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ワーママが初めて保育園の洗礼を浴びた日

わたしは、家族を「チーム」だと思っている。

わたしと旦那さんという最少人数で構成される家族のチームに、昨年1人メンバーが加わった。泣くことで意思を表し、いっしょうけんめい生きてる、ちいさなメンバー。

最年少の新規メンバーは、自分ひとりじゃ何もできないながらも、少しづつ成長し、できることが増えていく。生後6ヶ月になった春、ついに保育園に入園することになり、9ヶ月ほど産休・育休を取っていたわたしも職場復帰することになった。

突然の「ねっぱつ」

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「ねっぱつ」という言葉を聞いたことがあるだろうか?

漢字で書くと熱発。つまり発熱のこと。子どもを保育園に入れるまで、人生で一度も聞いたことがなかった言葉だ。

保育園に入園してわたしも職場復帰してから1ヶ月が経とうとしていたある日。「ねっぱつ」は急にやってきた。

私の家では出勤時間の早い旦那さんが、毎朝、子どもを保育園に連れて行く。

「いってらっしゃい」と、旦那さんと子どもを見送ったあと、家に残って出勤の準備をしているわたしの携帯が鳴った。画面には旦那の名前が表示されている。

家を出てから15分も経っていない。「こんな時間にどうしたんだろう。忘れ物かな?」と思いながら電話に出ると……

「こども、熱があった。今日保育園に預けられないって。」

保育園では毎朝登園時に熱を測っていて、37.5℃以上あると容赦なく登園停止になる。「子どもって、びっくりするくらい急に熱を出すよ」と聞いてた話は都市伝説じゃなかった。朝、あんなに元気だったのに。

「とりあえず子どもを連れて一旦家に戻るから。」という言葉を受話器越しに聞きながら、「あまりにも突然すぎる出来事だと、人って冷静になるんだな」なんて思いながら電話を切った。

思いもよらなかったひとこと

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「病院に連れて行くから、会社休まなきゃ。」

旦那さんが子どもを連れて戻ってくる間に、Googleカレンダーを立ち上げスケジュールを確認すると、午後は打ち合わせが入っている。それを見て会社に「子どもが熱を出したため、午前休取らせてください。午後は打ち合わせあるのでリモートで対応します」と報告するわたし。

そうしている間に、旦那さんと子どもが帰ってきた。

そっと子どものおでこを触る。言われてみればいつもより体温が高いかもしれない。

「今日、子どもの看病どうしようかね。」

「さっき会社に連絡して、今日は午前休取ることにしたよ。午後は打ち合わせあるから家からテレカン入る。」

そう答えるわたしの頭の中は、「わたしが看る以外の選択肢はないでしょ?」という考えが頭の中を支配していた。だから、次の言葉を聞いたとき、一瞬頭の中が真っ白になった。

「じゃあ僕は、午後在宅で仕事するね。テレカンのとき子ども見るよ。」

わたしたちは対等なチームメイトなんだ

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「えっ!?大丈夫なの!?」

驚いて思わず言葉が出た。

「うん、特にお客さんとの打ち合わせはないから大丈夫だよ。パソコン置いてきちゃったから取りに行かないといけないけどね。」

そう言う旦那さんの言葉が、すごくうれしかった。

と、同時に、「仕事を休んで子どもの看病をするのは母親のほう」っていう固定概念を持ってる自分に気付かされた。

お互いフルタイムで働いているなら、条件は同じはず。にもかかわらず、子どもが病気になったとき、仕事の調整をして看病するのは母親になることが大半なんじゃないだろうか。実際、わたしもそういう考えに支配されていた。

でも、わたしたち夫婦という2人だけの最少人数のチームでは、「わたしは午前中休む」「じゃあ僕は午後子どもを看るね」って、男女関係なく対等な立場のチームメイトでいる関係がすごく嬉しかったんだ。

結果、午前中にわたしが子どもを病院に連れていき、午後はお互い子どもを見ながら仕事をし、一日が終わった。薬を飲んだ娘の熱も無事に下がって元気になった。

子どもの寝かしつけも終わったタイミングで旦那さんに聞いてみた。

「世の中、『子どもの面倒は母親が見る』って考えの人が多い中、どうして自分も一緒に在宅で仕事しながら看病しようと思ったの?」

すると彼は、こう答えた。

「子どもが心配だし、子どものことは2人のことだからね。もちろん対応できない日もあるけど、できる限り自分もやりたいと思うよ。」

このチームだからできること

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わたしと彼が家族になったときは「2人で楽しく、すこやかに過ごす」ことがチームのミッションだった。

それが、新規メンバーが加入するとチームのミッションが「この子が楽しくすこやかに、そして、将来幸せになる選択を自分で選べるように育てる」に変わった。

これから、幾度となく「ねっぱつ」が起こるだろう。
もしくは、「ねっぱつ」以上に大変な試練が立ちふさがるかもしれない。

それでも、今回のように、固定概念にとらわれずに乗り越えていきたい。わたしたちのチームは、それができる。きっと。


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