Rock'n'文学

猫ときどき小説書き。エッセイと翻訳。 たまにユル硬ブログ:https://rocknb…

Rock'n'文学

猫ときどき小説書き。エッセイと翻訳。 たまにユル硬ブログ:https://rocknbungaku.hatenablog.com/ 第36回世田谷文学賞エッセイ部門1席。作品はこちらから。http://setabun.or.jp/event/302/

最近の記事

<書評>「蜜のように甘く」「幸いなるハリー」(イーディス・パールマン著)古屋美登里訳 ― 第6回翻訳者のための書評講座 尾張惠子

「翻訳者のための書評講座」は書評家豊﨑由美さんに翻訳者たちが教えを請う講座。昨日はその第6回目、わたしは自由課題で臨みました。提出した書評は概ね好評でしたがいくつかご指摘いただいた箇所もありました。主なご指摘は: 1.熟年の希望の星といって「でもお薦めの理由はそこじゃない。」と書き出しているのに、最後にも歳をとることは無限の可能性となるのは矛盾があるのでは。 2.「~もの」の表現が続くところは変えたほうがいい。 3.短篇集の表題になっている作品についてまったく触れていないのは

    • 2月の俳句 ー 苔子

      いちご俳句会2月定例句会に参加しました。 以前我が家にいた猫はエリカの鉢植えを買ってくるやいなや、即座に花をぜんぶこそぎおとしてしまう習性がありました。エリカの花を見るたびにその猫を思い出します。 近所に様々な品種の梅が見られる公園があり季節になると出かけて行くのですが、最後は人の多さに疲れてしまうのです。

      • 1月の俳句 ー 苔子

        いちご俳句会1月例会に投句させていただきました。 2回目の例会参加、俳句の難しさを味わっております。 強烈に詠みたい風景があっても、限られた字数でそれを表現する技術がまだまだ足りてませんなぁ。 **** 画像アップしてから誤字に気づきました。 x片寄せ → ◎肩寄せ でも投句しちゃったのでこのままで。(恥)

        • 句会初参加

          10月某日、句会というものに初めて参加させていただきました。初体験というのはなんにしても大変緊張するものでございますね。 (兼題) 「蓑虫」「とろろ」 上記の兼題を含む 五句 ということでわたくしは次の5句を投句いたしました。時間がたって見直してみて、せっかくだから初体験の記念にあげておきます。 いちご俳句会主催のまめさま、参加されたみなさま、ありがとうございました。

        <書評>「蜜のように甘く」「幸いなるハリー」(イーディス・パールマン著)古屋美登里訳 ― 第6回翻訳者のための書評講座 尾張惠子

        マガジン

        • 書評講座 Vol. 6
          5本
        • 書評講座 Vol. 5
          5本
        • 書評講座 Vol. 4
          8本

        記事

          理想の日曜日(改稿) 万庭苔子

          **先日アップした古賀コン3(テーマは「完璧な日曜日」)コンテストの結果が出ましたので、参加作品を勝手に1時間の制限をもうけて改稿してみました。 *************************  冷蔵庫はからっぽだった。非常時のために買い置いたはずの冷凍ピザもない。ちくしょう、この前食っちまっていたか。  三日の予定で旧東独地域へ鉄道の旅に出ていたのだが、列車のキャンセルや遅延、乗り継ぎ便の大混乱で、帰宅したのは昨夜深夜になってからだった。さすが悪名高きドイチェバーン

          理想の日曜日(改稿) 万庭苔子

          「理想の日曜日」      万庭苔子

           冷蔵庫はからっぽだった。非常時のために買い置いたはずの冷凍ピザもない。ちくしょう、この前食っちまっていたか。  三日の予定で旧東独地域へ鉄道の旅に出ていたのだが、列車のキャンセルや遅延、乗り継ぎ便の大混乱で、帰宅したのは昨夜深夜になってからだった。さすが悪名高きドイチェバーン、噂に違わぬ劣悪ぶりを実際に体験できたのは得がたいことかもしれないが、とりあえずの目下の問題は今日の飯をどうするかである。なにせ今日は日曜日だ。スーパーはもちろん、ほとんどの商店は閉まっている。開いて

          「理想の日曜日」      万庭苔子

          ドカ雪炒り豆蟹食べの旅

           一時間近くも停まったままの車内で、豪華だね、と母はうれしそうに峠の釜めしを食べている。元の予定はすっかり忘れてしまったようだ。寺泊で蟹を食べるという母の希望を叶える旅だったのに。  福島で一人暮らしの母とは朝早く大宮駅で待ち合わせた。わたしたち夫婦は東京に住んでいる。長岡までは新幹線で一時間ちょっと、そこからレンタカーで寺泊へ行き昼を食べその後は月岡温泉に一泊の予定だった。  大宮の空は関東の冬らしくからっと晴れ渡っていた。定刻に大宮を出た新幹線は、しかしそれから徐々に速度

          ドカ雪炒り豆蟹食べの旅

          <書評>ものまね鳥を殺すのは(ハーパー・リー著)上岡伸雄訳 ― 第5回翻訳者のための書評講座課題 尾張惠子

          書評家の豊﨑由美さんを講師に翻訳者たちが書評を学ぶ講座に参加させていただきました。この講座で豊﨑さんから「なりきり書評」というものを教えていただき、かねてよりやってみたいと思っていましたところ、第5回の課題図書の一冊に本書が挙がっていて、あ、これでやるしかないと思い立ったのです。カポーティ大好きで関連する本や映画を漁ってきた身、これでやらずに何でやる。まあ一番のトリガーになったのは、映画『カポーティ・冷血』であります。(好きすぎてDVDで何度も繰り返し観ている。)とはいえ、旧

          <書評>ものまね鳥を殺すのは(ハーパー・リー著)上岡伸雄訳 ― 第5回翻訳者のための書評講座課題 尾張惠子

          お告げ           万庭苔子

          お告げ           万庭苔子

          うたが生まれる      万庭苔子

           猫というのはじつに規則正しい生き物だ。決まり事をとても大事にする。毎朝決まった時間に人間を起こす、時間ごとに決まった場所で眠る、人が新聞を広げたら乗る、箱があれば入る、ソファに座る人あれば横に飛び乗りブラッシングを所望する。  はなは人が洗面所に行くたびにケツぽんをせがんだ。ケツぽんというのは尻をポンポン叩くことで、正確には背側の尻尾の付け根あたりのことである。要求がかなえられるまでしつこくアピールを繰り返す。洗面台の上に乗り、ごちんごちんとおでこをぶつけ体をこすりつけては

          うたが生まれる      万庭苔子

          同人誌『棕櫚10』

          2023年10月末発売のマルカフェ文藝社『棕櫚10』に、万庭苔子の作品を掲載いただいております。10(TEN)のキーワードに合わせて『十子さん』という作品で、素晴らしい書き手のみなさん、アーティストの方々とご一緒させていただいております。はっきりいってすごいです、震えます。 雰囲気だけでも、ぜひ動画でごらんください。 https://x.com/malucafe_bungei/status/1704148516161888275?s=20 くわしくはこちら。↓ 棕櫚10特

          同人誌『棕櫚10』

          虫草 万庭苔子

           ノックの音がして、ぼちぼち行きましょうかという声がした。はいと返して立ち上がる。いいぐあいに雨は上がったようですが寒いです、と続けて言うのが聞こえた。薄手のダウンジャケットの上からレインウェアを重ね着して、さっき借りた長靴を履きドアを開けると、暗闇のなかに丸い眼鏡がきらりと光った。ぶか、ぶか、と間抜けな音をたててバンガロー前の階段を降りていくと、長靴のサイズ大丈夫ですか、と顎のところにポワポワとヤギみたいな髭を生やしたガイドが言う。はぁたぶん、とわたしは答える。足を踏み出す

          虫草 万庭苔子

          <書評>あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集(西崎憲・編)

          つい先日「第4回翻訳者のための書評講座」というものに参加させていただきました。これまで書評など書いたことはなく何をどう書いたらいいものやら頭がぐるぐるになりつつ提出した初書評でしたが、講師の豊崎由美さん始め参加者のみなさまから合評いただき大変勉強になりました。以下、講評を受けて書き直したほうの書評、いただいたコメントとわたしの意図、提出した書評の順で掲載します。 *修正後*  <七月の日曜の朝は明るく、わたしはノッティングヒルの家主と言い争いをしている。一か月分の下宿代を前

          <書評>あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集(西崎憲・編)

          アンソロジー「クジラ、コオロギ、人間以外」

          人間以外の存在が歌う歌に関する小説・詩歌を集めたノンヒューマン歌唱アンソロジー「クジラ、コオロギ、人間以外」に、わたくしも参加させていただきました。タイトルは「風と太陽と神」万庭苔子という名義で掲載いただいております。もともとは10話からなる連作短篇の最後の一篇なのですが、アンソロジーのテーマがあまりにドンピシャだったので応募しました。字数の規定がゆるやかながらあったのですが、大幅に超過したものを了承いただき感謝いたしております。 全84作品、壮観です。5月に開催された東京文

          アンソロジー「クジラ、コオロギ、人間以外」

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          「勤労奉仕法」 花豆

          「勤労奉仕法」 花豆

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          新刊のお知らせ「汀(みぎわ)ホテル」

          三冊目を出していただきました。 これもやはり震災の年のお話です。家族旅行で訪れたクロアチアで、一人だけ見知らぬ町のホテルで延泊することになった主人公に訪れるちょっと不思議な一夜の物語。 https://note.com/mayonakanoradio/n/nff41fc7014a8

          新刊のお知らせ「汀(みぎわ)ホテル」