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記事一覧
人生の点~独りよがりレビュー「ある行旅死亡人の物語」
行旅死亡人という言葉をご存じだろうか。
「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律に規定されていて、旅行中に亡くなったり、本人の名前や住所が分からなかったりして、遺体の引き取り手がいない人を指す言葉である。
私がこの言葉を知ったのは、数年前に読んだとあるネット記事。
金庫に現金3400万円、そして右手の指を失って、孤独死。身元不明。
休日の朝、ベッドの中で記事のタイトルを見て、背中がひやりとした
「ハンチバック」#独りよがりレビュー
電子書籍はスマホやタブレットさえあればどこでも読めて、かさばらない。コピペやスクショでメモして、データで残しておくことも可能。
でも、やっぱり紙の本がいいと思う。
書店で背表紙を見ながら選ぶこと、手にした喜び、紙の匂いや重み、ページをめくる感触や音、旅先で買い集めたしおり、ページの厚みが少なくなる名残惜しさ。どれも、紙の本でなければ味わえない。
保存という意味でも、紙の本は強い。
図書館、博
私の不安に寄り添ってくれた全ての人に感謝したくなった映画「劇場版『TOKYO MER~走る救命救急室~」
体調が悪くなるのは、決まって夜だ。
妊娠3か月のときは、夜中に突然激しい頭痛に見舞われた。
ズキズキズキと、脈に合わせて痛みが走る。
動くことも、目を開けることもできない激しい痛み。妊娠中のため、安易に頭痛薬を飲むこともできない。ソファにうずくまって、目をぎゅっとつむって、真っ暗な部屋で、つわりの吐き気と痛みの拍動をやりすごしていた。
それはそれは心細い夜だった。5分が30分、1時間にも感じられる
【独りよがりレビュー】月曜10時という絶妙な時間設定の勝利 #アバランチ
前評判が良すぎるものって、意外とがっかりしがちだけど、これはおもしろかった。
月曜10時の新ドラマ「アバランチ」
アバランチって「雪崩」って意味なんだって。ほうほう。
謎の集団「アバランチ」が、巨悪に挑むドラマ。
公式サイトのURLからして、謎めいている。
https://www.ktv.jp/A/
ディレクトリ名が、ただ一文字「A」。かっこいい。
ドラマの1話とか映画の始まって30分
【独りよがりレビュー】総理の夫、のレビューだけど私の夫の話
公開初日に見に行った。
「総理の夫」
政治家として、理想の日本を作ろうと努力する妻、相馬凛子(中谷美紀)を陰で支え続ける夫、相馬日和(田中圭)の物語。
大企業、相馬グループの御曹司だけど、本人は鳥類の研究に没頭し、政界にも財界にも興味のない日和は、ひたすら凛子を愛し、励まし、妻の幸せを願い続ける人だ。
彼は、自分に鳥の研究以外、何の取柄もないことを自覚している。だけど、それについて卑屈になった
【独りよがりレビュー】性差の日本史~まずは歴史を知ることから始める
もう数十年前。
学生時代の出席名簿は、男子、女子の順だった。家庭科は女子だけ、技術科は男子だけだった。
祖父には、二人姉妹の長女の私に「お前が男だったら」と事あるごとに言われた。その度、心の中で「女に生まれてごめん」と謝罪し、「なんで女じゃダメなんだ」と反発した。
男女差が少ないと言われる仕事に就いたが、採用面接の際に「結婚しても働き続けられるか。家事と育児を両立できるか」と問われた。あとで聞い
【独りよがりレビュー】成熟脳/黒川伊保子~脳の本番は56歳ってホント?
「脳の本番は56歳から始まる」と聞いて、あなたは何を思うのだろう。
私は「ほんとかよ~」と半信半疑だった。
だって、年々、記憶力がどんどん怪しくなっていて、昨日の夕飯も、3分前の夫からの業務連絡も覚えていられないんだもの。
目は老眼で見えないし、最近は耳も少し遠くなった気がする。
これで、脳の本番が56歳からと言われても、すぐに「そうか! 私もまだまだだな、やったるで!」とはなれない。
「脳の
こんな今だから、料理がしたくなる本を #海外文学のススメ
最近また読み返している本がある。
アマンダの恋のお料理ノート(集英社文庫)/アマンダ・ヘッサー著 渡辺葉訳
料理にまつわるエッセイとそのレシピが書かれている本。
なのに、実は、この本に掲載されている料理のどれも作ったことがない。日本と計量の単位が違うし、日本では手に入らない食材が多くて、何をどう代用すればうまく作れるかが分からないから。
(クレーム・フレッシュって何? ミルク875ccってどう
【独りよがりレビュー】「Day to Day」 は、私たちがここを生き抜いた記録になる
今、読んでいる本「Day to Day」が面白い。
2020年の春から夏にかけての緊急事態宣言下に、人気作家100人が、1日1作品ずつ、日替わりでコロナにまつわる短編がネット上に公開されていたらしい。
それをまとめた本が、BOOKOFFで売られていたので買ってみた。
テーマは、もちろん「コロナ禍を生きる人」の100作品。
十人十色、いや百人百色。恋愛、ミステリー、SF、エッセイ。そのジャンル
【独りよがりレビュー】あのときキスしておけば
何かを作って、世の中に公開している人は、きっと誰もが思うだろう。
「私の作品は、人々に受け入れられているか?」
noteの街の隅っこで、細々と文章を綴っているだけの私のような人間でもそう思うのだから、本気で、自分の身を削り、命を削って作品を生み出すプロならば、なおさらだろう。
自分の作品は、自分の分身。
心の奥底に隠された本心をさらけだすことは、怖くてできない。でも、自分の心に沸いたこの感
【独りよがりレビュー】方向音痴って、なおるんですか?
方向音痴であることは、昔から自覚している。
左右をよく間違えるし、東西南北の位置関係も分かっていない。
知らない土地では迷うことが前提。何度もGoogleストリートビューを確認する。迷う前提で時間設定をする。
最悪、どうしても迷ってたどり着けないときは「タクシーに乗ればいい」と言い聞かせて、不安を和らげるようにしている。
初めて一人で東京出張したときのこと。
JR有楽町駅から地下鉄銀座線に乗り換