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スイッチON。人生いつでもトップギア❗

今、思い出せば、
スイッチが入ったのはあの瞬間だな、と思う。
オヤジ様が単身赴任先で突然亡くなって、

何がなんだかわからないまま、
私たち血族と、元居た会社関係者は愛知県、
親戚は北海道からわらわらと集まって、誰が指揮してるかわからないまま、始まったお葬式。

なんの見栄の張り合いか、坊さんが十人もいてお経の大合唱の中、

こそこそと寄ってきた会社の総務のおじさん。

『お母さん、何か言ってなかった?』

ヒソヒソ声で私に聞いてきた。


最初は、このオジサンの尋ねた意図が理解出来なかったが、時間差で納得した。


なるほどね。

つまり、オヤジ様は本当ならば会社に行っている時間で、

会社で倒れたら、本来ならば『労災』なわけだ。


『たまたま』母親が来たので休みを取って、温泉でも出かけるところに倒れたらしい。


そのような話を母親が言っていたか、私にリサーチしてきたわけだ。

仕方ない、オジサンも仕事だ。


『よもや、君たち、そんな訴えしないよね?』

とオジサンは言いたかったのだろう。


一応、次期社長の突然死。

イメージは明らかに良くない。

会社としては、ムダに盛大な社葬にして、一件落着にしたかったのかもしれない。


巨大企業の、いち社員なんて、所詮、戦国武将に仕える家臣のよう。

やることはやってやったんだから、歯向かうなよ、と。


私も母親も、そんな知恵も、精神的ゆとりはなかった。

それでも、ごねればいくらでも『労災』になるだろう。


全国から駆けつける親類縁者と、元居た会社の部下と上司のお相手だけで心身は磨り減りまくって、未だに記憶が途切れ途切れである。


この緊急時に、やれ、『団子の作り方が違う』、『うちの宗派ではあんなことしない』、と空気を読めない(読まない)田舎者丸出しに喚き散らかす親戚のおばちゃん達。


団子なんか丸けりゃえ〜んじゃい!

社葬につき、丸投げなんじゃ〜い!


やることは、まだまだ次々とある。

葬式が終わったら各手続き、特に銀行口座は、全ては財産相続扱いとなるためお金も下ろせやしない。

そして非情にも、とっととこの一軒家の社宅から出て行かなくてはならないのだ。


よくもまあ溜めた書類の山。

三年も居ればモノは増え、これをとっとと片付けて、次に来る役員に譲らねばならぬ。


今でも覚えている。

荼毘に付したオヤジ様の骨壷を抱いて、帰宅までの飛行機、電車、タクシー、私も母もほとんど言葉を交わさなかった。

ただ、風呂敷の鮮やかな紫色が、記憶に残っている。


言葉を交わすエネルギーなど、一滴も残っていやしなかった。


専業主婦しかしたことのない母親、

未だに学生気分のふわふわした兄、

この先、この家を守るのは、

そう、私しかいない。


大黒柱の父が突然亡くなって、『これからどうしよう』などと泣き言を言う暇も無い。


きっと、これから私には戦場が待っているのだ。


私は、痩せ細った母親の手を見ながらスイッチを入れ直す。


総務のおじさんにごねてやれば良かったかもしれない。

でも、私はF1レーサー。

既にトップギアで走り出してしまった。


社長になれなかった男は、小さな壺に収まり安らかに眠る。

その横で、

娘にはさらなる戦場が待っているとは、つゆ知らず。


総務のおじさんが尋ねた瞬間から、

私のスイッチはオンだったわけさ。


あれから、何十年も経ってしまったが、

私のスイッチは、何度か入れ直している。


さすがに最近は、身体もツラい。

しかし、F1レーサーだから普通の道路は走れない!


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