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「ラ・ポルト・シノワーズ」とドソワ夫人の店
今日、実に様々な分野でジャポニスムの研究がなされているが、比較的早い時期のジャポニスムに関して、よく名前が出てくるのがドソワ(Desoye/de Soye)夫人(または夫妻)が1860年代の初めに開いたとされる東洋美術を扱う店「ラ・ポルト・シノワーズ」(「支那の門」、「中国の門」)である。
しかし、この店はドソワ夫人の店ではなく、リヴォリ街に1862年に開かれたわけでもなかった。
すでに
マネの水平線-バルベー・ドールヴィイの評言
三浦篤氏の『移り棲む美術』(2021)の巻頭カラー図版の最初にマネの「キアサージ号とアラバマ号の戦い」が掲載されている。それはこの作品が著者によって重要な作品と考えられているからであろう。
この作品は画面上方に「高い水平線」が見られるが、それはとりもなおさず、ジャポニスムの重要な影響によるものであることを、氏は最大限、強調しようとしたのである。
俯瞰的な視点による「高い水平線」は、西洋美
ラファエル・コランの「フロレアル(花月)」とは
三浦篤『移り棲む美術』を読んで、ラファエル・コランの研究が進み、その作品に高い評価が与えられていることをあらためて知った。
かつては、土方定一や匠秀夫らの著作に見られるように、黒田清輝やその師であるコラン芸術への評価は、それほど高いものではなかった。いや、むしろ反アカデミックな論調が目立っていた。その権力的弊害も説かれていた。
わたし自身は、コランや黒田の絵画作品そのものに今も心酔するに