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独自性を探す│回想記10

ここ数日、立て続けに「あなたは何屋さんなの?」という質問に明確に答えられず難儀するという経験をしています。

中途半端にできることがたくさんあるということは、決して良いことではないということを痛感しています。ただ、一方で、実はこれは表現の仕方次第であって、いろいろなことがたくさんできることを強みとして考えるという、打ち出し方の問題かもしれないとも思っています。

そういう前提を踏まえ、自分のルーツを語るということは、多少意味のあることだと信じて続けます、自分語り。今回で10回目となります。

さて、前回は、「うまくやろう」という気持ちが先行してしまって、かえってうまくいかなかった……というような話でした。

古書店としての在り方が、その時点では、商品を右から左へ流すという立ち位置で捉えてしまっていた嫌いがあり、誰がやっても同じ……という感覚がありましたね。

差別化というとちょっと大げさですが、その店ならではの魅力のようなものが、あまり見出だせないということですね。あえて言うなら、版元が販売している……ということですが、それは購入者から見てのメリットに直結しづらい状況ではありました。

それで、店として……というより、わたしがやることについて、何か他と違うことはなんだろうか……という考え方に変わったんですね。

そこで思い付いたというか、気がついたのは、自分が理系出身ということです。(結構、安直……)

本そのものの内容や歴史より、どちらかというと、本のツクリの方に関心が向いていた……ということに気がついたということです。具体的には本を整理しているなかで、戦前、戦後あたりで紙質が違うことに気づいたんですね。それは結局、戦争で資材が不足して、戦争直後あたりの紙質が悪かったということなんだと思います。

それで、「製本」の方に興味関心を移し、古書店をやりつつ、自分自身で本を作れるようになる……という方向へと変化していきます。これも特に習いに行くわけでもなく、独学で進めました。

祖父がつくった本の中に、豆本よりちょっと大きいサイズ(A7サイズ≒はがきの半分)の大豆本だいずぼんというものがあり、それを復刻しようと考え始めました。これを和装本にしたら、かわいいなと。

みちかた大豆本

どういう経緯だったか失念してしまいましたが、和装本を製本できる……ということで、山梨県甲府市にある雑貨店「諸国万物雑貨店オリゾンチス」さんからワークショップをしてみないか……とお声がけいただきました。

当時のブログ記事が残っていました。(ありがたい……感涙)

あ、偶然ですが、開催したのが、ちょうど9年前の3月10日ですね……。実は、お引き受けしたものの、ワークショップの経験はそれまでになく、人生初体験だったんですね。やれるかわからなかったのですが、必死でした(笑)。

当時の試作品の様子……

これをキッカケに、和装本づくりのワークショップをする……ということを続けていました。

そんなことをしていたら、「古書店」という立場でのラジオ出演の依頼が舞い込みます。その話は次回に。

※ 冒頭の写真は、A4サイズの和装本を作っている、わたしの様子です。誰かに撮ってもらっているんじゃなくて、まさかのセルフタイマー(笑)。

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