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ハロウィン、だってさ

ハロウィン、だってさ

10月31日。
世の中はハロウィンで賑わっている。

「ハロウィンって、なんなんだろうね。」

ソファーに座る彼女がなんの感情も無く呟いた。

「…コスプレして街を闊歩したり騒いだりしても
 許される貴重な日?」

「…許されてはいないだろうね。だけどある意味
 正解かも。」

なんて中身のない会話なんだろうか。
お互いローテンションで、目を合わせることなく
意識は完全に手元で繰り広げられている戦

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刹那的ロマンチスト

刹那的ロマンチスト

例えば、夕焼けに染まる空。
ピンク色が混ざったオレンジと紫。
あんな色の食べ物あったら映えそうだな。
…なんて柄にもなく、JKらしいことを思った。

例えば、水溜まりに映る世界。
風もなく綺麗に逆さまの世界が見える。
踏み込んでみたら吸い込まれて異世界へ…
なんてことが起きるはずはないけれど
淡い期待と共に水溜まりに足を踏み入れる。
わかっていたが、吸い込まれることなんてなくて
ただ映る世界が揺ら

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不透明な愛

不透明な愛

あなたがくれる

濁った水の中でも生きていけるようになったのは

いいえ…濁った水の中でしか、

生きられなくなってしまったのは

いつからだろう。

こんなはずじゃなかったと思う反面、

この現状に幸せを感じている自分がいる。

綺麗な恋愛に憧れたあの頃の私は

とうの昔に置いてきた。

あなたといる今が、この空間が

何よりも大切で、何よりも好きだから

誰かに邪魔されるなんて考えられなかった

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Wonder

Wonder

一面深緑の世界に降る色とりどりの雨。

白や黄色、ピンクに青…

いつもどこかで雨が降り、世界を彩っている。

土砂降りの日もあるけど、ほとんど毎日霧雨。

だけど1年に3回くらい、全く雨の降らない

いわゆる乾季がやってくる。

いつもは賑やかな外の世界が

しんと静まり返り、少し寂しい気持ちになる。

雨季は、毎日雨続きで嫌だし

乾季は、私の楽しみが奪われてしまうから嫌。

…私の楽しみ、知

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memory

memory

好きとか嫌いとか。
夢を見ていたいとか、目を覚まさなきゃとか。
考えすぎて頭が痛いくらい。

それなのに
いろんな思考の狭間で揺らいでいた感情も、
それが一体何を探すためだったのかも
もう見つからない。

逆算で鳴らした目覚まし時計を止めて
何もない天井を見つめる。
いつもどこか気怠いのは変わらないけど、
今日はいつにも増して感じる。
何か行動する気になれないけど
生憎今日も仕事だから
仕方なく重

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