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【説教集×英語学習19】 良い木は良い実をつける #229

2024年4月21日(復活節第4主日)



説教集より

Certaine Sermons or Homilies 1547-1571, Rickey and Stroup, 2nd ed, 1993, II, p161.

For as the good fruit is not the cause that the tree is good, but the tree must first be good before it can bring forth good fruit; so the good deeds of man are not the cause that maketh man good, but he is first made good by the spirit and grace of God, that effectively worketh in him, and afterward he bringth forth good fruits. 

良い実がついているからその木が良いのではなく、良い実をつける木はその実をつける前から良い木であるはずです。同じように、人間は善い行いによって善いものとされるのではなく、内に確かに働く神の霊と恵みによって善いものとなっていて、善い行いを見せているのです。(第二説教集11章2部:全訳はこちら↓)


ヨハネのひとこと

「あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない(マタ7:16-18)。」

今回のものは聖書のこの箇所にかかわる説教の一部です。良い木は良い実を結ぶ、悪い木が良い実を結ぶことはない、したがって実をみればその木の良しあしがわかる。これをもとに人間について、善い人は善い行いをする、悪い人が善い行いをすることはない、したがって、行いを見ればその人の善し悪しがわかる、ということです。

ただ注意しないといけないのは、善い人間になるのはその人の努力にのみよるものかということです。もちろん努力は必要です。ただその努力の源泉は何であるかに思いを致すことがもっと必要です。わたしたちは神の霊と恵みによって善いものとなっていて、したがって善い行いをすることができる。けっして「ただ人間の力による」ものではないのです。

自主自立、独立独歩、粉骨砕身、ときに獅子奮迅。これらはそれぞれに尊いものですしもちろん素晴らしいもので(正しい方向であれば)善い行いにつながるものです。しかしこれらとて「ただ人間の力による」ものではありません。神に信仰をおき、日々祈り、内を霊で満たされてこそ、そうできる。わたしたち人間はそもそも小さい存在。おのが力を万能と思う不遜のないようにしたいものです。これは紙一重とも言えることです。今週も感謝しつつ過ごしましょう。


英文の解説

文頭の for は接続詞で「というのは~だからだ」の意味を持ちます。前回の投稿(#228)にあったものと同じです。続く as は接続詞で副詞節(従属節)を導きます。その副詞節は but の前のカンマまでです。副詞節の軸となる構造は the good fruit is not the cause の SVC で、補語の the cause の次に同格の名詞節 that the tree is good が続きます。「良い実が良い木であるという理由ではない」が直訳になりますが、和訳としては言わんとすることをくみ取って、少し意訳を施しています。

続く but は接続詞ではありません。but には副詞の用法もあり、これはそれです。主節の先頭に置かれた副詞ということになります。実際、but があると、聞いている側としては意味が取りやすくあるでしょう。主節の軸となる構造は the tree must be good の SVC です。助動詞 must と原形不定詞 be の間に副詞 first が挿入されています。これに続く副詞節 before it can bring forth good fruit とあわせて、「そういう木(=良い実をつける木)は良い実をつける前から良い木であるはずです」という意味になります。

セミコロンのあとの so は前述の接続詞 as と相関をなします。「同じように」という意味を持つものです。そのあとの構造は大きくは SVC です。the good deeds of man of man are not the cause は「人間の善い行いは理由ではない」で、the cause の次の関係詞節 that maketh man good と合わせると直訳としては「人間の善い行いは人間を善いものにする理由ではない」となりますが、言わんとすることをくみ取って意訳しています。

続く but は接続詞です。お気づきと思いますが、このあたりの構造は文法的に少し違いがあるものの、用いている語のレベルでは響きに大差がないどころかパラレルがあります。音読してみることをお勧めします。he is first made good は SVC で「彼(人間)はそもそも善いものに造られている」という意味になり、続く前置詞句 by the spirit and grace of God と合わせて,
またこの the spirit and grace of God を先行詞とする関係詞節 that effectively worketh in him を踏まえ、「人間は内に確かに働く神の霊と恵みにより善なるものとなっている」という和訳になります。

等位接続詞 and のあと副詞 afterward「結果として」に続く he bringth forth good fruits は SVO の構造ですが、和訳には注意が必要だと思います。この文の前半は不可算名詞 fruit でここは可算名詞 fruits です。前者は木がつける集合的な「果実」ですが、後者は「行い」とするべきでしょう。人間が為す行いをひとつひとつのものと考えてのものとしているのだと思います。


英文の見取り図



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