チーかま豆腐

びっくらポンッ!!

チーかま豆腐

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マガジン

  • 中編

    1話完結ものです

  • Re まとめ

    逃げてばかりの、私たち。

  • 場合シリーズ

    授業中にいらんことを考える怠惰な男子高校生の独り言を集めて煮出してみました。きっとうんちみたいな味がするに違いありません。 主が言うのです。本当です。知らんけど。

  • React

    コミュ症、恋をする。

  • 君と僕の話

    月間連載シリーズ

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コーラフロート

「、、、ここにもいないん?」 “1ーD”と書かれた夕方の無人の教室を開けて 5分前と同じ独り言を繰り返した。 もう何度目かの独り言か。 ふくらはぎにはずっと力が入っている。 攣るのもきっと時間の問題だと思う。 どの部分をとっても平均的なうちの学校のサイズが 怪物を住まわせる迷宮かの如く不気味に感じた。 そんな中ドアを開いた教室”1ーD“は、 2年前まで自分たちが使っていた場所である。 しかしここはまるで全くの別物の住処のようで、 それでもなおどうしようもなく懐かし

    • ある夏休み。

      「暑っ。」 猛暑日の続く8月中旬。カーテンの外。 日差しはベランダだけに飽き足らず、 窓際のソファーまで届いている。 「窓閉めてや、クーラーの風が逃げるやん。」 朝のニュースが終わって、 甲子園中継の始まったテレビを見ながら彼は答えた。 「テレビの子らだって暑いで。」 「この子らはええねん。青春やから。」 「ふーん。」 私は朝のテンション激低の彼に近づいて、引っ張った。 「何、今ええとこやねんけど。」 よくわからん銀行のcmをボケっと見ながらよく言うわ。

      • 最新のセーブデータから始めます。

        えんじ色の電車を降りて、 左ポケットから定期を出した。 少し、喉が渇いている。 いつか貰ったこのワンピース。 エスカレーターに巻き込まれぬように、 そっと裾を上げた。 左腕のブレスレットは、赤と青のツートーン。 好きな色の組み合わせ。 あれ、右手じゃなかったっけ。 ふとやる気が失せるような音と共に音楽が止まる。 あぁ。充電してくればよかったな。 ガヤガヤ雑音が耳に戻ってきた。 私は思わずブレスレットをギュッと握る。 人混みの中はどうしても、その癖が出る。 しば

        • 同じクラスの激アツ体育会系天然水高身長少女の場合。

          体育の授業というのは時に面白く時に退屈なものである。 守らない約束をしてくる、持久走。 運動部が大活躍する、球技。 なぜかその部活じゃないくせに無双する卓球。 いやいや見本を見せる上手い奴、 張り切って見本を見せる下手な奴。 楽しめるポイントはいくつもある。 「運動神経」と俗に呼ばれるものを 平均的な量持ち合わせていなければ、 苦手だとか、なんか嫌いだとかいう感想もよく耳にする。 しかし平均的には、 「好き」と答える人間が多いかのように思える。 僕は平均的な運動

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        コーラフロート

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        • 中編
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        記事

          同じクラスの清涼飲料水コマーシャル系黒髪清楚少女の場合。

          授業というものはいつだって、眠いものだ。 、、、なんか歌詞みたいである。 兎にも角にも、 消しゴムタワーも鉛筆タワーも完成させた僕に残ったのは このクラスにいる人間の癖を隈なく見ることであった。 うん。一字一句気持ちが悪い。 それでも、 時計の針はメデゥーサとディープキスした如く動かない。 一体なんのストライキなのであろうか。 年中不休、休み時間などない ブラック企業に勤めたことに憂いているのか。 それならば、まずは電池にストライキを起こば良い。 こちらに嫌がらせをし

          同じクラスの清涼飲料水コマーシャル系黒髪清楚少女の場合。

          Re:Break Final

          「もう一度言います。危険すぎます。」 史緒里さんは、もう本来の目的を忘れていた。 「史緒里さん、わかってます。」  「それでも、やらなきゃいけないの。  例えそれが、私を刺した人だとしても。」 「いいや!わかってないです!!」 史緒里さんは、机をドンッと叩いて、 俺たちを説得しようとする。 「保護されてる奈々未さんに対して、  あんたは相応しくないって、  連行されながら喚き続けた人間なんですよ!」 「奈々未さん、トラウマになったじゃないですか!!  ○○さんの顔

          Re:Break 10

          「一回整理しよう。」 家からほど近い幹線道路に入った車は、 直線を滑らかに進んでいく。 所々、舗装されていない道の振動を除いては。 「奈々未は、俺と結婚してる。  俺は相変わらずこの仕事をしてる。」 助手席の久保さん、もとい史緒里さんは、 三白眼でこちらを眺めながら、 スマホをアタッシュケースに投げ入れた。 「頼むから、嘘と言ってください。  なんですか、ドッキリですか?」  「ごめん。ちゃんと本気だわ。」 「何?告白?私がいるのに?」 「頼むから、奈々未は喋ら

          Re:Break 9

          「俺、決めたよ。変える過去。」 さくらとの思い出の公園。 5時の防災放送と、首筋を冷やす風。 2人だけの空間。 決意のこもった眼差しと、 戸惑いの眼差しが交差する。 「決めたんだね。」 「うん。」 拳を握りしめる二つの影。 「、、、同じこと言うけどさ。」 「うん。」 「私のエゴ、だったんだよ。 だから、、、さ。」 「うん。」 「このままで、いいんじゃない?  変えなくて、いいんじゃない?」 「うん。そのつもり。」 「な、何言ってんの?」 「さくらがあの石を使

          Re:Break 8

          「私、まだ○○のことが好き。」 「、、、ありがとう。奈々未。」 ▽ 目覚めた時に隣にいる人は 本当に私の愛する人なのだろうか。 その答えを毎日、探していた。 公園で一人泣くアイツを、○○を 忘れられなかったから。 何度日を跨いでも、幾ら仕事に打ち込んでも、 何度、彼に上書きされようとも、 しっかりと焼き付いていた。 今横にいる人に何か不満を抱いたことはなかった。 それが怖かった。 消えていきそうなアイツの想い出を失うことが。 いや、失わせたのは私か。 無責

          華のOLは宝箱の中身を知らない

          指に血が伝うのがわかる。 けどそんなの見てられない。 絆創膏を探して三千里。 家中にある棚という棚をワナワナと探していく。 Amazonから来たワクワクを玄関に置いたままにして。 昨日あれほど絆創膏を置く場所を決めたのに、 その場所を覚えてない本末転倒っぷり。 ーーーガンッ 「痛ったぁい!!」 そしてぶつける右足の小指。 その衝撃で頭に落ちてきた絆創膏。 やっぱり私には運がない。 人よりも赤信号に引っかかり、 行きたいお店は基本臨時休業。 お箸付きのお弁当にはお

          華のOLは宝箱の中身を知らない

          1年らしいのです(妄ツイじゃないよ)

          どうも、チーかま豆腐です。 これはツイッターには上げないので、これを見つけてくれた方、 あなたはチーかま豆腐の大ファン認定をしましょう。 偉そうに何を言ってんですかね。 どうやら、この界隈に入って1年が経ったそうです。 この1年色々ありましたね。 モーメントが携帯でできなくなる。 と思いきやそもそもその機能が消える。 画像が自動トリミングされる。 半期に1度の大凍結祭り。 うん。結構あるな。 自分の1年も 長編 2作 中編 22作 2が多いね。 これだけ

          1年らしいのです(妄ツイじゃないよ)

          死神彼女

          〈例えば、明日死ぬとして。〉 ほんの少し、柔らかくなった紙に 淡い黒色でそう印刷されている。 自分で言うのは烏滸がましいけど、 そこそこ優等生だった私が唯一出さなかったプリント。 家具も本も洋服も 何もかもがダンボールに詰められた部屋でマンツーマン。 まだカーペットの跡が残る床に座る。 とりあえず、2時間考えてみた。 けどこのままじゃ、タイムリミットを過ぎるだけ。 そりゃそうだ。だって6年も答えは出てない。 カーテンのない窓に、紙をすかしてみる。 やっぱり、答え

          React 下

          ーピンポン 廊下のLEDに小さな虫が集まっている。 空を見れば、1つだけ星が瞬く。 こんな時間になんで俺は鍋を持って外にいるのだろうか。 ここでもストレージの少ない頭が作用していたのか。 サンダルから入る冷気に震えていた。 受注生産が突然終了して、 調査報告が滞ってから1週間とちょっと。 最初は見事、成就させたと思った。 しかし、Aがルンルンで毎昼会社を出ていくのを見た。 対し、飛鳥はメガネに戻りニキビが増えた。 幼馴染から恋人爆誕の連絡が来たのは今日の昼だった。

          React 中

          調査報告 齋藤飛鳥ハ、サークルノ後輩ト知リ得タリ。 就活相談ニ何度カ乗ッタナリ。 ソシテ、齋藤飛鳥ハ別部署ノ後輩ト判明セリ。 追記 齋藤飛鳥ハ恋ノ最中ト見ツケタリ。 「あ、おはようございます。」 「おはよう。昨日のブツは出来た?」 「はい、、、!なんとか、、、!」 昨日の夜、こたつでの会議。 サークルの後輩であったことを早々に告白。 人数だけの多いサークルだったから 覚えてないことは分かっていたらしい。 「言ってくれればいいのに。」 「言ってもここまで話さない

          React 上

          朝日が昇る。 目が覚める。 部屋は、綺麗だ。 伸びをした体は、ボキボキと音を立てる。 ーピンポン 「、、、こんな朝に誰?」 玄関に向かってそう呟きながら歩く。 「はい、、!  えーっと、、、どなたですか?」 「隣に引っ越してきた、齋藤です。」 「あ、初めまして。隣の 「あの、、、。」 「ど、どうしました?」 「彼女とよろしくやるなら、他所でやってくださいね。」 なんだコイツ? 小顔からおおよそ想像のつくことのない態度のでかさに、 朝の冷えた頭へ血がグッ

          Re:Break 7

          「さくら!」 知ってるようで知らない道をただ、進む。 その間に垣間見える景色一つ一つが奈々未との過去で。 「ついてこないで!」 悲痛なさくらの返答にただ、心が痛んだ。 「聞いてくれ!」 「いやだ!」 ただただ意味のないやりとりが住宅街に響く。 ふと思う。 今のさくらが僕なんだな、と。 答えを聞くのが怖くて、 次の行動全てが恐ろしくなって。 全てから逃げ出した。 側から見れば、大したことのない筈なのに。 僕があそこまで心を閉ざした理由だって、 〈振られた。