恒産なくして恒心なし│回想記9
なかなか完結しない、古書店丁稚奮闘記。過去の活動を振り返る自分語りも9回目となりました。あと数回で終わります。(終わらせます)
前回は、ネット上で売れないので、実店舗での販売をチャレンジしてみたものの、フルスイングで空振りをした話でした。
まぁ、商売の仕方がうまくなかったんですね。
このあたりから、在り方について、少しずつ気にするようになります。それまで、本を右から左へ流す、商社のような感覚が少なからずあったと思います。(商社が悪いというのではなくて、古書店であることの使命感みたいなものが見出だせない感じ)
とはいえ、やっぱりすぐには使命のようなものが見つかるわけでもなく、「うまくやろう」という気持ちが先行してしまって、かえってうまくいかないということを繰り返します。
たとえば……。
ネット古書店をしていると、在庫をしまっておく「場所」が必要になります。この場所は、そのままだと、ある意味、本が寝ている(置いてある)だけのために存在しているようなものです。
なので、考え方によって、本が置かれているだけで家賃が発生しているようなもの。本は神様です……みたいな家に育ったとは言え、モノに家賃がかかっている……と思うと、ここは活用の余地があるのではと思ったんですね。
それで、安直ながら思いついたのは、倉庫をカフェ化すること。在庫を置いてあるのではなく、見てもらえるようにすれば良いんじゃないかと。
親父も珈琲が好きだし、神田神保町の珈琲を熟知している。そして、なにより、祖父の名前が「計記」さんなので、ダジャレで「計記さん家のケーキ」というのを出してみたかったんですね。
そんなわけで、「ブックカフェ講座」というのを見つけて、受講してみることに。
そこで教わったのは、「ネット古本屋をやっていると、ぜったい倉庫が必要になり、そこはそのままだとただの倉庫。そこを活用するのがブックカフェです」みたいなこと。
ん?
結局、何を教わりに行ったのかよくわからず、かつ、やっぱり資金も必要ということで(当たり前だけど、予想以上に必要だと知る)、いったん断念。
その他、委託販売をしてみようと、本好きの人を頼ってみたり、カフェに置いてもらったり……というようなこともやってみました。が、思うように本を集めることができず、これも軌道に乗せることができませんでした……。うぅ、力不足。
まぁ、正直、焦ってしまって、自分が何をやっているのか、よくわからなくなってきた……という感じでしたね。「恒産なくして恒心なし」という言葉が脳裏にチラツキまくっていた感じ。
そういう状況も続き、どういう方向性が良いのか、あらためて見つめ直すことにしたのでした。
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