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愛の証
少しずつ、暖かくなってきました。
梅が咲き、桜が待ち遠しくなってきましたね。
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前回、「そして、ゆりは咲く」では、我が家に伝わる
ご先祖さまの不思議なお話を書きました。
今回も別の、不思議なお話を、ご紹介したいと思います。
私をとても可愛がってくれた祖母には、お姉さんがいました。
しっかり者で、智恵さんといいました。
智恵さんには、とても優しいご主人がいました。
![](https://assets.st-note.com/img/1678344968127-xPiVjRdVQm.jpg?width=800)
ご主人は、第二次世界大戦で戦地へ行き、命だけは助かって
帰国することはできましたが、ひどく体を悪くして、担架のようなものに
乗せられて帰ってきたそうです。
帰宅後も、療養生活を送ることになりました。
しかし、だんだん体が衰弱し、ついに入院することになりました。
ある日、付き添ってくれている智恵さんに
ご主人は優しい眼差しでこう言いました。
「智恵ちゃん。いつもありがとう。」
![](https://assets.st-note.com/img/1678346202292-9MNzOn9QBv.jpg)
それからご主人は、智恵さんの顔を、しばらくじっと見つめていました。
そして…。
「智恵ちゃんの鼻に、何か…。 黒いものが、ついているね。」
![](https://assets.st-note.com/img/1678358231129-OqfRrbRYwo.jpg)
「心配しなくていいよ。僕がとってあげるからね。」
それからしばらくして…。
ご主人は智恵さんを残して、旅立って行かれました。
![](https://assets.st-note.com/img/1678346253276-B9ybz6iQTO.jpg)
当時智恵さんは、鼻の病気にかかっていました。
おそらく、副鼻腔炎だったと思われます。
当時は内視鏡手術もありませんので、
智恵さんは悩んでいました。
でもそのことを、余命いくばくもないご主人には
話してはいませんでした。
しかし、死の近いご主人の目には、
副鼻腔炎が黒い形となって、見えていたのでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1678358269239-IgJT7PNih9.jpg)
ご主人が亡くなり…。
悲しみに打ちひしがれていた智恵さんでしたが、
気がついた時には、不思議なことに
鼻の症状は、すっかりよくなっていました。
その時、ご主人の優しい眼差しと、あの言葉を思い出したそうです。
「智恵ちゃん。いつもありがとう。」
「僕がとってあげるからね。」
![](https://assets.st-note.com/img/1678346327803-NB09cCmlgS.jpg?width=800)
愛する人が、健やかに生きてゆけるように…。
愛する人が、美しいままで過ごせるように…。
ご主人は旅立つ時
智恵さんの苦しみも一緒に、もって行ってくれたのかもしれません…。
それはまるで、ご主人の
深い愛の証だったかのように…。
![](https://assets.st-note.com/img/1678347965825-rO12oBrRVz.jpg?width=800)
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この春は花粉が多いと聞きました。皆さま、ご自愛くださいませ。
💗感謝💗 天海瑠璃
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