ~

戦国時代きっての英雄である上杉謙信は、「義」を貫いた人だとずっと言われてきた。そしてその「義へのこだわり」がその後長年にわたって上杉家の財政を苦しめた、とも言われている。

上杉謙信の死後、養子だった二人が争った「御舘の乱」を経て上杉家の家督を相続した上杉景勝は、越後から会津、そして米沢へと所領を移し、江戸時代以降は米沢藩として、上杉家は幕末までずっと続くことになる。

そんな上杉家のお膝元である

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「あゝ杜王町の夜は更けて」”ソロの細道”Vol.5「宮城」~47都道府県一人旅エッセイ~

「あゝ杜王町の夜は更けて」”ソロの細道”Vol.5「宮城」~47都道府県一人旅エッセイ~

一九九九年の日本。どこにでもありそうな平凡な町、杜王町の駅前ロータリー付近から新しい物語が始まろうとしている・・・。

この書き出しから始まるのは、名作漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第四部である。

”S市杜王町”という物語の舞台は、第四部だけでなく第八部の位置づけである「ジョジョリオン」でも使われたが、その杜王町のモデルとなったのが、作者である荒木飛呂彦先生が住む、宮城県仙台市だ。

そんな仙台

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「バスケの街と車窓の眺め」”ソロの細道”Vol.4「秋田」~47都道府県一人旅エッセイ~

「バスケの街と車窓の眺め」”ソロの細道”Vol.4「秋田」~47都道府県一人旅エッセイ~

むかしな、秋田のくにに、八郎って山男が住んでいたっけもの。

小学校の国語の教科書に載っていた、「八郎潟」の由来を描いた「八郎」という話は、今でも記憶に残っていて、地図で八郎潟を見るたびにそのことを思い出す。

全編にわたって秋田弁で書かれたその話は、沖縄方言を日常的に使っていた私にとって不思議なリズムに思え、何度も音読をして読み返した。

そこから秋田といえば八郎潟、という印象となり、そこから「

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「震災遺構と語り部がつなぐもの」”ソロの細道”Vol.3「岩手」~47都道府県一人旅エッセイ~

「震災遺構と語り部がつなぐもの」”ソロの細道”Vol.3「岩手」~47都道府県一人旅エッセイ~

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ ・・・

子供の頃に読んだ宮沢賢治の一節が、私の「岩手」へのイメージだった。

そして大学の文学部での卒業論文で井上ひさし「吉里吉里人」をテーマに選び、分厚い辞書のような厚さの単行本を数か月持ち歩いて何度も何度も読み返しているうちに、「吉里吉里国=岩手」というイメージも追加された。

初めて岩手を訪れたのは二十歳を前にした大

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「八戸にて酒で繋がる絆」”ソロの細道”Vol.2「青森」~47都道府県一人旅エッセイ~

「八戸にて酒で繋がる絆」”ソロの細道”Vol.2「青森」~47都道府県一人旅エッセイ~

18歳の頃に大学への進学で沖縄から上京してきた私は、ほとんど知識もないままに千葉県柏市に住むことになった。当時は「千葉の渋谷」とテレビで持てはやされ、街には”チーマー”と呼ばれる若者たちが溢れていた。

私はそんな文化が苦手で、柏から最も行きやすい都内のスポットである上野でよく遊ぶようになっていた。
基本的に柏から都内に出るには、当時はJR常磐線しか無いわけで、上野か日暮里で乗り換えないと何処にも

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「氷の国で見た故郷」”ソロの細道”Vol.1「北海道」~47都道府県一人旅エッセイ~

「氷の国で見た故郷」”ソロの細道”Vol.1「北海道」~47都道府県一人旅エッセイ~

南国である沖縄生まれの私にとって、雪は憧れだった。
そして日本の真逆の位置する北海道は、その雄大さもあいまって特別な場所だった。

そんな北海道の地を初めて訪れたのは、高校の修学旅行でのこと。
旅行先を決める生徒たちの投票で、「京都・大阪」を抑えて圧倒的な支持を受けたのは、我々沖縄の高校生にとっての憧れの地だったということも影響しているのかもしれない。

当時の同級生たちのうち、半分以上の生徒にと

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今年の50日間チャレンジ、始めます。”ソロの細道”~47都道府県一人旅エッセイ~

今年の50日間チャレンジ、始めます。”ソロの細道”~47都道府県一人旅エッセイ~

今年もやってきました、一年の残り50日となる節目、11月12日が!

昨年はこの日の翌日から50日間、”いろはエッセイ”ということで連続投稿をしたんですが、これがまあ自己満足しまして。やり切った感というか。

というわけで今年も残り50日で連続投稿をしようと密かに準備をしていたんですね。

そんな中で今回はどういうテーマにしようかと思ってたんですが、せっかくなら旅行記というか紀行文を書きたいなと。

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