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ショートステイ

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クリエイター・リンク集「バスを待つ間に触れられるものを探しています」
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#コラム

坂道

話が長いのが苦手だ。というか多分、つまらないから早く話を終わらせたいのだと思う。間延びしている会話はじれったくて仕方がない。良かれ、と思って話を広げられるのも嫌だ。リズムよく必要なことを話して、次のステップを踏みたい。長い時間を共に過ごせば、みたいなことで生まれる一体感みたいなものは幻想だと思っている。余白は必要だけれど、それは誰かと共有しなくても良い。やりたいことは沢山あるのだ。人が集ったという

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コップの水

人は距離感を間違える生き物だ。満員電車は当たり前で、その空間の苦痛は我慢すべきものとして理解されている。孤独な人の痛みを知らないで土足で踏み荒らしていく人はとても多い。一人一人の身体の距離感や心の距離感はなかなか尊重されない。自分だけの場所をゆっくりゆっくり耕していきたいのに、それさえ許されないことばかりだ。果たして人は、群れることで失うものの行方を目で追っているだろうか。手放してきたことたちの重

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ちくりしない

かすかななにか。これといっていいたいこともない。しょうたいふめいのものとはらはらとおちるもの。ほうっておいてあふれるもの。しろいしろいぴんく。まろやかなさむらい。ささいなやさしさ。ひとりもいいよ。あなたのふともも。ねこのおなか。いぬのおしり。ゆれるいなほ。

折り畳み傘

自分勝手は周りのものもいっさいがっさい消費されていく気がしています。ひとりよがりで良かったことってあんまりない、っていうか、ほぼない。自分の時間軸に人を巻き込んで得られる心地よさってあるんですかね。後味の悪さが変な色に馴染んでいくような気がします。大変なときこそ、じゃないですか。嘆いたら、その分ちゃんと声が渇いていく。変化していく。何をしていなくても変化していくから、何かしなきゃ。そうやっていつの

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ロマンスの現実逃避24

ロマンスの現実逃避24

はじめて幸せが怖いとおもった

半月の夜

2人の間では満月のように
満ちていて
欠けたところは何もなかった

ううん
欠けていたり穴が開いていたり
不完全だったのかもしれないけど
見えなかっただけで
全部がおだやかな光で包まれていた

何を話していても
ことばを通り越して
心の奥の奥の奥に
溶けて溢れていった
それでも
決して過激ではなくて
音もなければにおいも
形さえもなくて
穏やかさだけが

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いつものメンバー

いつものメンバー

電車通勤をしていると、“いつものメンバー”ができあがる。同じ時刻の同じ車両に乗り合わせる。車内でお互いが立つ場所もだいたい同じ。よくある話。

それぞれに事情らしきものがきっとあって。「その急行なら出社にギリギリ間に合う」、「そのドアから降りるとホームにすぐ階段がある」、などなど。

“いつものメンバー”は知らない人たち。だから確かめたわけではないけれど、多分そんな理由じゃないかな。わかっているよ

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夏野菜

自動的でありながらそれは大きな流れの中にあって、その流れは絶えず止まることなく流れ続ける。なんのことか分かりゃーせんですが、そういうことが分かるだけで楽になることもあります。日々つきまとう自分が嫌になったとしてもすでにその自分は更新されているわけで、感情だけが必死に追いかけてくるだけなんすね。曖昧なことばかりで、それが心地よい余韻になるのか、先の見えない不安になるのか、そしてそれすら大きな流れの中

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