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白光と闇の狭間で桜舞う

「あ、この人」

 並んだ写真の中、魅きつけられるものがあった。私と似ているようだが圧倒的に強く、歯が立たない。一体何と契約しているのだろう。背負う闇も圧巻でその方が本気を出せば私はひとたまりもない。

 私は2度、目と意識を向けた。2度目の時に思った。お会いしたら何を話そう。「あなたは何を背負っているの?」かな。否、初対面でこれは通じるのだろうか。

 幾日か経ち、その方と意識下で繋がりお話しすることができた。「お見知りおきを」丁寧で美しい日本語を使う方。「危ない」のだそう。身に覚えは多々ある。何度も色んな方にご忠告をいただいている。私は、この方が怖いと思った。一見穏やかな表情に現れる怒りや否定、圧がとてつもない強さを伴い伝わってくる。

 白装束に白い般若の面、角は鈍い黄金色。白く長くバサバサと広がる髪。白袖がより体を大きく見せる。縫い目の色は紫、赤、うぐいす色だろうか。美しいイメージがある。地に足は付いていない。強大な存在感のある白夜叉がその方の側にいた。

 似たところのある私をご贔屓にしてくださったのだろうか。お話の内容からそのような印象を受けた。白夜叉様から小刀を渡され、受け取っていいのか戸惑ってしまったがお断りはできないようだった。

 次の日の朝も、白夜叉様は側にいた。小刀は、これはあなたの大切なものでしょう?とお返ししようと思ったが、あの方に叱られた。白夜叉様は笑っている。小刀は守りの意味だと思った。

 その日の午後移動中の車内にて、運転している時、あの方の大きなお屋敷にご招待された。白装束が飾ってある前に私は立っていて、それを見つめていた。壁は明るい黄土色でザラザラしている。

 後ろから濃紺に染められた和服のあの方と、私に付いていた白蛇の巫女が現れた。彼女も丁重に扱われていたことだろう。彼女はお姫様のイメージもある。嬉しそうな表情。この方には信頼と尊敬と安寧の意を向けている。

 「ご無沙汰しております。」        気付くと私は、すごく丁寧に挨拶していた。

 廊下を進み、案内された部屋には驚きを隠せなかった。白夜叉様だけではないのだ。柩が整列している。それらはその者達の寝床であるのだろう。他にも‥

 この方は私の指導者に当たる方だったのだろうと思った。全く敵わない訳だ。

 今後このお話がどう展開していくかは、今後次第である。「危ない」ことなどないとは、言い切れないのだから。

【追記】

 記事を書き終え落ち着いた頃、ふとこの方をスクショしておこうと思った。ハッキリとした写真を見つけ保存した。

 すると夜中であったがすぐに繋がった。この方の庭園には赤い舞台があって、灯篭もある。そこに白夜叉様がいる。でも、子どものような小ささで私とお会いした方とは別の白夜叉様のようだ。それに白い狐が2匹。雅楽のお稽古だろうか。舞う練習をしている。不意に桜の花びらが目の前一面に渦を巻くように現れた。夜の闇と白の舞。目の前にはあの方がいる。花びらは着物の柄になり、その着物は私を覆う。贈りもののようだ。粋な演出。これは「春風怪談」、春風に相応しい色彩と華と風をあの方が贈ってくれた。


【あと書き】

 赤い戦士‥花の着物を贈られたのは2度目であり、桜には何か古の記憶が隠され眠っているように思う。桜は魂の拠り所。日本人が何世代にも渡り心を留めておく場所だから。戦国の世の武将達も、命を散らし国を守った兵士達もここに帰って来る。母、恋人、きょうだいである女性達も桜を見ては大切な人を想い、待ち続け、その心を支え、癒していたでしょう。桜は魂の拠り所。

あんこぼーろ様、よろしくお願い致します。

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