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古本屋の丁稚回想記│自分語り

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10年ほど前に、開店休業状態の出版社(家業)を古書店として復活させようとして、一時断念しました。また違う形でチャレンジするために、ここまでの経緯を記録しておこうかと。
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紙の本を活かす芸術│回想記14

うっかり自分語りをはじめちゃって14回目。10年くらい前の話なのですが、メール等で過去を遡ってみると、頭の中の時系列が驚くほど狂ってますね(笑)。 記憶なんて曖昧です。過去にとらわれることが、どんなに無意味かわかります。(そんなことを言って自分語りが続いていて、みっともない……) さて、前回、紙の本の魅力を活かすとすれば「絵本」に違いないと確信を得て、その探求を目指すことにしたという話でした。 絵本というと、子ども向けの書籍という印象が強いかもしれません。または、絵がた

本は器である│回想記13

古書店の丁稚奮闘記として書いている自分語り。きっと……というか、間違いなく、10年くらい前に自分の軸として達成できなかった古本屋としての未練があるのでしょう。これをまとめることによって、次へのステップへと繋げます。そんなわけで13回目。 表題の「本は器である」というのは持論です。 ひょっとしたら、出版に関わる人は、当たり前のように思っているのかもしれません。ここでいう、本は、いわゆる「紙の本」です。 よく「紙の本」と「電子書籍」が比較されることがありますね。紙の本じゃな

再び、迷走が……│回想記12

無駄に長くなってしまった自分語り。12回目となりました。あと3回くらいで終えます。(そんなに続くのか……) 前回は、ラジオ出演をしたところ、放送後に「古本屋をやってみたいからお話ししたい」という旨のお電話をいただいた……という話でした。 ……ということで、早速、お電話くださった女性にお会いしに行くことに。 呼ばれた場所は、甲府駅(山梨県)の北口から徒歩圏内の古民家でした。お話しを伺うと、古民家の活用方法を考えていたところ、ラジオで古本屋のことを聞き、興味を持ったとのこと

古書店の役割とは│回想記11

自分の経歴のようなものをまとめるつもりの自分語り。11回目になります。 前回、和装本の製本等のワークショップを続けていたら、「古書店」の立場でのラジオ出演の依頼が舞い込むという展開になりました。ありがたいー。 YBS山梨放送の「はみだししゃべくりラジオ キックス」という番組で、山田ルイ53世さんと電話でお話しするという感じだったと思います。 生放送ですが、わたしは公園で取材を受ける感じでしたね。(10年くらい前の話です。そして、その公園が、ここ最近、がっつさんとぷっちさ

独自性を探す│回想記10

ここ数日、立て続けに「あなたは何屋さんなの?」という質問に明確に答えられず難儀するという経験をしています。 中途半端にできることがたくさんあるということは、決して良いことではないということを痛感しています。ただ、一方で、実はこれは表現の仕方次第であって、いろいろなことがたくさんできることを強みとして考えるという、打ち出し方の問題かもしれないとも思っています。 そういう前提を踏まえ、自分のルーツを語るということは、多少意味のあることだと信じて続けます、自分語り。今回で10回

恒産なくして恒心なし│回想記9

なかなか完結しない、古書店丁稚奮闘記。過去の活動を振り返る自分語りも9回目となりました。あと数回で終わります。(終わらせます) 前回は、ネット上で売れないので、実店舗での販売をチャレンジしてみたものの、フルスイングで空振りをした話でした。 まぁ、商売の仕方がうまくなかったんですね。 このあたりから、在り方について、少しずつ気にするようになります。それまで、本を右から左へ流す、商社のような感覚が少なからずあったと思います。(商社が悪いというのではなくて、古書店であることの

一生懸命やれば良いというわけじゃない│回想記8

10年くらい前に古書店を運営しようと奮闘したことを、自分の経緯としてまとめることを目的とした自分語り。8回目になりました(長い)。 さて、前回は、ネット古書店として品数を増やしていったけれど、あまりにも反応がないので、実店舗販売の道を検討した……という話でした。 当時、参加していた古書のポータルサイト「スーパー源氏」さんの伝手で、神田神保町の三省堂書店さんで開催される古書市へ出店させていただくことに。 初の対面販売。勝手も分からないまま、入念に準備を進めます。正直、これ

古書店丁稚の迷走記│回想記7

ここ最近、「普段、どんな仕事をされているんですか」と聞かれる機会が多いのですが、明確に答えられなくて、情けないことになっています。要するに、自分がどういう価値提供ができるのか言語化できていないということですね。 一方で、開店休業状態の家業、甲陽書房の復活を目指してチャレンジした古書店の立ち上げの経験については、別のカタチで活かす機会がやってきそうな感覚があります。 1ヵ月くらい前にはじめた、10年くらい前の経験を振り返る「自分語り」シリーズ。自分のルーツをまとめ、今後に活

知識がないと古本屋は務まらない│回想記6

あまり面白い展開になっていかない、自分語り。それでも続けます。 昨日は、古書に関わることで、自分の知らなかった、現役時代の祖父を感じられた……というような話でした。 さて、今回は、ネット古書店としての出品作業について話します。 最初のうちは、自社在庫(版元在庫品と研究資料≒祖父の蒐集した古書)を店頭に並べていきます。古書店なのに、ある意味、仕入れをせずにスタートしているのは、かなり特殊ですね。 大まかな流れとしては…… 古書の清掃 状態確認(外観・刊行年等の確認)

祖父の大きい背中│回想記5

続いてます、自分語り。前回は、祖父や父がやっていた仕事をまったく知らない自分に愕然とした……というような話でした。 今回は、わたし自身はまったく知らなかった「甲陽書房は山梨県では有名なはず」という父の言葉をうけて、山梨県古書籍商業組合へ加盟しにいく……という話です。 まぁ、実際のところ、創業者の祖父は他界してしまいましたし、父も大病を患い、開店休業状態ですので、有名“だった”という感じではあります。 ところで、甲陽書房の名前の由来ですが…… ……と、父の言葉を借りると

親の仕事を知っているか│回想記4

続きます、自分語り。10年前にやっていたことを振り返っているだけですが。それでも、自分が何を大事にしてきたかわかるよう気がするので、たまにはオススメです。公開する意味があるかどうかは謎ですが。 さて、今回は、インターネット上で古書店をはじめた際のことを書きます。 いまのように、無料でネットショップを開けるというような便利なサービスはありませんでした。それに、わたし自身も工学部出身とはいえ、Webにそんなに詳しいわけではない状態だったんですね。 学生時代はみんながパソコン

古書部の役割│回想記3

自分語りが続きます。オジサンになったということですかね……。 昨日は「古本」と「古書」の違いについて書きまして、まずは「古書」を扱っていく方針にしたという話でした。 祖父の立ち上げた出版社の名前は「甲陽書房」ですので、単純に「甲陽書房古書部」という屋号……というか、部署名というか……みたいな名称といたしました。 ところで、開店休業状態の出版社を復興させたい……ということだけど、そもそも祖父の跡を継いだ父が目の前にいるんだから、父から編集のことを学べば良いじゃん……ってい

古本ではなく古書を扱う│回想記2

昨日から突如として始めた、自分語り。前触れがなかったので、いまから古書店を始めるかのように思われた方も多かったようですが、これは10年前の話です。 ただ、こうやって振り返ってみるのも、自分の在り方が見直せて、とても良い機会となっています。たぶん、しばらくの期間続きますが、お付き合いください。 なお、まったくの未経験ながら、出版社を立て直すという暴挙に出た経緯については、一応、去年に固定記事として掲載しています。よかったら、お目通しいただければと存じます。(恥ずかしい……)

かつての行動力を呼び覚ます│回想記1

連続更新100回を超えたこの日記ですが。自分でも分かっているんです、内容がおもしろくなくなっていることを。 その理由も、具体的に新しい行動を起こしていないからに違いないのです。もうただそれだけ。わかっているなら改善すれば良いんですが。 言い訳したらオシマイだと理解していますが、あとおそらく2週間程度だけ。自分でコントロールできないことが目の前に横たわっているのです。 ……で。 行動力が弱いのは、性格の問題かしら……と思ったのですが、よくよく考えたら、昔はコミュ障の割に