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エッセイ・思い出

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#社会

「生産性」というやっすい言葉

「生産性」というやっすい言葉

「生産性」という言葉は馴染みがある。
少なくともその概念自体に直接触れていなくても、社会が示す指標みたいなものだと受け止めていた。ほとんど無自覚に。だから私は20代、「生産性がない」「創造性がない」自分に対して後ろめたさを持っていた。それらは何も出産の有無の問題だけではなくて、社会に対して何も生み出せていない、寄与していないという意味で。どこかで役立たず、無価値だと思っていた。振り返ると胸が痛く、

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選挙3 日記

選挙3 日記

静かで住みやすそうな住宅街の中を迷う。金曜日の夕方の雰囲気は好き。きれいな文字の羅列の地名がニュータウンであることを示している。地元の人が「あの辺はなんか暗いんだよね」と言っていた街に出向いた。もともと自然が濃い地域は、コンクリートで埋められていても夜の闇や緑の匂いが濃い。例えば東京だと西の方、武蔵野あたりに感じる。暑すぎてマスクをずらして一呼吸すると、緑と水分の匂いがした。閑静な住宅街なのに森の

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選挙2

選挙2

なんかもう全部どうでもよくなる時がある。
昨年の今頃、一時のオリンピックのために公園の木が伐採されるのが嫌で一晩でZINEをつくった。今年は再開発のために神宮外苑の樹木が千本近く切られるらしい。ビル建設のために排除されるのだろう。加えて、電力が足りないから節電しろと言う。昨年はオリンピックがあったからだろう、そんなキャンペーンはなかったはずだ。

気づいたら生活や将来が金で語られて、金に追われて

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