前回は,環準同型$${f \colon A \to B}$$を足場にして,剰余類の全体$${A/\ker f}$$に環構造を定めました.これをより広げていくことが当面の目標です.
補題(イデアルが定める同値関係) $${A}$$を環,$${I}$$をイデアルとする.次で定義される$${A}$$の関係$${\sim}$$は同値関係である.
$$
x \sim y \iff x-y \in I.
$$
以前「巡回群の最小性」で,群$${G}$$の要素$${a}$$が生成する巡回部分群$${\langle a \rangle}$$を「$${a}$$を含む最小の部分群」と特徴づけ,同じ論法で
部分集合$${S}$$を包む最小の部分群
を「$${S}$$が生成する部分群」と定義し,$${\langle S \rangle}$$と表しました.この定義は理論的には扱いやすい面もあるものの,やはり「それがどんな集合なのか」を記述しておかないと困ったりします.
https://yo
前回まではイデアルや部分環など,環の特徴的な部分集合についてお話ししてきました.今回は少し目線を変えてみたいと思います.
例(整数に定まる奇妙な演算)整数の全体$${Z}$$に,加法$${\oplus}$$および乗法$${\otimes}$$を
$$
a\oplus b := a+b+1,~~~a \otimes b := ab + a + b
$$
で定めると,これらの演算によって$${Z}$$は可換環となる.
https://youtu.be/RXTQjuIXS