選挙3 日記
静かで住みやすそうな住宅街の中を迷う。金曜日の夕方の雰囲気は好き。きれいな文字の羅列の地名がニュータウンであることを示している。地元の人が「あの辺はなんか暗いんだよね」と言っていた街に出向いた。もともと自然が濃い地域は、コンクリートで埋められていても夜の闇や緑の匂いが濃い。例えば東京だと西の方、武蔵野あたりに感じる。暑すぎてマスクをずらして一呼吸すると、緑と水分の匂いがした。閑静な住宅街なのに森のような香り。こんなにいい匂いがしていたのか、と驚きと少しもったいない気持ちになる。この時期の夕焼けはきれい。生垣や花壇の花は鮮やかになり浮かび上がってくるようで、ギョッとすることもある。
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自販機の前で子連れの家族が、あれ買う、やっぱりこれ買うと、賑やかにやり取りしていた。その向こうの夕焼けが真っ赤だったので家族を写さないように写メる。住民や行き交う人の多い場所で写真を撮ると「何か撮ってる」と好奇な視線に出くわすが、すぐに無関心に変わる。人の目を気にする私は、知り合いに1%でも出くわそうな場所ではなかなか写真を撮れない。
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迷ったが無事に役場に行くと、期日前投票に向かう家族が何組かいた。少し感動。前まで住んでいた地域は、期日前投票に行ってもほとんど人がいなかった。人口も違うかもしれないが、意外と今回の選挙はみんなの関心が向いているのか?物価高だし。この辺りは文京地区であることも関係しているのかもしれない。政治に関心を向けることは誰にでもできるが、親、家庭がどのように選挙はじめ政治や政権を考えているかの影響は良くも悪くも大きいと思う。
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「開封したら無効です」と書かれた不在者投票用紙一式を係の人に見せると別室を案内された。VIP待遇みたいだな〜と思った。今年は共産党にした。これまでは社民党に投票することが多かったが、山添拓さんを応援する気持ちと、とにかく今の政権とは真逆の方針を掲げる政党に投票したい気持ちがある。投票は打算的で良い、という誰かのツイートを見て本当そうだなと思う。100%この政党が良い、って正直ない。というかそもそも、政治なんかなくても良いと思っている。日本は住みやすいので好きだがそれ以上でもそれ以下でもない。もしかしてこれってアナーキーの思想?しかし無関心になると、ズルい政治家がのさばって、差別や搾取の構造化を図り実生活にマイナスの影響が出るのが現実なので、当面「貴様らの好きなようにはさせんぞ」という意思表示をすると思う。それが自分にとっての選挙なのかもしれない。リアル。ただ願わくば、本来、政治家であるならば理想や夢は大きく持ってほしいし、マスコミ記者であるならばジャーナリズム精神はあって欲しいなと思う。まあ拝金主義の世の中、もうほとんど、政治家すらお雇いでその辺の精神性なんてないのだろうなとは思うが。
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あと選挙の話をタブー視するのもよくわからない。それって組織票があることを暗に裏付けるのではないか。政治の話をして関係に亀裂が入るならそれまでの関係、以上で終わりな気がする。例えば友人が自民党に投票したらそりゃがっかりはするだろうが、当人の自由なので全然良い。だいたい意見や思想なんか合わないのが普通というか、だって戦後以降、あえて行き違いがあるような構造下でずっとここまできてしまっている。
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ものの1分で投票用紙に記入、署名して封をする。不在者投票は初めてなので、小学校の社会科体験した気分。封筒を提出すると係の人は「では、こちらから〇市に届けますね」ときちんと対応してくれた。市井の人々は素朴で礼儀正しい人がほとんど。貧しくなっても日本人てすごいなと純粋に思う。だからこそこれ以上ヤバい世の中になってほしくない。
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